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精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
工場国家ヴォルグ編

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地下へ④

 鉄格子の先は、石壁から鉄板張りの通路へ変わっていた。


 天井には太い配管が幾重にも走り、一定の間隔で白い蒸気を吐き出している。


 ゴウン、ゴウンと響く機械音。


 その音に紛れ、遠くから金属のぶつかる音が聞こえた。


 アーヴェルが片手を上げる。


 四人はその場で足を止めた。


「誰か来ますねぇ」


 ユノが声を潜める。


 通路の先。


 曲がり角の向こうから、規則正しい足音が近づいてくる。


「隠れる場所がねぇぞ」


 ログが周囲を見回す。


 壁際には配管ばかりで、人が身を隠せるほどの隙間はない。


 アーヴェルは少し先にある扉を指した。


「中へ入る」


 四人は急いで扉の前へ移動する。


 ログが取っ手を掴んだ。


「開きません」


 鍵が掛かっている。


「俺がやります。」



 ログが錠へ手を伸ばす。


 だが、足音はもうすぐそこまで迫っていた。


「まだですか」


「急かすな。糸目」


 茶色の光が錠を包む。


 金属が朽ち始める始める。


 曲がり角の壁へ、何者かの影が伸びた。


 その瞬間。


 ガチャリ。


「開きました」


 ログが扉を引き、全員が中へ滑り込む。


 最後にアーヴェルが扉を閉めた直後、通路をフェルギアが通り過ぎていった。


 重い足音が遠ざかっていく。


「……危なかったですねぇ」



「静かに」


 レテの声に、二人が口を閉じる。


 部屋の中は暗かった。


 キュウの淡い火が、足元だけを照らす。


 壁際には大小さまざまな箱が並び、中央には荷車が置かれていた。


「倉庫か」


 アーヴェルが低く呟く。


 ログが近くの箱へ手をかける。


「開けますか?」


「ああ。ただし慎重にだ」


 蓋を持ち上げると、中には黒い金属製の筒が並んでいた。


 それぞれから細い管が伸びている。


「武器の部品でしょうか」


 レテが覗き込む。


 その時。


 ディーネが突然、箱から離れた。


 部屋の奥へ向かい、何度も大きなヒレを揺らす。


「ディーネ?」


 レテはその後を追った。


 奥には、布を被せられた大きな荷物が置かれている。


 近づくほど、精霊の気配が強くなった。


「……この中です」


 レテが布へ手を伸ばす。


 アーヴェルが隣へ立ち、静かに頷いた。


 布を取り払う。


 現れたのは、幾つものランタン型装置だった。


 その内部で。


 淡い光が、弱々しく揺れていた。

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