03-09 お掃除手伝います!
白の百合―シエラ・リリーディアン Side
ふふふ、今日は私が30人斬りする予選よ。結局34人に増えたから一人一人への割ける時間は少ないわね。でもやるしかないわ!
予選は場所は大図書館の中央閲覧ホール。ちなみに本番もここでやる予定。知的空間でぴったりでしょ? それに三階まで吹き抜けになってるから、かなりの人数を収容できる。
学園祭当日の本番は、かなりの身分の方々もいらっしゃるからゆったり座れるソファなどは用意するつもり。
ちなみに本番の下準備はお兄様の侍従にお願いしたわ。あの方はかなり優秀だから何とかしてくれる。
私は珍しく自立歩行するセイル様と共にむかった。人前だから自分で歩いてほしいというお願いをきいてもらった。
最初に趣旨や、今回のゲームのルール、今後の流れを軽く説明した後、予選は始まった。
観客席には魔道具もりもりの解説モニターや、チェスのルール、各人の簡単なプロフィールや盛り上げるような音楽を用意した。私なりに楽しくなるよう考え、セイル様の認可を受けた工夫が、功を奏したのか観客も盛り上がってくれている。
ちなみに半数くらいセイル様に面倒と却下された裏話もあるわ。
「リリーディアン公爵令嬢、すごいな」
「なんかかっこいいですわね」
「出しゃばってるだけでしょ?」
「なら、お前あれやってみろよ。俺は無理だわ」
なんていう観客の声が聞こえてくる。
あら? 意外に観客は私に対して好意的ね。そういえば生徒たちからの腫れ物扱い期間はいつまで続かせればいいのかしら。
推しがダウンロードコンテンツとして聖夜ダンスパーティーイベント後に出てくるためには、この腫れ物扱いは必須なのはわかるんだけど……。
あぁ、本編やっておけばよかったと何度も後悔してしまうわ。でもわからないし、流れに任せるしかない……か。
私は殿下とのチェスを希望してきた予選参加者全員を相手にするため、参加者たちをドーナツ状の円卓に座らせ順々に切っていった。
セイル様は、その中心のソファに横になっている。
時折飲み物を与えたりしないといけない彼は、癒しのウサギではなく、本当は審判だけど、まぁその時になったら動いてくれるでしょう。…………多分、そうであってくれ。
参加者たちはどんどん脱落していって、残り人数が半分くらいまで来た時、私は何かにひっかかったように、足がもつれて倒れそうになった。
「シエラ、疲れた?」
あぶ、なかったー! って、セイル様!? 顔、近い! 息がかかりそう! そして腰、腰にセイル様の手が! そして、意外に筋肉があるわ!
倒れそうになった私はセイル様に抱きとめてもらったらしい。これは乙女のトクン展開! 私はどうしたらいいのかわからなくてかなり動揺したわ。これは確実に顔を赤くなってるはずよ!
それにしてもすごい瞬発力ね。って、そう言えばセイル様は騎士家系の家柄だったわね。いつもだるそうにして、動かないから忘れてたわ。
なんでこの人普段全然動かないんだろう。でも、気配は薄いし隙がないのよね。
「あ、あ、ありがとうございます。セイル様がいなければ無様に倒れてました」
「ううん、シエラのせい、じゃない。………また掃除、か」
「掃除ですか? 私も手伝いましょうか?」
「…………シエラが?」
「はい! 一緒に、でしょう?」
「……そうだね。でも、すぐ終わるから、大丈夫。……チェスの続きは?」
セイル様はいつもの目つきの悪い目の目尻を少し下げて、優しそうな顔をされている。
掃除、別に手伝うのになぁ。いいって言うからこれ以上は言えませんけども。でも、セイル様が初めて見せる嬉しそうな顔をしてるからいいか。
ん? チェス? 忘れてたわ! 皆様白い目でこちらを見て、ずっと待っていらっしゃる! 申し訳ございません!
なぜか嫌がるセイル様に頼んで、腰の手を外してもらって、全員に謝罪してから予選の続きに戻ったのだった。
――そうして一時間後には決勝トーナメントに進む四名が決まった。
その日、自室で眠りにつく前に、ステータス画面の好感度を確認したら、相変わらずの白い竜胆のままだった。本当にこれ色つくんか?
バーコード横の数字は…………よく見えない。60の隣にあるのは+? なぜに足し算?
『攻略メモ』にあった『戦え』とは何と戦うのかわからないままね。
ふぁぁぁぁ。今日は疲れた。
あっ! いつもの日課の推しへのご挨拶を忘れてました。
推しよ! 今日もシエラは頑張りました。会える日を心待ちにしております。おやすみなさい!




