面白くなってきたぽっい
その目から。
先ほどまでの迷いが。
消えていた。
「…………」
ライが。
そんなヒルトを見て。
ニヤリと笑う。
「お?」
「…………」
「いい目になったじゃん」
「答えてもらうよ」
「だから」
カタールを。
くるりと回す。
「聞き出してみろって」
「……そう」
ヒルトが。
《ツインコード》の銃口を向ける。
「じゃあ――」
淡い霊素が。
二丁の銃を包み始めた。
「そうする」
「ハハッ!」
バチッ!
ライの身体から。
青白い雷が弾ける。
「来いよ!」
消えた。
「右だ!」
ゼンが叫ぶ。
パンッ!
ヒルトは。
振り向くより先に。
右へ撃った。
「おっと!」
雷が。
急激に軌道を変える。
「後ろ!」
パンッ!
「うおっ!」
今度は。
ライが大きく仰け反った。
霊素を纏った銃弾が。
胸元を掠める。
「…………」
ヒルトは。
ライを目で追っていない。
「へぇ」
ライが。
少し離れた場所へ着地する。
「そいつ便利だな」
「誰がそいつだ!」
ゼンが叫ぶ。
「ゼン」
「あ?」
「そのまま続けて」
「命令すんな!」
「でもやるでしょ?」
「……チッ!」
ゼンが。
地面へ手を触れる。
速い。
目では。
追えない。
だが。
地面を蹴れば。
振動は残る。
「来るぞ!」
バチッ!
「左!」
パンッ!
「後ろ!」
パンッ!
「右斜め前!」
パンッ!
「うっぜぇ!」
ライが。
雷を纏ったまま急停止した。
「なんだよそれ!」
「ハッ!」
ゼンが笑う。
「どうした! 自慢の速さが台無しだな!」
「…………」
ライが。
ゼンを見る。
「あ?」
「…………」
ニィッ。
笑った。
「じゃ」
身体を沈める。
「先にお前潰すわ」
「……!」
バヂッ!!
「ゼン!」
「分かってる!」
地面から。
振動。
「正面!」
ゼンが。
《クラッシャー》を構える。
「来い!」
ドンッ!
地面が爆ぜる。
一直線。
ライが迫る。
「おらぁ!」
ゼンが拳を振り抜いた。
「――なーんてな」
「……あ?」
ライが。
消えた。
「上!」
ヒルトが叫ぶ。
「なっ――」
頭上。
ライが。
雷を纏いながら。
身体を捻っている。
「もらい!」
カタールが。
振り下ろされる。
パンッ!
「……!」
銃弾が。
ライの腕へ当たった。
血が飛ぶ。
「チッ!」
軌道が逸れた。
ギィン!
カタールが。
《クラッシャー》の表面を削る。
「この!」
ゼンが。
空いた左拳を振るう。
「ハハッ!」
ライが。
その拳を避け――。
「今!」
「……あ?」
ヒルトの声。
ライの足元。
ゼンが避けさせた先。
そこには。
小さな魔器。
「またそれかよ!」
「――《拘束》」
カチッ。
「っ!」
見えない力が。
ライの脚へ絡みつく。
「チッ……!」
「ゼン!」
「言われなくても!」
ゼンの周囲から。
土と石が。
一気に巻き上がる。
霊素が。
それらを強固に固め。
右腕の《クラッシャー》へ。
幾重にも纏わりついていく。
「もう一発――!」
「…………!」
ライが。
拘束を引き千切ろうとする。
「《グランドインパクト》!」
ドゴォンッ!
「ぐっ!」
拳が。
ライの腹へ突き刺さった。
初めて。
ライの身体が。
くの字に折れた。
「おらぁぁぁ!」
ゼンが。
そのまま振り抜く。
ドンッ!
ライが。
地面を跳ねながら吹き飛んでいく。
「…………」
ゼンが。
荒く息を吐く。
「ハァ……ハァ……」
「ゼン」
「……なんだよ」
「やっぱり、あと一回だったね」
「うるせぇ!」
「…………」
ヒルトは。
少しだけ笑った。
そして。
すぐに。
銃口をライへ戻す。
「…………」
土煙。
その奥。
「……クッ」
声がした。
「…………!」
「ククッ……」
ライが。
ゆっくりと立ち上がる。
「ハハッ!」
腹には。
確かに傷がある。
血も流れている。
それなのに。
楽しそうだった。
「いいじゃん!」
口元の血を。
腕で拭う。
「さっきより全然いいわ!」
「…………」
「お前ら」
カタールを握り直す。
「ちゃんと強ぇじゃん」
「チッ……」
ゼンが。
息を整えながら構える。
「まだ立つのかよ……」
「そりゃ立つだろ」
ライが笑う。
「この程度で――」
「…………」
ふと。
ライの言葉が止まった。
「あ?」
顔を上げる。
「…………?」
ヒルトも。
眉を寄せる。
ライは。
二人を見ていない。
もっと。
遠く。
森の向こうを見ていた。
「……なんだ?」
ゼンが呟く。
「…………」
ライが。
鼻を鳴らす。
「へぇ」
「何?」
ヒルトが問う。
「いや」
ライの笑みが。
少しだけ深くなった。
「なんか――」
バチッ。
青白い雷が。
再び。
その身体を包む。
「向こうも面白くなってきたっぽい」
「……向こう?」
「こっちの話」
「…………」
ヒルトが。
引き金へ指をかける。
「逃げる気?」
「まさか」
ライは。
二本のカタールを構えた。
「まだ聞きてぇんだろ?」
「……!」
「俺の兄貴の名前」
「…………」
ヒルトの表情が。
変わる。
ライは。
それを見て。
楽しそうに笑った。
「だったら――」
青白い雷が。
地面を這った。
「もうちょい頑張れよ」
ヒルトは。
《ツインコード》を握り締める。
「……絶対」
銃口へ。
霊素が集まる。
「吐かせるから」
「ハハッ!」
ライが。
牙を見せるように笑った。
「やってみろよ!」




