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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
星詠国家ルミナス クーデター編

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堪える

「…………」


 ロイドさんが。


 何も言わず。


 バルガス隊長を。


 見る。


「…………」


「ロイド」


「……なんすか」


「こいつらを連れて行け」


「…………」


 少しの。


 沈黙。


「……行くぞ」


「!?」


 ログが。


 ロイドさんを見る。


「本気で言ってんすか?」


「あぁ」


「でも!」


「…………」


 ロイドさんが。


 剣を。


 下ろす。


「俺とバルガス隊長だけなら」


 セトを。


 睨む。


「なんとかなるだろうがな」


「…………」


「それ以外のお前らは」


 俺と。


 ログへ。


 視線を向ける。


「足手纏いになるだけだ」


「……あ?」


 ログの。


 眉が。


 動く。


「俺らが足手纏い?」


「あぁ」


「…………っ」


 《崩槌》を。


 握る手に。


 力が入る。


「俺らだって!」


「二人とも」


「!」


 バルガス隊長の。


 声。


「命令だ」


「…………」


「ロイドの指示に従え」


「でも!」


「アルト」


「…………!」


 低い。


 声。


 いつもの。


 豪快な声とは。


 違う。


「…………」


 バルガス隊長が。


 一瞬。


 俺達を見る。


「もう……」


「…………?」


 ほんの。


 一瞬だけ。


 その顔が。


 寂しそうに。


 見えた。


「俺より若いのが死ぬのは……堪える」


「…………」


 何も。


 言えなかった。


「…………」


 ログも。


 黙ってる。


「ししし」


 セトの。


 笑い声。


「随分と優しい隊長さんですねぇ」


「…………」


「ですが」


 《毒吻》が。


 ゆらり。


 揺れる。


「逃がすとでも?」


「逃がすさ」


「おや?」


 バルガス隊長が。


 前へ。


 一歩。


 出る。


「俺が残るって言ってんだ」


「…………」


「てめぇの相手は」


 拳を。


 構える。


「俺一人で十分だ」


「ししし」


 セトの。


 笑みが。


 深くなる。


「それはそれは」


 眼鏡の奥。


 細い瞳が。


 バルガス隊長だけを。


 捉える。


「随分と大きく出ましたねぇ」


「ロイド」


「…………」


「行け」


「……了解」


「!」


 ロイドさんが。


 剣を。


 鞘へ戻す。


「早く来い、ガキども」


「でも……!」


「二度言わせんな」


「…………」


 ロイドさんが。


 ログを見る。


「ログだっけ?」


「……なんすか」


「ナーラ姫を担げ」


「…………」


 ログが。


 バルガス隊長を見る。


「…………」


 バルガス隊長は。


 もう。


 こっちを。


 見ていない。


「……分かりました」


 《崩槌》が。


 茶色い光へ。


 変わる。


 そして。


 消える。


 ログが。


 ナーラさんの傍へ。


 しゃがみ込む。


「失礼します」


 身体を。


 慎重に。


 持ち上げる。


「…………」


 ロイドさんが。


 今度は。


 セブランさんを見る。


「あんたも」


「…………」


「早く来い」


「……分かった」


「待ってくれ」


「何だ」


 セブランさんが。


 ログに担がれた。


 ナーラさんを見る。


「毒が回っている」


「…………」


「このまま走れば危険だ」


「じゃあどうすんだ」


「少しだけ時間をくれ」


「…………」


 ロイドさんが。


 バルガス隊長を見る。


「隊長」


「構わん」


「…………」


「こっちは俺が持たせる」


「ししし」


 セトが。


 鞭を。


 ゆっくり。


 持ち上げる。


「私の前で解毒ですか?」


「…………」


「随分と」


 毒針が。


 光る。


「舐められたものですねぇ」


 ――パシンッ!!


「!」


 鞭が。


 走る。


 セブランさんへ。


「させるかぁ!!」


 ――ドゴォン!!


「おや」


 バルガス隊長が。


 割って入る。


 拳が。


 鞭の軌道を。


 弾き飛ばす。


「…………!」


「セブラン殿!」


 バルガス隊長が。


 叫ぶ。


「治療にどれくらいかかる!」


「…………」


 セブランさんが。


 ナーラさんの。


 傷を見る。


「応急処置だけなら、すぐだ!」


「よし!」


 バルガス隊長が。


 セトを。


 睨む。


「ならやれ!」


「分かった!」


「ししし」


「…………」


 セトが。


 笑う。


「なるほど」


 《毒吻》を。


 構える。


「まずは貴方を片付けないと」


「何もさせてもらえそうにありませんねぇ」


「やってみろ」


 バルガス隊長が。


 腰を。


 落とす。


「…………」


 そして。


 口元を。


 僅かに。


 吊り上げた。


「こっから先は」


 拳を。


 握る。


「俺が相手だ」

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