爆発させんなよ
「かっこいい……!」
アルトは思わず声を漏らした。
目を輝かせながら、淡い光を見つめる。
「馬の精霊かぁ……。」
「早く本当の姿、見てみたいなぁ。」
「だっははは!」
バルガスは腹を抱えて笑う。
「そうだろ!」
「ソラティオは自慢の相棒だからな!」
嬉しそうにソラティオへ視線を向けると、バルガスは腕を組んだ。
「本当はユノのこととか、ヴォルグで何があったのかとか色々聞きてぇんだが……。」
「今日は時間に限りがある。」
「まずは試験だ。」
アルトの表情が引き締まる。
「はい!」
勢いよく立ち上がると、その場で肩を回し、屈伸を始めた。
「いっち、にー!」
「さーん、し!」
バルガスはぽかんと口を開ける。
「……お前。」
「なにしてんだ?」
アルトは屈伸を続けながら答えた。
「戦う前の準備運動です!」
その瞬間。
「だっはははは!」
会議室中に豪快な笑い声が響いた。
アルトはきょとんとした表情で顔を上げる。
「え?」
バルガスは涙を拭きながら笑い続ける。
「誰が戦うって言った!」
「俺の試験は戦闘じゃねぇぞ!」
「……え?」
アルトの動きが止まる。
嫌な予感がした。
バルガスはニヤリと笑った。
「お勉強だ!」
「お勉強!」
「…………え?」
アルトの顔から血の気が引いていく。
バルガスは部屋の隅へ歩いていくと、積み上げられていた書類を軽々と持ち上げた。
一つ。
二つ。
三つ。
四つ。
五つ。
気付けば、アルトの腰ほどの高さまで積み上がった書類の山が、机の上へ並べられていた。
アルトはゆっくりと書類の山を見る。
もう一度、バルガスを見る。
「……。」
バルガスは満面の笑みを浮かべ、親指を立てた。
「脳みそ爆発させんなよ、坊主。」
ニヤリ、と口角を吊り上げた。
アルトは書類の山を見つめたまま、小さく呟く。
「……ユノ。」
「爆発するの、そっちかよぉぉぉぉ!」




