謁見後
アルトとガオンが退室し、謁見室の扉が静かに閉まる。
しばらく続いた静寂を破るように、カイゼルは大きく息を吐いた。
「ふぅ……。」
「あんなんで良かったかのぉ。」
すると。
玉座の横で護衛を務めていた男が突然、腹の底から笑い出した。
「ナーハッハッハ!」
「バッチリよ! カイちゃん!」
謁見中、一言も口を開かなかった護衛とは思えない豪快な笑い声だった。
カイゼルは呆れたように頭を抱える。
「もー、急なお願いが多すぎるんじゃ。」
「そうじゃったか?」
「そうじゃよ!」
「アル坊を最初に釈放した時も!」
「軟禁中の護衛を外すよう頼んできた時も!」
「今回は『護衛の振りしてアル坊の様子を見たい』じゃ!」
「全部お主じゃ!」
男は豪快に笑いながら、頭へ手をやった。
すると――。
被っていた兜を持ち上げる。
現れたのは、つるりとしたスキンヘッド。
丸い鼻。
そして、鼻の下から生えた立派なヒゲは、重力に逆らうように左右へ跳ね上がっていた。
「ナーハッハッハ!」
「ワシらの仲じゃろ! カイちゃん!」
カイゼルは深いため息をつく。
「……まぁ、昔から世話になっとるし、断れんかったがの。」
「ナーハッハッハ!」
男は満足そうに頷くと、何かを思い出したように指を立てた。
「あ、そうじゃ。」
「言い忘れとったわ。」
「なんじゃ、グーちゃん。」
「わし!」
「不死隊の隊長、クビになった!」
数秒の沈黙。
カイゼルはゆっくり瞬きをする。
「…………えぇぇぇぇぇぇっ!!?」
国王の素っ頓狂な叫びが、謁見室いっぱいに響き渡る。
その横で、不死隊元隊長――グウェンは、何事もなかったかのように豪快に笑い続けていた。
「ナーハッハッハ!」




