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推しとの激甘生活を目指していたら、塩対応攻略対象たちに溺愛されていました  作者: 水無月傾
紫の藤の章   〜学園祭

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22/24

02-08 重視パラメーターと強制名前呼びイベント

白の百合―シエラ・リリーディアンSide


 10月に入り、大きな試験もあることだしと、久々に私はステータス画面をじっくり見直してみた。

 学力、魔力、マナー、芸術、容姿どれも100。ステータス画面を確認できるようになってから全く変わらない。これはMAXなのでしょう。


 イステリア公爵令息を攻略するのに必要なパラメーターって何なのでしょうね。まぁMAXじゃ何だろうと一緒ね。


 チカッ!


 ん? 学力とマナーと容姿が強く光っていたような気もしたけど、きっと気の所為かしらね。今は何もないし。


 はぁ、パラメーターはもう見る必要はあんまりないかもしれないわね。『攻略メモ』を見てみるか。あれから一カ月経ってるし変わってるかもしれないからね。

 お、かわってるじゃなーい! あれ? あの意味のわからない『実は……』とか『素直になるとよき』みたいなのはクリアしたのかしらね? ……新しいのが出たってことはそうなんでしょうと無理やり納得させた。


『学園祭ではメガネの衝突をなんとかするとよき』


 相変わらず、イステリア公爵令息はメガネになってるわ。

 とりあえず学園祭で、彼がなにかにぶつかりそうになってたら、助ければいいのかな? ふふふ、エアクッションを風魔法でだしてあげましょう。これで物理的な防御は完璧です!


 私はイステリア公爵令息と土曜に難解な勉強会を経て、試験期間に突入したのである。

 そして今日はなんと! 月に一度の学園のカフェテリアでの限定15食のデザートの販売日なのです! ここのカフェテリアはわが家の料理長も顔負けな凄いスイーツを出してくれるのよ。


 試験期間だから皆さん早く帰ってしまって、ライバルはほとんどいません! 毎月この週に試験をしてほしいくらいよ。

 私は意気揚々と今月のデザートの『タルトタタン』を学園のカフェテリアで堪能する。


 おいしいわ!

 表面はキャラメリゼされて艶やかに輝き、まるで宝石のよう。焦がしバターと甘酸っぱいりんごがいい香りです。

 バニラアイスもいい感じに絡み合って舌の肥えた公爵令嬢も大満足の一品です! 


「そんな甘いものを食べてると、以前のように丸くなりますよ。私には理解が及びませんが、令嬢の間ではそれが一般的なのですか?」

 この、慇懃無礼全開のありがたくもないお言葉は……。そろりと私は後ろを振り返る。


 そうですよね、この声はあなたですよね! イステリア公爵令息!


「他の令嬢たちはどうでしょうね。でもおいしいですよ? 特にこのキャラメリゼがかかった部分が最高です! まだ数食残っているようですし、一緒にご賞味いかがですか?」

「そんな『砂糖の塊』、いりません」


 なんと! この方は砂糖の素晴らしさがわかってないのね。人は糖分がないと死んでしまうのよ。特に推しからの砂糖供給は大事……おっと推しの話をしてるんじゃなかったわ。

 つまりは彼はかわいそうな人なのね。これは施しが必要だわ。ノブレス・オブリージュよ。


「……今はタルトタタンに相応しいりんごの時季ではありません。これは北の男爵家の領地の特産で、かなり珍しい特級のりんごです。各領地の特産や特色を知り、社交に繋げる。これがわがリリーディアン公爵家のやり方です。あなたは、しのご言わずに食べてみるといいです」


 そう言って私はりんご多めの部分のタルトタタンをイステリア公爵令息の口のなかに突っ込んだ。食べるのも学習ですよ。まったく、これでやっとわかったことでしょう、満足です。


 フォークを彼の口から引き抜いた私は、タルトタタンを刺して再び自分の口に入れた。おいしー。


 ん? 顔が沸騰するくらい赤くなって、完全に動き止まってるわね。何があったのかしら?

 はっ! これはマナー違反だわ。静かにお怒りになってるのかもしれない。完全にやらかした! 私が心のなかで猛反省していると、彼は再起動したみたい。素直に口を動かして咀嚼を始めたわ。


「も、も、申し訳ございません! マナー違反をしてしまいました。ですが私は今は風邪を引いてないので病気の心配はないです。その点だけはご安心いただけると!」

「………甘いです。そしてあなたは破廉恥です」


 破廉恥? ハレンチ! そんなこと前世含めて初めて言われましたよ! ただのシェアですので、破廉恥ではありませんよ。でも突然、口の中に突っ込んだ私が悪いですね。


「申し訳ございません。なんて謝罪したらいいのか……」

「――では、私のことはイステリア公爵令息ではなくパーヴィスと名前で呼んでください。私もあなたをリリーディアン公爵令嬢ではなく、シエラ嬢とお呼びします」


 なんか、名前呼びイベントが起こったわ。これは罰……なのよね? 早口だし、メガネを異様に触っているけど……まぁいいわ。はっきりいってイステリア公爵令息という呼び方は長くて面倒だったし、ありがたい限りよ。


「はい、そう呼ばせていただきます。パーヴィス様!」

 取り消しされたら嫌だからストレートに伝えてみたわ。

 そういうと、フォークを突っ込んだ時よりも顔を赤くしていた。試験期間中ですし、早く帰って休んだほうがいいと思います。


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