表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エーテルコード  作者: エトコッコ
第8章:崩壊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/62

第9話「さよならバイバイ」


「なに……コレ……」


メルは思わず呟いた。


Ωチームが辿り着いた時、そこには――もう何も残っていなかった。


建造物も、気配も、痕跡すらも。


ただ一面の“消失”だけが広がっている。


その中心に、ファイだけが、静かに佇んでいた。


あまりの光景に、さすがの3人も言葉を失う。


やがてリーアが、ゆっくりとファイへ通信を試みた。


映し出されたのは――エドワードの姿。


「え……アンタ、オルフェの……?」


『そうだ。もっとも、今は“元”オルフェだが』


落ち着き払った声で、エドワードは答えた。


「……フレアⅢの後の、あのバカでかい光……あれ、アンタがやったの?」


『そうだ』


天華の本拠地を丸ごと消し去った、ファイの――アリス光だった。


「……これ、アンタの力?」


『違う』


短く、迷いなく返される否定。


(本当に……宇宙人?)


リーアは珍しく、言葉を失ったまま思考に沈む。


すると今度は、エドワードの方から声がかかった。


『どうする?――戦うか?』


リーアとサキは、すでに理解していた。


――絶対に、勝てない。


本能的に、それが分かっていた。


だが、メルは違った。


「さっきから……チョーシ乗りやがって!!」


怒りのままに、ベルセルク・ギアを発動し、そのまま一直線に、ファイへと突っ込む。


「あ、メル――」


リーアが止めようとした、その瞬間。


ファイは静かに手のひらを掲げた。


たったそれだけの動作。


次の瞬間、放たれた光の波動が――


メルのレギオンΩを、消し去った。


爆発も、残骸も、何もない——ほんの、一瞬で。


その現実を目の当たりにし、リーアとサキの背筋に、はっきりとした恐怖が走る。


『さて……君たちはどうする?』


エドワードの声は、先ほどと何一つ変わらない。


2人は、動けなかった。


『君たちは賢いな。退くも勇気だ』


淡々と、そう告げた。



「ねぇ……パパ」


「ん?どうしたんだい」


「さっきの人、“予定”に無かったよね?」


「あぁ……そうだね」


「なら、生き返らせてもいいんじゃない?」


アリスは言った。


「アリスがそう思うなら、そうしなさい」


エドワードは、優しく微笑む。


「うん!」


その返事と同時に、ファイが再び手をかざす。


リーアとサキは思わず身構えた。


だが――


今度は違った。


光の粒子が、静かに集まり始める。


空間に浮かび上がるように、それらは形を成し――やがて“人”へと収束していく。


そこには――先ほど消えたはずのメルが、“再生”していた。


「これでヨシ、と」


満足げに、アリスが言う。


もはやリーアとサキは、驚きすら通り越していた。


理解が追いつかない。


ただ、それだけが確かな感覚だった。


次の瞬間、ファイの姿は音もなく消えた。



「え……何が起きたの???てか、なんでメル素っ裸なの!?」


メルは叫んだ。


肉体だけを再生されたメルは、衣服までは戻らず――完全に全裸だった。


状況を飲み込めないまま、呆然と立ち尽くす。


そこへ、リーアとサキのレギオンΩが降り立つ。


2人はすぐにコクピットから降り、メルの元へ駆け寄った。


「ア、アンタ……幽霊じゃないよね……」


リーアは恐る恐る近づき、メルの頬をぷにっと突く。


確かな感触。


それに、ほっと息をつく。


「幽霊じゃねーよ!!てか何があったの!?」


メルは全力でツッコむ。


サキが、起きた出来事を淡々と説明した。


最後まで黙って聞いていたメルは、やがてゆっくり口を開く。


「つまり……メルはアイツに一瞬で殺されて……気づいたら生き返ってた、と」


「そゆこと♪」


リーアが軽く頷く。


「わかるかぁ!!」


盛大なツッコミが炸裂した。


「いや、そんなこと言われても……ウチらだって信じられないし」


「だが、すべて事実だ」


サキが冷静に補足する。


「う゛ーー……なんか勝ち逃げされたみたいでムカツキ……」


頬を膨らませるメル。


「いや、“勝ち逃げ”って……そもそも勝負になってないって」


リーアはため息混じりに言い、サキも無言で頷いた。


「そもそもアレ何なの?あれもファクター?」


「……断定はできないが、その可能性は高い」


サキは静かに答える。


「あんなのもいるんだ……もう何でもアリじゃん」


リーアは空を見上げながら呟いた。



「……でさ、これからどうする?」


リーアが、座っていた2人に問いかける。


チャンの命令で動いていたΩチームは、彼の消失によって“自由”になっていた。


「たしかに……」


メルは腕を組んで考える。


「なんかさ、急に“はい自由です!”って言われても困るよね〜」


リーアが肩をすくめる。


「てかさ、レギオンΩどうする?」


「このまま貰っていいんじゃない?どうせウチらしか使えないし。退職金代わりってことで」


「くそー……どうせならメルのレギオンも直してくれればよかったのにー!!」


軽口を叩き合う中、サキが静かに立ち上がった。


「……私は、恋人の元へ行く。もう戦いからは身を引くよ」


「そっか。じゃ、お幸せにね〜」


2人は軽く手を振る。


「ありがとう。2人もね」


振り返り、サキは微笑んだ。


初めてサキの笑顔を見た2人は、新鮮な気持ちになった。


やがて、サキのレギオンΩは空へと消えていった。



「じゃ、ウチもそろそろ行こうかな」


リーアは立ち上がり、ぐっと背伸びをする。


「どこ行くの?」


「気ままに♪」


軽やかな返事をするリーア。


「……?まさか、このままメルを置いてく気じゃないよねぇ〜?」


「あ……えーと……」


リーアの動きが止まる。


「メルはレギオン無いんだよ!?しかも素っ裸なんだよ!?こんな所に置いてくとかヒドすぎない!??」


リーアの両肩をつかみ、ブンブンと揺らすメル。


「わ、わかった!わかったから!!」


「ならヨシッ☆」


結局、メルを放っておけず、2人でレギオンΩへ乗り込む。


「で、まずどこ行くの?」


「とりあえず……やること、やらないとね」


そう言うと、リーアのレギオンΩは、日本へと進路を取った。


(第8章 完)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ