初仕事……?
◇ ◇ ◇
ガイストの街。
「…………」
アルトは。
レテに連れられ。
歩いていた。
「…………」
「…………」
歩く。
「…………」
「…………」
まだ。
歩く。
「レテ」
「はい!」
「どこ行くの?」
「…………」
「…………」
「レテ?」
「もう少しです!」
「それ、さっきも聞いた!」
「もう少しです!」
「同じ答え!」
「だ、大丈夫です!」
「それも聞いた!」
アルトが。
足を止める。
「レテ」
「はい?」
「目的地」
「…………」
「決まってる?」
「…………」
「…………」
「もちろんです!」
「俺の目見て言って」
「…………」
「…………」
すっ。
レテの視線が。
横へ逸れる。
「逸らした!」
「逸らしてません!」
「めちゃくちゃ逸らしたよ!」
「む、向こうが気になっただけです!」
「何が?」
「…………」
「…………」
レテが。
辺りを見回す。
「あ!」
「?」
「あそこです!」
ビシッ!
指差した先。
一軒の。
雑貨屋。
「あそこに行きましょう!」
「絶対今決めたよね!?」
「決めてません!」
「本当?」
「ほ、本当です!」
「…………」
「…………」
「まあいっか!」
「……!」
アルトが。
雑貨屋へ。
歩き出す。
「行こう!」
「はい!」
◇ ◇ ◇
カラン。
扉を開く。
「おおー」
店内には。
小物。
装飾品。
髪飾り。
様々な品が。
所狭しと。
並んでいた。
「…………」
アルトが。
店内を見回す。
「ここ……」
「?」
「ヴェロニカ隊長と来たなぁ」
「え?」
レテが。
アルトを見る。
「ヴェロニカ隊長とですか?」
「うん!」
「珍しい組み合わせですね」
「そう?」
「はい」
レテが。
首を傾げる。
「何をしに来たんですか?」
「ヴェロニカ隊長をエスコートしてさ」
「…………」
「…………」
「え?」
「エスコートですか?」
「うん!」
「アルトくんが?」
「そう!」
「ヴェロニカ隊長を?」
「そう!」
「…………」
ぱちぱち。
レテが。
瞬きをする。
「……どうして?」
「入隊試験だよ!」
「…………」
「…………」
「ふっ」
「?」
「ふふっ」
「なんで笑うの!?」
「す、すみません」
レテが。
口元を押さえる。
「どんな試験なんですか、それ」
「俺もそう思った!」
「それで」
まだ。
少し笑いながら。
「何をしたんですか?」
「えっと……」
アルトが。
指を折る。
「荷物持ったり」
「はい」
「椅子引いたり」
「はい」
「服選んだり」
「服も選んだんですか?」
「うん!」
「へぇ……」
「あとは」
もう一本。
指を立てる。
「靴もプレゼントした!」
「…………」
「…………」
「レテ?」
「靴までプレゼントしたんですか?」
「した!」
「…………」
レテが。
じっと。
アルトを見る。
「それ、本当に入隊試験ですか?」
「俺に聞かないでよ!」
「ふふっ」
「ちゃんと合格したんだからな!」
「それは知ってますけど」
「ヴェロニカ隊長も喜んでたし!」
「そうなんですね」
「うん!」
「…………」
レテが。
少しだけ。
不思議そうに。
アルトを見る。
「アルトくん」
「ん?」
「意外と、そういうことできるんですね」
「そういうこと?」
「女性に服を選んだり、靴を贈ったりです」
「…………」
アルトが。
首を傾げる。
「ヴェロニカ隊長に言われたからやっただけだよ?」
「…………」
「?」
「やっぱり変な試験ですね」
「だろ!?」
「ふふっ」
「俺、めちゃくちゃ大変だったんだから!」
「でも」
レテが。
並んだ装飾品へ。
視線を向ける。
「ちゃんと似合うものを選べたんですよね?」
「うん!」
「そうですか」
「…………」
アルトも。
何となく。
棚へ目を向ける。
「あ」
「?」
一つの。
髪飾り。
「これ」
アルトが。
何気なく。
手に取る。
「レテ」
「はい?」
「ちょっとこっち」
「?」
すっ。
髪飾りを。
レテの頭の近くへ。
持っていく。
「…………」
「…………?」
右。
少し離す。
左。
もう一度。
見比べる。
「…………」
「…………」
「うん」
「?」
アルトが。
笑う。
「レテに似合いそう」
「…………」
「…………」
「……そうですか?」
「うん!」
アルトが。
もう一度。
髪飾りと。
レテを見比べる。
「やっぱ似合うと思う!」
「…………」
「レテ?」
「いえ……」
レテが。
髪飾りを見る。
「…………」
さっき。
聞いたばかりの。
話。
ヴェロニカ隊長にも。
こうやって。
似合うものを。
選んだのだろうか。
「…………」
なんでしょう。
これ。
嫌なわけではない。
怒っているわけでもない。
ただ。
ほんの少し。
胸の奥に。
何かが。
引っかかる。
「…………」
「レテ?」
「……ありがとうございます」
「?」
アルトが。
首を傾げる。
「お礼言われること?」
「私にも分かりません」
「え?」
「ふふっ」
「なんだよそれ!」
アルトが。
髪飾りを。
元の場所へ戻す。
「…………」
レテが。
そんなアルトを。
ちらりと見る。
「…………」
そして。
並んだ。
装飾品へ。
視線を移した。
「そういえば」
「ん?」
「アルトくんは」
レテが。
一つのブレスレットを。
何気なく手に取る。
「こういうものには、興味ないんですか?」
「こういうの?」
「はい」
「アクセサリーとかです」
「俺?」
「はい」
「うーん……」
アルトが。
レテの隣へ。
やってくる。
「俺、あんまり付けたことないからなぁ」
「そうなんですね」
「でも……」
ネックレス。
指輪。
腕輪。
いくつもの装飾品へ。
アルトの目が。
向けられていく。
「…………」
その中で。
「……あ」
足が。
止まった。
「?」
「これ」
アルトの手が。
一つの。
ブレスレットへ。
伸びる――。




