↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
精霊達の忘れ物  作者: 粉砕のじゅんこ
工場国家ヴォルグ編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
101/453

地下へ②

 レテは石畳へ触れたまま、意識を地下へ沈めていく。


 水の流れは細い。


 けれど、確かに軍施設の方角へ続いていた。


「この先です」


 レテが顔を上げる。


「地下の水路が、施設の中まで繋がっています」


「入口はここか」


 アーヴェルが積み上げられた鉄板を見る。


「たぶん、この下です」


「なら退かすしかねぇな」


 ログが前へ出た。


「アルゴス」


 呼びかけに応じて、赤茶色の牛がログの隣へ並ぶ。


 静かに蹄を鳴らすと、淡い光がログの両腕を包んだ。


「少し下がっててください」


 三人が距離を取る。


 ログは一番上の鉄板へ両手をかけた。


「ふっ……!」


 鈍い音を立てながら、鉄板がゆっくりと持ち上がる。


 そのまま横へずらし、地面へ下ろす。


「相変わらず力がありますねぇ」


 ユノが感心したように言う。


「相変わらずは余計だ、糸目」


「褒めたつもりなんですけどねぇ」


「スミスマン。まだ下にある」


「はい、隊長」


 ログは次の鉄板へ手をかけた。


 数枚を退かすと、その下から四角い穴が現れる。


 地下へ続く鉄製の梯子。


 冷たく湿った空気と一緒に、濁った水の臭いが上がってきた。


「うわ……」


 ログが顔をしかめる。


「これは酷ぇな」


「排水路ですからねぇ」


 ユノも鼻元を袖で覆った。


 レテは穴の縁へ近づき、暗闇を覗き込む。


 底までは見えない。


 けれど、下から聞こえる水音は、先ほど感じ取った流れと同じものだった。


「間違いありません」


 レテが言う。


「ここから入れます」


「分かった」


 アーヴェルは穴の前へ立つ。


「私が先に降りる」


「隊長、俺が行きます」


「いや」


 アーヴェルは静かに首を振った。


「先頭は私が務める」


「……了解です、隊長」


 アーヴェルは足元を見る。


「玄甲」


 鉄の亀が、ゆっくりと穴の縁まで歩いてきた。


 暗闇を一度覗き込み、そのまま躊躇なく身を滑らせる。


 直後。


 ガァンッ!


 地下から重い音が響いた。


「落ちましたよね?」


 レテが心配そうに尋ねる。


「問題ない」


 少しして。


 カン、カン。


 下から金属音が二度返ってくる。


「周囲に敵はいないそうだ」


「今ので分かるんですか?」


「ああ」


 アーヴェルは梯子へ足をかけた。


「オーズィラ、フェルメル、スミスマンの順で続け」


「はい」


 アーヴェルの姿が暗闇へ消えていく。


 レテも梯子へ手を伸ばした、その時。


 ディーネが彼女の前へ回り込んだ。


 大きなヒレを落ち着かない様子で揺らしている。


「……どうしました?」


 レテが問いかける。


 ディーネは穴の奥を見つめたまま、レテの腕へ身体を寄せた。


 その反応だけで分かった。


 地下にいる。


 精霊たちが。


 しかも、一体や二体ではない。


「大丈夫です」


 レテはディーネへそっと触れる。


「必ず助けます」


 ディーネは大きなヒレを一度だけ広げた。


 レテは息を整え、暗い穴の中へ降りていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。