編成②
「オーズィラ、スミスマン」
「はい」
「はい」
アーヴェル隊長が。
二人を見る。
「今回の任務。お前達に行ってもらう」
「分かりました」
レテがすぐに頷く。
「承知しました」
ログも。
いつも通り。
落ち着いて答えた。
「…………」
ん?
待て。
今。
二人だけ?
「隊長」
「なんだ」
「俺は?」
「…………」
「俺は?」
「聞こえている」
「じゃなくて!」
思わず。
机に手をつく。
「俺は行かないんですか?」
「あぁ」
「なんでですか!」
「アルト」
「だってガオンが――」
「落ち着け」
「でも!」
「アルトくん」
レテが。
困ったように俺を見る。
「まだ話の途中ですよ」
「え?」
「最後まで聞きましょう?」
「…………はい」
座り直す。
アーヴェル隊長が。
小さく息を吐いた。
「リーベ」
「はい」
「お前もだ」
「私もですか?」
「あぁ」
「了解です!」
フィリアが笑う。
「久しぶりに動ける任務ですね!」
「無茶はするな」
「分かってますって!」
「…………」
俺は。
もう一度。
隊長を見る。
「…………」
「…………」
「隊長」
「なんだ」
「俺は?」
「…………」
「なんで俺だけ忘れてるんですか?」
「忘れてはいない」
「じゃあなんで!」
「アルト」
「はい!」
「お前は――」
コンコン。
「…………」
扉が叩かれた。
「入れ」
「失礼します」
一人の兵士が入ってくる。
「クロイツ隊長。軍事局より追加の通達です」
「なんだ」
「ルミナス派遣部隊の人員についてです」
「もう決まったのか?」
「一部のみですが」
兵士が。
一枚の紙を差し出す。
アーヴェル隊長が受け取る。
「…………」
上から。
順に目を通していく。
「隊長?」
「…………」
なんだ?
その顔。
「どうしたんですか?」
「いや」
隊長が。
俺を見る。
「ちょうどいい」
「?」
「アルト」
「はい」
「お前も行け」
「…………」
「…………」
「え?」
「ルミナスへ行け」
「行っていいんですか?」
「あぁ」
「よし!」
思わず立ち上がる。
「待ってろよ、ガオン!」
「うるさい」
「すみません!」
「アルトくん……」
レテが苦笑する。
「よかったですね」
「はい!」
「それで」
フィリアが。
アーヴェル隊長の持っている紙を見る。
「どうして急にアルトも行くことになったんですか?」
「ノア局長からの指名だ」
「俺を?」
「あぁ」
「…………」
なんでだ?
「理由は書かれているのですか?」
ログが聞く。
「いや。書かれていない」
「そうですか」
「ただ」
アーヴェル隊長が。
もう一度。
紙を見る。
「お前達四人だけではない」
「他にもいるんですか?」
フィリアが聞く。
「あぁ」
「誰が来るんですか?」
「各隊から選抜すると言っていただろう」
「そうでしたね」
アーヴェル隊長が。
紙を机へ置く。
「今回の任務は、通常の部隊編成では行わない」
「…………」
「複数の隊から必要な人員を集め、臨時部隊を編成する」
臨時部隊。
レテ。
ログ。
フィリア。
俺。
それに。
他の隊の人達。
「誰が来るんだろ」
「さぁな」
ログが答える。
「ですが、遊びに行くわけではありませんよ」
「分かってるよ」
「本当ですか?」
「分かってるって!」
「ならいいですが」
「ログ、俺のこと信用してないだろ」
「普段の行いです」
「ひどい!」
「ふふっ」
レテが小さく笑う。
「アハハハ! アルト、完全に信用ないじゃん!」
「フィリアまで!」
「静かにしろ」
「はい!」
「すみません!」
俺とフィリアの声が重なった。
「…………」
アーヴェル隊長が。
額を押さえる。
「本当に大丈夫か……」
「隊長」
「なんだ」
「大丈夫です」
「お前が言うと不安になる」
「なんでですか!」
また。
フィリアが笑う。
レテも。
少しだけ笑っていた。
でも。
すぐに。
アーヴェル隊長の表情が戻る。
「いいか」
俺達を見る。
「今回の任務は、今までとは違う」
「…………」
「敵が誰なのか分からない。何人いるのかも分からない。そもそも、本当にクーデターが起きているのか。それすら現地で確認する必要がある」
誰も。
笑わなくなった。
「そして」
隊長が。
俺を見る。
「レオニスを助けることだけが任務ではない」
「…………」
「分かっているな、アルト」
「はい」
ガオンを。
助けたい。
その気持ちは変わらない。
でも。
さっき。
ノアさんに言われたばかりだ。
俺達は。
ガオン一人を助けるためだけに。
ルミナスへ行くんじゃない。
「任務を優先します」
「……よし」
アーヴェル隊長が頷く。
「出発まで時間はない」
レテ。
ログ。
フィリア。
そして。
俺。
「各自、準備しておけ」
「はい」
「承知しました」
「はい!」
「はい!」
こうして。
結局。
俺達四人全員が。
ルミナスへ向かうことになった。




