↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
入隊試験

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
199/471

新技


 血の蝙蝠の群れへ向かって、アルトは一気に駆け出した。


「正面から来ますか」


 ノアが静かに右手を上げる。


 キィィッ!


 血の蝙蝠たちが一斉に散開した。


 左右。


 頭上。


 背後。


 アルトを包囲するように旋回を始める。


(囲まれる……!)


 アルトは《砕》を握り直した。


 一匹倒しても意味がない。


 砕いても、また集まる。


 なら。


「《砕円》!」


 身体を軸に《砕》を大きく一回転させる。


 轟ッ!!


 円を描く衝撃が周囲へ広がり、迫っていた血の蝙蝠をまとめて吹き飛ばした。


 赤い霧が訓練室へ舞い散る。


「なるほど」


 ノアは小さく頷く。


「広範囲を薙ぎ払う技ですか。」


「でも!」


 アルトの表情は晴れない。


 吹き飛ばされた血が再び集まり始める。


 赤い霧は蝙蝠の姿へ戻り、またアルトを取り囲んだ。


「くそっ!」


 足を止めた瞬間。


 左右から再び血の蝙蝠が迫る。


 《砕》を振るう。


 一匹。


 二匹。


 三匹。


 だが、減らない。


 むしろ数が増えているようにすら思えた。


(駄目だ。)


(止まるたびに囲まれる。)


 アルトは後ろへ飛び退く。


 その着地点へ血糸が走った。


「っ!」


 咄嗟に身体を捻り避ける。


 その頭上を血の蝙蝠が掠めていった。


(《砕円》は強い。)


(でも。)


(回る時に止まる。)


(だから追いつかれる。)


 アルトは歯を食いしばる。


(だったら。)


(止まらなきゃいい!)


 その瞬間。


 アルトの身体が自然と動いた。


 《砕》を回しながら。


 一歩。


 また一歩。


 前へ踏み込む。


 回転を止めず。


 足も止めない。


 迫る血の蝙蝠を回転する《砕》が次々と弾き飛ばしていく。


 右から来る一匹を弾く。


 返す勢いで左の二匹を薙ぐ。


 そのまま前進。


 回転。


 前進。


 回転。


 アルト自身が、一つの竜巻になった。


「……。」


 ノアの赤い瞳が、僅かに見開く。


(その場で技を変えましたか。)


(やはり。)


(教えたことを、すぐ自分のものにする。)


 アルトは血の群れを押し退けながら叫んだ。


「これなら!」


「止まらない!」


 最後の一匹を弾き飛ばす。


 目の前に一直線の道が開けた。


 アルトは笑う。


「名前も決めた!」


 さらに速度を上げる。


「新技!」


「《砕旋》!」


 回転の勢いをそのまま推進力へ変え、一気にノアとの距離を詰める。


 ノアは深紅の外套を静かに翻した。


「……面白い。」


 初めて。


 軍事局長ノア・ヴァルハイトが、アルトの新技を真正面から迎え撃った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。