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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
入隊試験

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かつての友人

ゼンが手伝ってくれたおかげで。


 片付けは。


 思ったより早く終わった。


「よし……これで最後だな」


「あぁ」


「すぐ行くから待ってろ」


「……あぁ」


 ゼンを廊下に残し。


 俺は部屋へ戻る。


「レテ」


「はい?」


「そっちはもう済んだか?」


「もうすぐです」


「悪りぃけど、ちょっと先帰ってもいいか?」


「大丈夫ですよ!」


「サンキュ」


「お疲れ様でした」


「ユノも悪いな」


「いえ。こっちは任せてください」


「頼んだ!」


 部屋を出る。


 ゼンは壁にもたれて待っていた。


「待たせたな」


「……人目のつかないとこに行くぞ」


「え?」


 ゼンが歩き出す。


「……あ! まさか!」


「なんだよ」


 演習場へ向かいながら。


 冗談っぽく。


 自分の身体を抱く。


「俺のこと襲うつもりか!?」


「なわけねーだろ! ゴリラ!」


「うるせぇ! ほうき頭!」


「誰がほうき頭だ!」


「お前以外に誰がいるんだよ!」


「てめぇ!」


「ははは!」


「……ははは!」


 どちらからともなく。


 笑い出す。


「ったく……くだらねぇ」


「お前がゴリラとか言うからだろ!」


「最初に変なこと言ったのお前だろうが!」


「ははっ!」


 並んで。


 演習場へ向かう。


「…………」


 こんなやり取りも。


 随分と。


 久しぶりだった。


「久しぶりだな」


「……そうだな」


「…………」


「…………」


 少し。


 沈黙が続く。


「……ヒルトとのことだろ?」


「…………」


「あぁ」


「はぁ……」


 やっぱりか。


「俺は」


「…………」


「あいつをいじめたよ」


「知ってるよ」


「…………」


「理由も、なんとなく分かる」


「……!」


 ゼンが。


 こっちを見る。


「お前……」


「リヒトさんがいなくなってから、ヒルトが塞ぎ込んでたから」


「…………」


「どうすりゃいいか、分かんなかったんだろ?」


「…………」


 ゼンは。


 何も答えない。


 否定も。


 しなかった。


「…………」


 そのまま。


 二人で歩く。


 外は。


 もう暗くなり始めていた。


 演習場にも。


 人の姿はない。


 昼間なら響いている。


 剣戟も。


 掛け声も。


 今は聞こえなかった。


「…………」


 演習場の中央まで来て。


 ゼンが。


 足を止める。


「…………」


 俺も。


 隣で立ち止まる。


「はぁ……」


 頭を掻く。


「んで?」


「あ?」


 ゼンを見る。


「どうしたいんだよ?」


「…………」


 ゼンは。


 何も答えず。


 暗くなり始めた空を。


 見上げた。

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