吹き飛べ
ガオンは口元を吊り上げた。
「任せろ。」
その瞳は、《アルケミア》の右肩後方――熱が一点へ集まる付け根だけを捉えていた。
「んーーー!」
ドクターが叫ぶ。
「そこは困りますねぇ!」
「《フェルバルカン》!」
「一斉射ぁ!」
ダダダダダダダッ!!
肩部から無数の霊素弾が放たれる。
ガオンは止まらない。
身体を沈め。
捻り。
踏み込む。
霊素弾の雨を紙一重でかわし続ける。
それでも避けきれなかった数発が腕と脇腹を掠めた。
鮮血が舞う。
だが、その速度は落ちない。
「んーーー!」
「止まりませんか!」
「ならば!」
《アルケミア》の右腕が振り上がる。
《サーマルコンバーター》が真紅に輝き、巨大な拳がガオンへ叩きつけられた。
ゴォォォン!!
ガオンは踏み込む勢いを殺さず、その拳へ自ら飛び込む。
「なっ!?」
拳が当たる寸前。
ガオンは左手を突き出した。
ガシィッ!
巨大な拳を真正面から受け止める。
足元の床が砕け、蜘蛛の巣状の亀裂が広がる。
それでも。
止まったのは拳だった。
「ば、馬鹿な!」
ドクターが息を呑む。
「人間が……止めた!?」
ガオンは低く笑う。
「温い。」
次の瞬間。
左腕で拳を外側へ弾き飛ばす。
バゴォン!!
《アルケミア》の体勢が大きく崩れた。
「今です!」
ユノが叫ぶ。
「付け根が無防備です!」
ガオンは一歩。
さらに一歩。
《アルケミア》の背中へ潜り込む。
目の前には、赤く脈打つ配管の付け根。
熱が一点へ集中し、真紅に輝いている。
ガオンは静かに拳を握る。
《活火》で高められた熱。
獅子座の加護で引き上げられた身体能力。
その全てを右拳へ乗せる。
ただ、一撃で終わらせる。
「……吹き飛べ。」
ドゴォォォォンッ!!
拳が配管の付け根へ深々とめり込んだ。
ミシッ。
小さな音が響く。
そして――。




