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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
入隊試験

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時間稼ぎ

「あはは!」


「もう……」


 まったく。


 アルトくんは。


「…………」


 残っていた。


 飲み物を。


 一口。


「…………」


 ふと。


 店内の。


 時計が。


 目に入った。


「…………」


「…………」


「…………え?」


 もう一度。


 見る。


「…………」


 時間。


「…………」


「…………!」


 だいぶ。


 ゆっくりしてしまった!


「アルトくん!」


「ん?」


「急いでください!」


「え?」


 ガタッ!


 椅子から。


 立ち上がる。


「早く戻らないと!」


「ちょ、ちょっと待って!」


「待てません!」


「なんで急に!?」


「いいから急いでください!」


「さっきまでゆっくりしてたじゃん!」


「だからです!」


「?」


 しまった。


 思った以上に。


 話し込んでしまった。


 アルトくんを。


 連れ出して。


 時間を潰す。


 そこまでは。


 予定通り。


 でも。


 これ以上は。


 駄目。


「ほら、アルトくん!」


「待って! まだ飲み物が!」


「一気に飲んでください!」


「熱いよ!」


「では諦めてください!」


「もったいない!」


「どっちですか!」


「飲む!」


「じゃあ早く!」


 アルトくんが。


 カップを掴む。


「熱っ!」


「だから言ったじゃないですか!」


「レテが飲めって言ったんだろ!?」


「一気にとは……」


「言ったよ!」


「…………」


 言いました。


「すみません!」


「絶対今それどころじゃないでしょ!?」


「はい!」


「認めた!」


 アルトくんが。


 慌てて。


 残りを飲んでいる間に。


 私は。


 会計を済ませる。


「ごちそうさまでした!」


「ご、ごちそうさまでした!」


 店を。


 飛び出す。


「レテ!」


「はい!」


「どこ行くの!?」


「戻ります!」


「どこに!?」


「軍です!」


「やっと!?」


「やっとです!」


「…………」


「…………」


 あ。


「やっぱり今まで時間潰してた!?」


「…………!」


 しまった。


「レテ?」


「…………」


「今のどういう意味?」


「アルトくん!」


「なに?」


「走りますよ!」


「誤魔化した!」


 走る。


 とにかく。


 今は。


 戻らないと。


 ログさんと。


 ユノくんが。


 待っている。


「レテ速いって!」


「急いでください!」


「だからなんで!?」


「着けば分かります!」


「何が!?」


「着けば分かります!」


「それ今日ずっと言ってない!?」


「気のせいです!」


「絶対気のせいじゃない!」


 アルトくんの声を。


 背中で聞きながら。


 私は。


 ガイスト軍へ。


 急いだ。


「…………」


 けれど。


 途中。


 ほんの一瞬。


 足が。


 緩む。


「……?」


 視線の先。


 先ほどの。


 雑貨屋。


「…………」


 あの。


 ブレスレット。


「…………」


 アルトくん。


 気に入ってましたよね。


「レテ?」


「……!」


「どうしたの?」


「…………」


 時計。


 雑貨屋。


 そして。


 アルトくん。


「…………」


 どうしましょう。

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