使える物は使う②
――ドゴォォォン!!
「ぐっ……!」
重い。
《崩槌》を。
握る。
両腕が。
一瞬で。
痺れる。
「…………」
ドルガは。
折れた石柱を。
両手で。
握ったまま。
微動だにしない。
「おらぁ!!」
ログが。
《崩槌》を。
押し込む。
「…………」
ドルガも。
石柱へ。
力を。
込める。
――ギギギギ……!
「っ……!」
足が。
床を。
滑る。
「なんつー……」
歯を。
食いしばる。
「馬鹿力だよ!」
「…………」
さらに。
押される。
「くそっ!」
ログが。
《崩槌》を。
横へ。
逸らす。
石柱が。
勢いのまま。
床へ。
――ドゴォン!!
「!」
砕ける。
床。
飛び散る。
破片。
「おらぁ!」
その隙。
《崩槌》を。
横薙ぎ。
「…………」
ドルガが。
石柱を。
持ち上げる。
――ガァン!!
「!」
また。
止められた。
「硬ぇ……!」
ただの。
石柱。
なのに。
《崩槌》を。
まともに受けて。
まだ。
折れない。
「もう一発!」
引く。
振るう。
――ガァン!!
「…………!」
石柱。
表面が。
僅かに。
欠ける。
だけ。
「王宮ってのは!」
もう一度。
「柱まで頑丈なのかよ!」
――ドゴォン!!
「…………」
ドルガが。
受け止める。
でも。
「…………?」
――ピシッ。
小さな。
音。
「…………」
石柱。
亀裂。
「へっ」
ログが。
笑う。
「やっと効いてきたか」
「…………」
ドルガが。
亀裂を見る。
そして。
ログを見る。
「なんだよ?」
「…………」
答えない。
石柱を。
振り上げる。
「!」
――ブォン!!
「うおっ!」
ログが。
身を。
沈める。
頭上。
巨大な。
石柱が。
通過する。
「危ねぇだろうが!」
踏み込む。
懐。
「おらぁ!!」
――ドゴォン!!
《崩槌》。
今度は。
石柱の。
根元。
「…………!」
――ピシッ。
また。
亀裂。
「…………?」
ログが。
眉を。
顰める。
今の。
感触。
「…………」
なんだ?
いつもと。
違う。
「…………!」
考える暇も。
ない。
石柱が。
横から。
迫る。
「くっ!」
《崩槌》で。
受ける。
――ガァァン!!
「ぐぅっ!」
身体ごと。
吹き飛ばされる。
――ザザザッ!!
「っ……!」
床を。
滑る。
「…………」
ドルガが。
石柱を。
見る。
「妙だな」
「あ?」
「この柱」
「…………」
「お前の槌を受ける度に、脆くなっている」
「…………?」
脆く?
「何言って――」
ログが。
止まる。
「…………」
石柱。
いくつもの。
亀裂。
「…………」
待て。
俺。
「《脆化》……」
使ったか?
「…………」
いや。
使ってない。
「…………?」
《崩槌》を見る。
「なんだ……?」
「自分の力ではないのか」
「うるせぇな!」
「…………」
「俺だってまだ!」
《崩槌》を。
構える。
「こいつのこと全部分かってるわけじゃねぇんだよ!」
「そうか」
「反応薄いな、おい!」
――ブン!!
「うおっ!」
石柱。
振り下ろし。
横へ。
跳ぶ。
――ドゴォォン!!
床が。
陥没する。
「…………」
ログが。
《崩槌》を見る。
殴る度に。
脆くなる。
「…………」
だったら。
「試してみるか」
「?」
走る。
「おらぁ!」
――ガァン!!
一発。
「…………」
弾かれる。
構わない。
「もう一発!」
――ガァン!!
二発。
石柱。
同じ場所。
「…………」
亀裂が。
増える。
「やっぱり……」
もう一度。
「おらぁぁ!!」
――ドゴォォン!!
三発目。
その瞬間。
「…………!」
分かる。
衝撃と。
一緒に。
何かが。
入り込んでいく。
石柱の。
表面じゃない。
もっと。
奥。
内部へ。
「これ……」
俺の。
「《脆化》か……?」
「…………」
ドルガが。
目を。
細める。
「へっ」
ログが。
笑う。
「なるほどな」
《崩槌》を。
肩へ。
担ぐ。
「よく分かんねぇけど」
「…………」
「殴れば殴るほど」
ニッと。
笑う。
「ぶっ壊しやすくなるってことか!」
「随分と雑な理解だな」
「分かりゃいいんだよ!」
――ダン!!
踏み込む。
「四発目ぇ!!」
「…………!」
ドルガが。
石柱を。
構える。
――ドゴォォォン!!
直撃。
亀裂。
広がる。
内部へ。
内部へ。
重なっていた。
《脆化》が。
一気に。
繋がる。
――バキィィィン!!
「!」
石柱が。
真ん中から。
砕けた。
「よっしゃぁ!!」
折れた。
石柱。
半分が。
床へ。
――ドォン!!
落ちる。
「へっ!」
ログが。
《崩槌》を。
肩へ。
担ぐ。
「どうだ!」
「…………」
ドルガが。
手元に残った。
石柱を見る。
「これで武器も――」
「…………」
ドルガが。
残った半分を。
片手で。
持ち直す。
「まだ使える」
「…………」
「いや」
「?」
「それもう柱じゃなくて岩だろ!」
「問題ない」
「問題しかねぇよ!」
ドルガが。
踏み込む。
――ブン!!
「!」
短くなった。
石柱。
さっきより。
速い。
「うおっ!」
――ガァン!!
《崩槌》で。
受ける。
「ぐっ!」
「…………」
ドルガの。
もう片方の手。
床へ。
落ちた。
石柱へ。
伸びる。
「…………おい」
掴む。
「まさか……」
――ズズズ……。
持ち上がる。
「二本にすんのかよ!」
「使える物は使う」
「さっきも聞いたよ!」
左右。
二本の。
石柱。
「…………」
ログが。
《崩槌》を。
握り直す。
「ったく……」
口元を。
吊り上げる。
「面白ぇじゃねぇか」
――ダン!!
同時に。
踏み込む。
石柱。
《崩槌》。
激突。
――ドゴォォォン!!
「ぐっ……!」
一撃。
――ブン!!
「!」
二撃目。
横。
「おらぁ!」
――ガァン!!
受ける。
「っ……!」
重い。
とんでもない。
力。
「…………」
ログが。
歯を。
食いしばる。
「馬鹿力……」
「…………」
「それが」
《崩槌》を。
押し返す。
「お前の加護ってか!」
「……?」
「なんだよ?」
「俺はまだ」
ドルガが。
淡々と。
答える。
「加護を使っていないぞ」
「…………」
「…………」
「……冗談だろ?」




