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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
入隊試験

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憤怒する役者

「では……」


 ノアが。


 気だるそうに。


 赤い瞳を。


 キールへ向ける。


「はじめに」


「…………」


「貴方は」


 少し。


 間を置く。


「獣の森で何を?」


「…………」


 キールが。


 口元を。


 僅かに上げる。


「次の舞台の」


「?」


「準備を」


「…………」


 ノアの。


 眉が。


 僅かに動く。


「舞台とは?」


「…………」


 キールが。


 椅子へ。


 深く身を預ける。


「まだ」


 楽しそうに。


 笑う。


「告知には早いですよ」


「…………」


「まぁ」


 首を傾ける。


「お望みなら」


 ノアを見る。


「特等席を」


「…………」


「用意しましょうか?」


「…………」


 ノアは。


 表情を変えない。


「結構です」


「おや」


「次です」


「…………」


 ノアが。


 淡々と。


 続ける。


「他の指名手配犯との」


「…………」


「関わりは?」


「…………」


 キールが。


 鼻で笑う。


「あんな」


「?」


「三流役者共のことなど」


 肩をすくめる。


「知りませんねぇ」


「…………」


「では」


 ノアが。


 視線を。


 細める。


「リヒト・エルナーとの」


「…………」


「関わりは?」


「…………」


「?」


 キールが。


 本当に。


 分からないという顔をする。


「誰です?」


「…………」


「主演は」


 胸を張る。


「私ですよ?」


「…………」


「…………」


「はぁ……」


 ノアが。


 深く。


 ため息を吐く。


「話が進みませんねぇ」


「当然でしょう」


 キールが。


 にやりと笑う。


「役者が」


「…………」


「台本を全て」


「…………」


「明かすとでも?」


「…………」


「局長殿」


「?」


 バルガスが。


 横から。


 声をかける。


「まぁまぁ」


 いつもの。


 豪快な笑み。


「ここは」


「…………」


「俺に任せてくださいよ」


「…………」


 ノアが。


 ゆっくり。


 バルガスを見る。


「……バルガス隊長が」


「はい」


「尋問を?」


「まぁ」


 バルガスが。


 腕を組む。


「見ててください」


「…………」


 ノアが。


 少しだけ。


 目を細める。


「……どうぞ」


「ダッハハ」


「…………」


 バルガスが。


 キールの前へ。


 歩いていく。


「…………」


「…………」


 二人の。


 視線が。


 ぶつかる。


「よぉ」


「…………」


 バルガスが。


 ニッと笑う。


「久しぶりだな」


 そして。


「妄想野郎」


「…………!」


 キールの。


 顔が。


 一瞬で。


 歪んだ。


「バルガス……!」


「ダッハハ!」


「貴様……!」


 椅子へ。


 縛られたまま。


 身を乗り出す。


「殺してやる!」


「ダァッハッハッハ!」


 バルガスが。


 腹を抱えて。


 笑う。


「何がおかしい!」


「いやぁ」


 目元を。


 拭う。


「悪い悪い」


「…………!」


「でもよぉ」


 バルガスが。


 キールを見る。


「十九の」


「…………」


「小娘に負けた奴が」


 ニヤリ。


「何を言ってんだ!」


「…………!」


「ダッハハハハ!」


「貴様ァァァ!」


 キールの怒声が。


 狭い部屋に。


 響き渡った。


「…………」


 ノアが。


 その様子を見ながら。


 小さく。


 目を細める。


「……なるほど」


「?」


 ミレイアが。


 ノアを見る。


「何がです?」


「いえ」


 ノアが。


 気だるそうに。


 息を吐く。


「尋問というより」


「…………」


「煽っているだけに見えまして」


「ダッハハ!」


「褒めてませんよ」


「分かってますって!」


 キールだけが。


「バルガスゥゥゥ!」


 真っ赤な顔で。


 叫び続けていた。

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