↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
星詠国家ルミナス クーデター編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
351/475

反乱の目的

     ◇ ◇ ◇


 ――ドォォォォン!!


「…………!」


 轟音。


 建物が。


 大きく揺れる。


 吹き飛んだ壁から。


 土煙が。


 舞い上がった。


「…………」


 その向こう。


 ガオンの姿が。


 遠ざかっていく。


 腕には。


 ジル。


 肩には。


 侍女。


「…………」


 リシェルは。


 《射恋》を。


 握り締める。


 追わなければ。


 あの男は。


 裏切り者。


 王家を。


 陛下を。


 そして。


 ルミナスを。


 裏切った。


「…………」


 ならば。


 ここで。


 逃がすわけには――


「…………?」


 足が。


 動かない。


「……なぜ」


 脳裏に。


 先ほどの言葉が。


 蘇る。


『俺は、この国を裏切っていない』


「…………」


 嘘だ。


 ガオンは。


 王宮を襲った。


 陛下を裏切り。


 この国を。


 奪おうとした。


 だから。


 私は。


 戦った。


「…………」


 間違っていない。


 そのはず。


『俺がルミナスを裏切ることだけは――』


 あの時。


 ガオンは。


 真っ直ぐ。


 こちらを見ていた。


『絶対にない』


「…………」


 嘘を。


 ついているようには。


 見えなかった。


「…………っ」


 何を。


 考えているの。


 私は。


 ガオンは。


 敵。


 裏切り者。


 それは。


 分かっている。


「…………」


 なのに。


 なぜ。


 こんなにも。


 引っ掛かる。


「……ガオン」


 崩れた。


 壁の向こう。


 もう。


 その姿は。


 見えない。


「…………」


 追うべき。


 今なら。


 まだ。


 間に合う。


「…………」


 それでも。


 足が。


 動かない。


「…………なぜ」


 胸元へ。


 手を当てる。


 ガオンは。


 裏切り者。


 そのはず。


 なのに。


 あの男は。


 ジルを。


 守っていた。


 自分の身体を。


 盾にしてまで。


 必死に。


「…………」


 妹だから。


 それだけ。


 国を裏切ったこととは。


 何の関係もない。


「…………」


 分かっている。


 分かっているのに。


 胸の奥に。


 小さな。


 棘のようなものが。


 残っている。


「…………」


 リシェルは。


 自分の手を見る。


 《射恋》。


 この手で。


 何度も。


 ガオンを。


 狙った。


「…………」


 もし。


 あの言葉が。


 本当なら。


「…………!」


 そこまで。


 考えて。


 首を振る。


「違う……」


 何を。


 迷っているの。


 自分が。


 見たものを。


 疑うの?


「…………」


 乙女座の加護。


 記憶。


 私は。


 忘れない。


 見たものも。


 聞いたものも。


 鮮明に。


 覚えている。


「…………」


 だから。


 間違えるはずがない。


 ガオンは。


 裏切った。


「…………」


 それなのに。


 なぜ。


 あの目が。


 頭から。


 離れない。


     ◇ ◇ ◇


「…………」


 カルキス族。


 ピシエル族。


 タウルス族。


 ヴィルネ族。


 カプリス族。


 そして。


 スコルネ族。


「…………」


 六つ。


 ルミナスにいる。


 十二の部族。


 その。


 半分。


「……反乱」


 口にしてみても。


 なんだか。


 しっくりこない。


「…………」


 六つの部族が。


 一斉に。


 ガオン達へ。


 反乱。


「……なんか変だ」


「?」


 隣にいた。


 レテが。


 こっちを見る。


「どうしたんですか? アルトくん」


「いや……」


 頭を。


 掻く。


「上手く言えないんだけど」


「はい」


「六つの部族が一斉に反乱したんだよね?」


「……そうみたいですね」


「…………」


 六つ。


 半分。


「それにさ」


「はい?」


「半分がガオン達に反乱したんだったら……」


 指を。


 折る。


 一つ。


 二つ。


 頭の中で。


 数える。


「後の五部族は?」


「…………」


 レテが。


 目を瞬く。


「レオニス族を除いた、残りの部族ですか?」


「うん」


「…………」


 レテが。


 少し。


 考える。


「確かに……今のところ、その五部族がどうしているのかは分かりませんね」


「だよね」


「…………」


 反乱。


 国を。


 ひっくり返す。


 王族を。


 倒す。


「…………」


 でも。


 なんだろう。


 それだけなら。


 何か。


 変な気がする。


「なんかさ……」


「はい」


「これ、本当に反乱することが目的なのかな」


「…………」


 レテの。


 表情が。


 変わる。


「どういうことですか?」


「分かんない」


「…………」


「俺も上手く説明できないんだけど……」


 六つの部族。


 残りの。


 五つの部族。


 それに。


 ガオン達。


「反乱したいだけなら……なんか、もっと別のやり方がありそうっていうか」


「…………」


「これだけ大きなことになってるのに、何がしたいのか全然見えてこないんだよ」


「…………」


 レテが。


 黙り込む。


「だから……」


 もう一度。


 六つの部族を。


 頭に浮かべる。


「反乱が目的じゃなくて……」


「…………」


「別に何かあるんじゃないかなって」


「別の……目的」


「うん」


「…………」


 でも。


 それが。


 何なのか。


 俺には。


 まだ。


 分からない。


「…………」


「おい」


「!」


 ロイドさんの。


 声。


「いつまで突っ立ってんだ」


「ロイドさん」


「考えるのは勝手だがな」


 辺りを。


 見回す。


「ここが安全だって決まったわけじゃねぇぞ」


「……そうだった」


「アルトくん。行きましょう」


「うん」


「ったく……」


 ロイドさんが。


 頭を掻く。


 そのまま。


 歩き出す。


「…………」


 俺も。


 後を追おうとして。


 ふと。


 振り返る。


「…………」


 セブランさん。


 負傷者の。


 治療を続けている。


 その横顔は。


 真剣で。


 さっきまでと。


 何も。


 変わらない。


「アルトくん?」


「あ、うん!」


 レテに。


 呼ばれ。


 前を向く。


「…………」


 反乱。


 その言葉だけでは。


 どうしても。


 何かが。


 足りない。


 そんな。


 引っ掛かりだけが。


 頭の中に。


 残っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。