効いた
ヒートバースト》――発射ぁぁぁ!!」
ゴォォォォォッ!!
真紅の奔流が一直線にガオンを飲み込む。
通路を埋め尽くす灼熱。
石壁は赤く焼け、床は音を立てて溶け始めた。
ユノは思わず腕で顔を覆う。
「まずい……!」
煙が地下通路を包む。
視界は真っ白に染まり、ガオンの姿は完全に見えなくなった。
「んーーー!」
ドクターは興奮で声を弾ませる。
「素晴らしい!」
「これです!」
「この威力!」
「熱吸収、熱圧縮、熱放出!」
「理論値通り!」
「最高です!」
煙の中へ視線を向ける。
「さて……。」
「さすがに炭になりましたかねぇ?」
その時だった。
ドンッ。
煙の奥から、一歩。
また一歩。
重い足音が響く。
「……。」
ドクターの笑みが止まる。
煙を突き破り、一人の男が現れた。
全身から白い蒸気を立ち上らせながら。
ガオンだった。
肩や腕には火傷が走っている。
服もところどころ焼け焦げていた。
それでも。
その目だけは死んでいない。
「……効いた。」
拳を握る。
「だが。」
ガオンは《アルケミア》を見据える。
「威力の割に。」
「放つまでが長い。」
「……!」
ドクターの瞳が揺れた。
見抜かれた。
《サーマルコンバーター》は、
吸収。
蓄積。
圧縮。
放出。
その工程を踏むため、一瞬だけ隙が生まれる。
「ユノ。」
「はい!」
「次はあいつが撃つ前に潰す。」
ユノも《アルケミア》を見つめる。
先ほどの一撃。
放つ瞬間、両腕の装甲が開き、内部機構が露出していた。
確かに。
あそこが弱点だ。
「分かりました。」
「なら、僕が隙を作ります!」
キュウが肩で鳴く。
「キュッ!」
ユノは《燈環》を構えた。
「《狐火》!」
幾つもの青白い狐火が宙へ浮かび、《アルケミア》の周囲を高速で飛び始める。
「んーーー?」
「今度は何ですか?」
ドクターは狐火を目で追う。
その一瞬。
「今だ。」
ガオンが地面を蹴る。
ドゴォン!!
床が砕ける。
爆発的な脚力で一気に距離を詰める。
「速――」
ドクターが言い終わる前に、
ガオンは《アルケミア》の懐へ潜り込んでいた




