〜箸休め〜蜂蜜と癒し
◇
病室には穏やかな時間が流れていた。
窓から差し込む陽の光。
規則正しく鳴る時計の音だけが静かに響く。
ベッドへ寝転ぶフィリアが天井を見つめながら口を開いた。
「ねぇー、ヒール。」
「何?」
「暇だねー。」
隣の椅子で本を読んでいたヒルトは顔も上げずに答える。
「たまにはいいんじゃない?」
フィリアは唇を尖らせる。
「そこはさぁ。」
「『フィリア。君と話してるから退屈なんかしないさ!』じゃないの?」
ヒルトは思わず顔をしかめた。
「何それ……。」
二人の間に少しだけ静かな時間が流れる。
やがてフィリアが寝返りを打ちながら聞いた。
「ヒールは食べ物、何が好き?」
「んー?」
ヒルトは少し考える。
「卵サンドかな。」
一瞬の沈黙。
そして。
「ブッ!」
フィリアが吹き出した。
「卵サンドって!」
「なんか地味〜!」
「はははは!」
腹を抱えて笑い始める。
「悪かったね!」
ヒルトが頬を膨らませる。
「ははは、おっかしいー!」
「たくもう……。」
ひとしきり笑ったフィリアは、ようやく笑いを落ち着かせた。
「じゃあさ。」
「怪我が治ったら。」
ヒルトを見る。
「二人で食べに行こうよ。」
「えぇ……。」
ヒルトは困ったように頭をかく。
「まぁ、いいけど。」
フィリアは満面の笑みを浮かべた。
「決まり!」
「ごちそうさま!」
ヒルトはすかさず突っ込む。
「奢るなんて言ってないけど!」
病室には再びフィリアの笑い声が響いた。




