全部載せましたぁ!
◇
その頃。
ガオンは白銀の巨体を見上げ、小さく口角を上げた。
煙を切り裂くように、一体の大型フェルギアがゆっくりと姿を現す。
全身を覆う白銀の装甲。
他のフェルギアより一回り大きな巨体。
全身には見たこともない兵装が幾つも取り付けられている。
「んーーー!」
胸部から弾むような声が響いた。
「やっぱり脱出しましたかぁ!」
「いい! いいですよぉ!」
「……おや?」
《アルケミア》の視線がユノへ向く。
「君は……。」
「支援の精霊術師!」
「んーーー!」
「これまた厄介!」
「これまた興味深い!」
《アルケミア》は嬉しそうに両腕を広げる。
「いい! いい!」
「サンプルがたくさんだぁ!」
「ルミナスの王族!」
「ガイストの支援術師!」
「今日は実に良い日ですねぇ!」
ユノは思わず一歩引いた。
「……あの人、少し怖いですね。」
ガオンはドクターから目を離さない。
「おい。」
ユノが振り向く。
「はい?」
「手ぇ貸せ。」
「……ユノ・フェルメルです。」
少しだけ頬を引きつらせながら訂正する。
ガオンは頷いた。
「そうか、ユノ。」
「さっきのをもう一度だ。」
ユノはすぐに意味を理解した。
「《活火》ですか?」
「あぁ。」
ユノは表情を曇らせる。
「危険ですよ。」
「さっきも暴走寸前だったじゃないですか。」
ガオンは鼻で笑った。
「舐めるな。」
一歩前へ出る。
「俺は、獅子座に選ばれた男だ。」
ユノはため息をつく。
「根拠になってませんよ、それ。」
「いいからやれ。」
短い返事だった。
ユノは肩の上のキュウを見る。
「……分かりました。」
「でも、本当に無茶はしないでください。」
キュウが小さく鳴く。
「キュ!」
ユノは霊素を練り始めた。
その様子を見ていたドクターが、嬉しそうに手を叩く。
「んーーー!」
「素晴らしい!」
「紹介がまだでしたねぇ!」
《アルケミア》の胸を軽く叩く。
「この子は私の最高傑作!」
「試験兵装搭載型フェルギア――《アルケミア》です!」
「《タイタン》は重装甲!」
「《レイス》は搦手!」
「《ヴァルキリー》は高機動!」
「《コマンダー》は指揮能力!」
「ですがぁ!」
ドクターは満面の笑みを浮かべる。
「私は全部試したい!」
「だから全部載せましたぁ!」




