俺がやるべきこと②
「はっ!やってやる…」
ゆっくり。
息を吸う。
身体の。
奥へ。
意識を向ける。
「…………」
熱。
もっと。
上げろ。
ドクン。
ドクン。
心臓が。
強く。
脈打つ。
「…………っ」
身体の。
内側から。
熱が。
込み上げてくる。
額から。
汗が。
一筋。
流れ落ちた。
「…………」
まだだ。
もっと。
「何をするつもりです?」
「…………」
答えない。
リシェルを。
睨んだまま。
さらに。
体温を上げる。
――ガシュ。
「…………!」
両腕。
《灼獅》が。
低い。
機械音を鳴らす。
掌に開いた。
穴。
そこから。
身体に溜め込んだ熱を。
吸い上げていく。
――ゴォォォォォ……。
「…………っ」
熱い。
当然だ。
自分で。
上げているんだから。
でも。
まだ。
足りない。
「…………」
リシェルの。
視線が。
《灼獅》へ向く。
「その魔器……」
「…………」
――ヒュッ!
「!」
《射恋》。
一本。
首を。
傾ける。
躱す。
――ガン!
背後へ。
突き刺さる。
「…………」
追うな。
今は。
溜めろ。
「攻めてこないのですか?」
「…………」
リシェルの。
指の間に。
また。
一本の《射恋》。
「先ほどまでの威勢はどうしました?」
「……黙っていろ」
「…………」
――ヒュッ!
飛ぶ。
一本が。
途中で。
二本。
四本へ。
「っ!」
右腕。
――キン!
左腕。
――キィン!
二本を。
弾く。
残り。
二本。
身体を。
僅かにずらす。
――ザッ!
「ぐっ……!」
一本が。
肩を掠める。
それでも。
動かない。
「…………?」
リシェルの。
眉が。
僅かに動く。
「なぜ、距離を詰めないのです?」
「…………」
気づいたか。
「怖くなりましたか?」
「…………」
違う。
今は。
その必要がない。
ドクン。
さらに。
体温を。
引き上げる。
――ガシュン。
《灼獅》が。
吸い上げる。
「…………っ!」
両腕が。
重い。
熱が。
溜まっていく。
まだ。
足りない。
もっと。
「…………」
リシェルが。
《射恋》を。
構える。
――ヒュッ!
「!」
一本。
正面。
「…………」
避け――
いや。
後ろには。
二人。
「くっ!」
《灼獅》を。
振るう。
――キィン!
弾く。
その瞬間。
一本の杭が。
増える。
「!」
四本。
弾かれながら。
それぞれが。
別の方向へ。
飛んでいく。
――キン!
「…………!」
一本が。
先ほど。
突き刺さった《射恋》へ。
当たる。
反射。
さらに。
別の杭へ。
――キィン!
「またか!」
軌道が。
変わる。
その先。
「ジル!」
踏み込む。
――ガキン!
銀爪で。
叩き落とす。
「…………っ!」
危ない。
やはり。
長引かせるのは。
まずい。
「…………」
それに。
俺の身体も。
限界に近い。
「…………」
大きく。
息を吸う。
そして。
一気に。
体温を。
引き上げる。
「っ……!」
熱い。
皮膚が。
焼けるように。
熱を持つ。
――ガシュン!
両腕の。
《灼獅》が。
大きく。
開く。
ゴォォォォォォォ!!
身体から。
溢れ出した熱を。
《灼獅》が。
吸い込んでいく。
「…………!」
リシェルの。
表情が。
初めて。
僅かに変わった。
「ガオン……?」
「…………」
まだだ。
もう少し。
あと。
少しだけ。




