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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
星詠国家ルミナス クーデター編

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目覚めの姫


「おらぁ!!」


 《崩槌》。


 振り抜く。


「…………」


 ドルガ。


 二本の。


 石柱。


 一本を。


 横へ。


 ――ガァァン!!


「ぐっ!」


 止められる。


 けど。


「まだだ!」


 ログが。


 踏み込む。


 もう一度。


 同じ場所。


「おらぁ!!」


 ――ガァン!!


「…………!」


 石柱に。


 亀裂。


 さっき。


 気づいた。


 《崩槌》の力。


 殴る度に。


 《脆化》が。


 中へ。


 中へ。


 染み込んでいく。


「へっ!」


 もう一発。


「これで――」


「《震踏》」


「!」


 ――ドン!!


 床が。


 跳ねる。


「うおっ!?」


 足元。


 崩れる。


 振りかぶった。


 《崩槌》が。


 逸れる。


「くそっ!」


 その瞬間。


 もう一本。


 石柱が。


 迫る。


「《剛墜》」


「!」


 上。


「《岩壁》!!」


 ――ゴゴゴゴ!!


 岩壁。


 せり上がる。


 ――ドッゴォォォン!!


「ぐっ!」


 砕けた。


 岩壁。


 その破片ごと。


 ログが。


 吹き飛ぶ。


 ――ガシャァン!!


「がっ……!」


 床へ。


 転がる。


「くっそ……」


 痛ぇ。


 腕も。


 肩も。


 さっきから。


 痺れっぱなし。


「…………」


 ドルガが。


 歩いてくる。


「まだやるのか」


「何回……」


 《崩槌》を。


 床へ。


 突く。


「聞くんだよ!」


 立つ。


「…………」


 ドルガの。


 眉が。


 僅かに。


 動く。


「そうか」


 右手。


 石柱を。


 構える。


「なら」


「!」


 左手。


 もう一本を。


 後ろへ。


 引く。


「《剛投》」


「は?」


 ――ブォン!!


「おい!!」


 石柱が。


 飛んできた。


「それ投げんのかよ!!」


 《崩槌》を。


 振りかぶる。


「おらぁぁ!!」


 ――ドゴォォォン!!


「ぐっ!」


 真正面。


 ぶつかる。


 石柱。


 止まらない。


「この……!」


 足が。


 滑る。


 後ろ。


 ナーラ姫。


「っ!」


 退けない。


「おらぁぁぁぁ!!」


 《崩槌》へ。


 力を。


 込める。


 ――ピシッ。


「!」


 石柱。


 亀裂。


 さっきまで。


 何度も。


 《崩槌》で。


 殴った。


 そこから。


 亀裂が。


 広がっていく。


「いけぇ!!」


 ――バキィィィン!!


 砕けた。


「っしゃ!」


 石片。


 降り注ぐ。


 その向こう。


「…………!」


 ドルガ。


 もう。


 目の前。


「《剛衝》」


「っ!」


 拳。


「《岩壁》!」


 ――ゴゴッ!!


 間。


 岩壁。


 ――ドゴォン!!


 一撃。


 砕ける。


 でも。


 それで。


 十分。


「そこだ!」


 横。


 回り込む。


 《崩槌》。


 低く。


 振り抜く。


「おらぁ!!」


 ――ドゴォン!!


「ぐっ!」


 ドルガの。


 脇腹。


 入った。


「まだ!」


 返す。


 二撃目。


「おらぁ!!」


 ――ガァン!!


「…………!」


 ドルガが。


 腕で。


 受ける。


「へっ!」


 ログが。


 笑う。


「硬ぇな!」


「…………」


「だったら」


 三撃目。


「何発でも――」


 ――ガシッ。


「…………え?」


 《崩槌》。


 止まった。


 ドルガの。


 両手。


 槌頭を。


 掴んでいる。


「おい……」


「《膂力強化》は」


「…………」


「物を壊すためだけの加護じゃない」


 引く。


「うおっ!?」


 ログの。


 身体ごと。


 持っていかれる。


「離せ!」


「《剛衝》」


「!」


 腹。


 拳。


 ――ドゴォン!!


「がっ……!!」


 身体が。


 折れる。


 息。


 できない。


「かっ……」


 手が。


 《崩槌》から。


 離れる。


「…………」


 ドルガが。


 ログを。


 見る。


 そして。


 掌。


 胸へ。


「悪いな」


「……っ」


 ――ドン!!


「がぁっ!!」


 吹き飛ぶ。


 床。


 一度。


 二度。


 転がる。


「ぐ……」


 止まる。


「…………」


 身体が。


 動かない。


「くそ……」


 立て。


「…………っ」


 腕。


 震える。


 床へ。


 手をつく。


「まだ……」


 膝。


 上げる。


「終わって……」


 ――ガクッ。


「っ!」


 また。


 膝が。


 落ちる。


「…………」


 ドルガが。


 ログから。


 視線を。


 外す。


 その先。


 眠ったままの。


 ナーラ。


「…………」


 一歩。


 歩く。


「待て……」


 もう一歩。


「待てっつってんだろ……!」


 《崩槌》を。


 掴む。


 無理矢理。


 立つ。


「…………」


 ドルガが。


 止まる。


「まだ立つのか」


「へっ……」


 口元。


 血。


 腕で。


 拭う。


「言ったろ」


「…………」


「俺を……」


 《崩槌》を。


 構える。


「ぶっ倒してからにしろってよ!」


「…………」


 ドルガが。


 ログを。


 見つめる。


「なら」


 残った。


 石柱。


 両手で。


 握る。


「今度こそ終わらせる」


「やって……」


 ログが。


 笑う。


「みろよ!」


 ――ダン!!


 ドルガ。


 踏み込む。


「《剛墜》」


 石柱。


 上。


「くそっ!」


 ログも。


 《崩槌》を。


 振り上げる。


 ――ドゴォォォン!!


「ぐぅぅぅっ!!」


 重い。


 膝。


 沈む。


 床。


 ひび割れる。


「っ……!」


 押し潰される。


「おらぁぁ!!」


 押し返す。


「…………!」


 ドルガが。


 一瞬。


 目を見開く。


「まだ……!」


 ログの。


 腕。


 震える。


「まだだぁ!!」


 《崩槌》を。


 横へ。


 滑らせる。


 石柱。


 逸れる。


「!」


「《岩穿》!!」


 ――ドドドドッ!!


 足元。


 岩杭。


「…………!」


 ドルガが。


 後ろへ。


 跳ぶ。


「逃がすか!」


 追う。


 《崩槌》。


 振りかぶる。


「おらぁ!!」


 ――ガァン!!


 石柱へ。


 一発。


「もう一発!」


 ――ガァン!!


 二発。


 ――ピシッ。


 亀裂。


「まだ!」


 三発目。


 ――ドゴォン!!


 《脆化》が。


 奥へ。


 入り込む。


「…………」


 ドルガが。


 石柱を見る。


「なるほど」


「あ?」


「その槌」


「…………」


「打撃の度に《脆化》を蓄積しているのか」


「…………」


 ログも。


 《崩槌》を見る。


「多分な」


「多分?」


「俺もさっき知ったんだよ!」


「…………」


「なんだその顔!」


「いや」


 ドルガが。


 僅かに。


 息を吐く。


「変わった男だと思っただけだ」


「うるせぇ!」


 踏み込む。


「だったら!」


 《崩槌》。


 振り上げる。


「こいつが壊れるまで!」


 ――ガァン!!


「殴りゃ!」


 ――ガァン!!


「いいだけだろ!!」


 ――ドゴォォォン!!


 ――バキィィィン!!


「!」


 石柱。


 砕ける。


「っしゃぁ!」


 ドルガの。


 手。


 空になる。


「これで!」


 《崩槌》を。


 担ぐ。


「丸腰だな!」


「…………」


「?」


 ドルガが。


 構える。


 拳。


「……そうだった」


「…………」


「お前」


 ログの。


 頬が。


 引き攣る。


「素手でも強ぇんだったな」


「行くぞ」


「少し休ませろよ!」


 ――ダン!!


「聞けよ!」


 拳。


 来る。


 ログも。


 前へ。


 ――――。


「…………」


 小さく。


 指が。


 動く。


「…………ん」


 重い。


 身体。


 熱い。


 息が。


 苦しい。


「…………」


 ゆっくり。


 瞼が。


 開く。


「……ここ……は……」


 ぼやける。


 視界。


 音。


 何かが。


 ぶつかる。


 激しい。


 音。


「…………?」


 少しずつ。


 焦点が。


 合う。


 最初に。


 見えたのは。


 大きな。


 槌。


 そして。


 それを。


 握る。


 一人の男。


「…………」


 知らない。


 男。


 服は。


 ボロボロ。


 身体も。


 傷だらけ。


「誰……だ……?」


 男は。


 こちらを。


 見ていない。


 目の前の。


 大男だけを。


 見ている。


「…………」


 でも。


 立っている場所。


 その男は。


 ずっと。


 俺と。


 大男の。


 間に。


 立っていた。

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