バルガス先生
「じゃ、じゃあ属性は!?」
アルトは勢いよく身を乗り出した。
「まず、なんで人によって使える属性が違うんだ!」
「だっはは!」
バルガスは豪快に笑い、腕を組む。
「人にも、それぞれ好みがあるだろ?」
「好きな食いもんも違えば、好きな酒も違う」
「精霊も同じだ」
アルトは首を傾げる。
「同じ?」
「ああ」
「精霊にも、魔力や魔素の好みがある」
「俺の場合は、火の精霊に好かれる魔力だったってわけだ」
「好み……」
アルトは自分の胸へ手を当てた。
「じゃあ、俺のはどんな精霊が好みなんだろうなぁ!」
その瞳は期待で輝いている。
バルガスはそんな様子を見て、思わず口元を緩めた。
「それは契約してみねぇと分からねぇな」
「そっか!」
アルトはすぐに気持ちを切り替える。
「じゃあ!」
「バルガス先生!」
「だっはは!」
先生と呼ばれ、バルガスは腹を抱えて笑った。
「先生ときたか!」
「いいだろう!」
指を一本ずつ立てる。
「基本属性は四つ!」
「火!」
「水!」
「風!」
「土!」
「この四つが基本属性だ!」
「それ以外は全部、希少属性って呼ばれる」
「じゃあ!」
アルトは身を乗り出したまま尋ねる。
「属性の種類は何種類あるんだ?」
その質問に、バルガスは頭を掻いた。
「それがな」
「はっきりとは分からねぇ」
「え?」
「なんでですか?」
「精霊ってのは自然そのものみてぇな存在だからな」
「いつ、どこで新しい属性が生まれるかなんて、誰にも分からねぇ」
「新しい属性が見つかれば、その時点で希少属性に組み込まれる」
「例えば、アーヴェルの《鉄》」
「ヒルトって言ったか?」
「あいつの《無》も希少属性だ」
「補足しとくが」
バルガスは人差し指を立てる。
「希少属性だからって、強いってわけじゃねぇぞ?」
「相性はあるっちゃあるが、結局は術師次第だ」
「得意不得意もある」
「術の使いようで、いくらでも強くなれる」
「なるほど……」
アルトは何度も頷いた。
「ヒルトって、すげぇんだな……」
そう呟いた次の瞬間。
「……ん?」
アルトの動きが止まる。
「あっ!」
バルガスが眉を上げた。
「今度はどした?」
「ヒルトの精霊!」
アルトは額へ手を当てた。
「教えてもらうの忘れてた!」
「だっはは!」
バルガスは豪快に笑う。
「余裕があるなぁ、小僧!」
「へへへ!」
アルトも照れ笑いを浮かべる。
――だが、その笑みがふっと消えた。
「あっ……!」
「今度はなんだ?」
アルトは記憶を辿るように宙を見つめる。
「ヴォルグで……ヒルトそっくりな人を見たんです」
「ヒルトより大人っぽくて……髪は青……いや、白っぽかったような……」
断片的だった記憶が、一つに繋がる。
「あの時……」
「隣にいたの、ライだ!」
会議室の空気が、一瞬で張り詰めた。




