深いため息
「誇ってはいない」
ガオンは、少しだけ眉を寄せた。
「では、どうして勝手に来たんです?」
「置いていかれるのが気に入らなかった」
「謹慎中なんですから、そりゃ置いていかれますよね……」
「分かっている」
「分かっていて抜け出したんですか?」
「ああ」
あまりにも迷いのない返事に、ユノは小さく息を吐いた。
「アーヴェル隊長たちを追いかけてきたんです?」
「違う」
ガオンは首を振る。
「連中が出発するより先に、ガイストを出た」
「……先回りしたんですか?」
「ああ。後からでは止められると思ったからな」
「自覚があるなら、最初からやめてくださいよ……」
「それでは置いていかれる」
「謹慎というのは、置いていくためのものでもありますからねぇ」
ガオンは聞き流し、拘束具をわずかに鳴らした。
「一人で来たわけではない」
「他にも誰か連れ出したんです?」
「アルトだ」
「アルト?」
「ガイストで軟禁されていた男だ」
ユノは首を傾げた。
聞き覚えのない名前だった。
「謹慎中のあなたが、軟禁中の人を連れ出したんですか?」
「ああ」
「問題しか起こしていませんね」
「見張りはいなかった」
「そういう問題ではないと思いますけど」
「ヴォルグへ行くと話したら、あいつも来ると言った」
「それで連れてきたと」
「本人が望んだことだ」
「軟禁されている人の希望を、その場で採用しないでくださいよ……」
ユノは深いため息をついた。
「アーヴェル隊長たちより先に抜け出して、軟禁中の人まで連れて敵国へ潜入。その結果が、これですか」
視線を拘束具へ向ける。
ガオンは一度だけそれを見下ろした。
「捕まったことは反省している」
「そこだけなんですねぇ」




