全員だ!
◇ ◇ ◇
軍事局。
会議室には。
各隊を預かる者達が集められていた。
「では」
ノアが。
机を囲む面々を見る。
「ルミナス派遣部隊の編成を決めます」
「その前に一ついい?」
ヴェロニカが手を上げる。
「どうぞ」
「シオンくんは?」
「シオン隊には別の任務を任せます」
「あら」
「よって、今回は不参加です」
「ふーん」
ヴェロニカは。
少しつまらなそうに頬杖をつく。
「ま、いいわ。ウチはパイルを出す」
「パイル・ヤンギル君ですね」
「えぇ」
「分かりました」
ノアが。
手元の紙に名前を書き加える。
「では、アーヴェル隊長」
「はい」
「あなたの隊からは?」
「ヒルト、セリオ、私を除く全員を出します」
「ということは」
ノアが名簿を確認する。
「オーズィラさん、スミスマン君、リーベさん、アルトくんの四名ですね」
「はい」
ノアが。
四人の名前を書き加える。
「ヒルト君は、まだ謹慎中でしたね」
「はい」
「セリオ君はスパーナ」
「その通りです」
「分かりました」
「俺んとこは全員です!」
突然。
会議室に。
大声が響いた。
バルガスだった。
「…………」
ノアが顔を上げる。
「バルガス隊長」
「はい!」
「まだあなたには聞いてませんよ」
「どうせ聞くんでしょう!」
「順番というものがあります」
「ガハハハハ! 細けぇこと気にしないでくださいよ!」
「気にします」
「そうですか!」
「…………」
返事だけは。
妙にいい。
「それで」
ノアが。
改めてバルガスを見る。
「全員ということでいいんですね?」
「もちろんです!」
「…………」
アーヴェルが。
横から口を挟む。
「バルガス」
「なんだ?」
「お前の隊は今、二人だけだろう」
「おう!」
「つまり」
「俺とユノだ!」
バルガスが。
豪快に笑う。
「二人とも行くぞ!」
「隊の人間が誰も残らないぞ」
「俺が行くんだから仕方ねぇだろ!」
「…………」
アーヴェルが。
僅かに眉間を押さえる。
「何か問題あんのか?」
「いや」
「ならいいじゃねぇか!」
「……そうだな」
「ガハハハハ!」
「そこで納得するんですか?」
ノアが。
二人を見る。
「問題はありません」
「ならいいですが……」
ノアが。
名簿へ視線を戻す。
「ヴェロニカ隊から、パイル・ヤンギル君」
一つ。
「アーヴェル隊から、オーズィラさん、スミスマン君、リーベさん、アルトくん」
そして。
「バルガス隊から、フェルメル君」
「はい!」
「それと」
ノアが顔を上げる。
「バルガス隊長本人」
「もちろんです!」
「…………」
ノアが。
集まった人員を確認する。
しばらく。
名簿を眺めて。
「ということは」
「はい?」
赤い瞳が。
バルガスへ向く。
「今回、ルミナスへ向かう隊長はあなた一人ですね」
「そうなりますね!」
「では」
ノアが。
名簿を机へ置く。
「バルガス隊長」
「はい!」
「今回の派遣部隊の指揮をお願いします」
「任せてください!」
即答だった。
バルガスが。
大きな拳を胸へ叩きつける。
「全員まとめて連れてってやりますよ!」
「連れて行くだけでは困ります」
「分かってますって!」
バルガスが。
にっと笑う。
「全員まとめて」
一拍。
「連れて帰ってくりゃいいんでしょう?」
「…………」
ノアが。
僅かに目を細める。
「えぇ」
「だったら問題ねぇです!」
もう一度。
拳を胸へ叩きつける。
「一人も置いてきませんよ!」
「…………」
ノアが。
小さく頷いた。
「お願いします」
「はい!」
こうして。
ルミナスへ向かう臨時部隊。
その編成と。
指揮官が決まった。




