炎と毒②
――パシンッ!!
「!」
《毒吻》が。
再び。
走る。
「ふん!」
バルガス隊長が。
身を。
沈める。
頭上を。
毒針が。
通り過ぎる。
「――《火撃》!」
――ボッ! ボッ! ボッ!
火弾が。
連続で。
放たれる。
「ししし」
セトが。
横へ。
跳ぶ。
一発。
二発。
避ける。
三発目へ。
《毒吻》を。
振るう。
――パァン!!
火弾が。
弾けた。
炎が。
視界を。
覆う。
「…………?」
「――《爆歩》!」
――ドン!!
炎の中から。
バルガス隊長が。
飛び出す。
「おらぁ!!」
「!」
――ドゴッ!!
拳が。
セトの。
腕へ。
叩き込まれる。
「ぐっ……!」
セトが。
後ろへ。
押し込まれる。
「ししし……!」
それでも。
《毒吻》を。
振るう。
近い。
バルガス隊長の。
首へ。
毒針が。
迫る。
「――《火衝》!」
――ボォン!!
「!」
炎が。
二人の間で。
炸裂する。
《毒吻》が。
弾かれ。
セトの身体も。
後ろへ。
吹き飛ぶ。
「…………」
着地。
「ししし」
セトが。
眼鏡を。
押し上げる。
「随分と器用ですねぇ」
「そうか?」
「もっと力任せな方かと思っていましたよ」
「ダッハハハハ!」
バルガス隊長が。
笑う。
「力任せで勝てるなら、それが一番なんだがな!」
「ししし」
「同感です」
――パシンッ!!
再び。
鞭。
「…………!」
バルガス隊長が。
避ける。
けど。
鞭が。
途中で。
曲がった。
「!」
狙い。
バルガス隊長じゃない。
俺達。
「ちっ!」
バルガス隊長が。
両手を。
床へ。
向ける。
「――《火壁》!」
――ボォォォォッ!!
「うわっ!」
俺達の前。
炎が。
立ち上がる。
大きな。
壁。
「…………」
《毒吻》が。
炎へ。
飛び込む。
直前。
止まる。
そして。
引き戻された。
「ししし」
「やはり」
セトが。
炎越しに。
俺達を見る。
「そちらを狙われるのは、お嫌ですか」
「あぁ」
バルガス隊長が。
拳を。
握る。
「嫌いだねぇ」
「では」
《毒吻》が。
再び。
持ち上がる。
「何度でも狙わせていただきましょう」
「…………」
「ししし」
「貴方が守り切れなくなるまで」
「…………」
バルガス隊長の。
笑みが。
消えた。
「てめぇ……」
その時。
「バルガス隊長!」
「!」
セブランさん。
「終わった!」
「…………!」
俺が。
振り返る。
ナーラさんは。
まだ。
目を閉じている。
だけど。
さっきまでの。
苦しそうな呼吸が。
少し。
落ち着いていた。
「毒は!?」
「完全には抜けていない」
セブランさんが。
立ち上がる。
「だが、進行は止めた。このまま運べる」
「よし!」
バルガス隊長が。
ロイドさんを見る。
「ロイド!」
「……了解っす」
ロイドさんが。
すぐに。
ログを見る。
「ログ! ナーラ姫を担げ!」
「はい!」
ログが。
ナーラさんの。
傍へ。
しゃがむ。
「失礼します」
ゆっくり。
その身体を。
背負う。
「アルト」
「!」
ロイドさんが。
俺を見る。
「行くぞ」
「…………」
バルガス隊長。
一人で。
「でも……」
「アルト」
「!」
バルガス隊長が。
背中を。
向けたまま。
言う。
「命令だ」
「…………」
「行け」
「…………っ」
《砕》を。
握る手に。
力が入る。
「……はい」
「ししし」
セトが。
《毒吻》を。
持ち上げる。
「逃がすと思いますか?」
「逃がすさ」
「おや?」
バルガス隊長が。
一歩。
前へ。
「ここまでご苦労さん」
「…………」
「こっからは」
拳を。
鳴らす。
「俺とてめぇだけだ」
「ししし」
セトが。
目を。
細める。
「まだ霊器も出さずに?」
「…………」
「まさか」
バルガス隊長が。
ニッと。
笑う。
「もう」
右手を。
開く。
「周りを気にする必要がなくなったからな」
「…………!」
光が。
その掌へ。
集まり始める。
「こっからは――」
霊素が。
膨れ上がる。
「好きに暴れさせてもらうぜ」




