美しい機構に包まれたい…
「そして今回は!」
ドクターが両手を高く掲げる。
「あなたの熱に注目しました!」
《アルケミア》がゆっくりと両腕を背中へ回す。
背部に固定されていた巨大な二つの籠手。
人が装備するにはあまりにも巨大なそれが、重い駆動音を響かせながらゆっくりと持ち上がる。
「熱を吸収し!」
ガコン。
「熱を蓄え!」
ガコン。
「熱を放出する!」
ガシャンッ!
「スペシャルウェポンです!」
巨大な籠手が《アルケミア》の両腕へ装着される。
しかし、それだけでは終わらなかった。
籠手の各所から無数の歯車がせり出し、複雑な機構が音を立て始める。
ギギギギ……
ガコン。
ガコン。
巨大だった籠手が、まるで生き物のように形を変えていく。
装甲が折り畳まれ。
内部構造が組み替わり。
最後には《アルケミア》の腕へぴったりと収まる大きさまで縮小した。
ユノは思わず息を呑む。
「変形……した。」
「んーーー!」
ドクターは待ってましたと言わんばかりに身を乗り出した。
「形状変換装置です!」
「人が装備できるサイズから!」
「この《アルケミア》に装備できるサイズまで!」
「自由自在に変換可能!」
「なんという機構!」
「なんという機能美!」
《アルケミア》の腕を愛おしそうに撫でる。
「あぁ……。」
「たまらない……。」
「私のすべてを、この美しい機構に包まれたい……。」
うっとりと頬を緩めるドクター。
完全に自分の世界へ入り込んでいた。
ガオンは黙って巨大な籠手を見つめる。
そして一言。
「……それ。」
ドクターが我に返る。
「ん?」
ガオンは籠手を指差した。
「それ、もらうぞ。」
一瞬、研究施設が静まり返る。
ユノは思わずガオンを見る。
「……え?」
ドクターは数回瞬きを繰り返したあと、口元を引きつらせた。
「……。」
「んーーーーー!?」
「何を言ってるんですかぁぁぁ!?」
「これは私の最高傑作ですよぉぉぉ!!」
ガオンは表情一つ変えない。
「使えそうだからだ。」
「壊すには惜しい。」
ドクターは頭を抱えた。
「そんな理由で持っていかれてたまりますかぁぁぁ!!」




