↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
工場国家ヴォルグ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
142/469

吹き飛べ②

 ミシッ。


 小さな亀裂が、配管の付け根を走る。


 次の瞬間。


 ボンッ!!


 配管の継ぎ目が弾け、灼熱の蒸気が《アルケミア》の背中から噴き上がった。


「……。」


 ドクターの笑みが止まる。


「圧力異常……?」


 計器へ視線を落とす。


 赤い警告灯が一斉に点滅を始めた。


『熱量循環異常』


『排熱機構異常』


『内部温度上昇』


「んーーー?」


「……あれ?」


 《アルケミア》の内部から嫌な振動が伝わってくる。


 《サーマルコンバーター》は正常。


 熱も吸収できている。


 だが。


 吸収した熱を機体へ循環させる経路が壊れた。


 行き場を失った熱が、《アルケミア》の内部へ蓄積され始める。


「ちょっ……。」


「ちょっと待ってください。」


「これ……まずいですねぇ。」


 機体の隙間から白い蒸気が吹き出す。


 白銀の装甲が赤熱し始めた。


 ガオンは静かに見つめる。


「ユノ。」


「はい。」


「終わりだ。」


 ユノも《火眼》で内部を見る。


「……!」


「熱が逃げません!」


「全部、中へ溜まっています!」


「あと少しで暴走します!」


 ドクターは慌てて操作レバーを倒した。


「緊急排熱!」


「排熱!」


「……あれ?」


 何も起きない。


「んーーー!?」


「排熱弁が開きません!」


 警報音が鳴り響く。


『危険』


『危険』


『内部温度限界接近』


『緊急脱出を推奨』


 ドクターの顔から笑みが消えた。


「……。」


「いやです。」


「この子を失うわけにはいきません。」


『五』


『四』


『三』


「仕方ありませんねぇぇぇぇ!!」


 ガコンッ!!


 《アルケミア》の胸部装甲が勢いよく開く。


 座席ごとドクターが射出される。


「んーーーーー!!」


「また会いましょう!《アルケミア》ぁぁぁぁ!!」


 空中へ放り出されたその瞬間。


 ガオンは地面を蹴った。


 ドンッ!!


 一瞬でドクターの懐へ潜り込む。


 空中で身体を捻り。


 右拳を握る。


 ドクターが目を見開く。


「ん?」


「……吹き飛べ。」


 ドゴォォォォォンッ!!


 拳がドクターの腹へめり込む。


 ドクターは白目を剥き、そのまま弾丸のように壁へ突っ込んだ。


 ドガァァァン!!


 壁が砕け、瓦礫が崩れ落ちる。


 ガオンは静かに着地する。


 背後では。


 熱を抱え込んだ《アルケミア》が、限界を迎えようとしていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。