↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クールで冷徹な『氷の令嬢』、なぜか俺の心の声(ダダ漏れ)だけは聞こえるらしい。  作者: わわわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
8/38

第8話:氷の令嬢はデート(?)がしたい

 中間テストの返却日。

 俺、春トの手には、奇跡のような答案用紙が握られていた。

 数学、78点。

 赤点回避どころか、クラス平均を上回る快挙だ。


「よしっ……!」


 思わずガッツポーズをする。

 これも全て、放課後図書室での冬月さんによるスパルタ(でもご褒美満載)指導のおかげだ。

 隣の席を見ると、冬月さんが涼しい顔で読書をしている。ちなみに彼女は満点だったらしい。さすがだ。


「あ、あのさ、冬月さん」


「……ん」


「数学、めっちゃいい点取れたよ。本当にありがとう!」


 俺がお礼を言うと、冬月さんは本から視線を外し、少しだけ口角を上げた。


「……よかったね」


(うわ、今の微笑み反則だろ……! 思わず見惚れた!)


 俺は心臓を押さえつつ、提案する。


「それでさ、お礼と言っちゃなんだけど……今日の帰り、何か奢らせてくれないかな? 甘いものとか好き?」


 その瞬間。

 冬月さんの瞳が、パァァッ! と輝いた(ように見えた)。


「……好き。……クレープ」


 即答だった。

 いつものクールな声だが、食い気味だった。


 ◇


 というわけで、学校帰りの商店街。

 俺たちは人気のクレープ屋の列に並んでいた。


(え、これ……客観的に見たらデートじゃね?)


 周囲はカップルや女子高生ばかり。

 その中に、制服姿の俺と、学年一の美少女『氷の令嬢』が並んでいる。

 目立たないわけがない。


「おい見ろよ、あの美人……」「え、隣の男誰?」「彼氏かな……羨ましすぎて爆発しそう」


 周囲の視線が痛い。

 しかし、冬月さんはそんな視線など意に介さず、メニュー表を真剣な眼差しで見つめている。


(メニュー見てる冬月さん、真剣すぎでしょ。受験勉強の時より目力強いよ)


「……これ。イチゴ全部乗せ。……生クリーム増量で」


「り、了解です」


 俺は自分のチョコバナナクレープと、冬月さんの豪華なクレープを注文した。


 近くのベンチに座って食べる。

 冬月さんは、大きなクレープを両手で持ち、ハムスターのように小さく口を開けてパクついた。


「……ん。……おいし」


 頬が緩んでいる。

 冷徹な『氷の令嬢』の仮面が完全に剥がれ落ち、ただのスイーツ好きの美少女になっている。


(か、可愛い……! 何その幸せそうな顔! 一生見ていられる! クレープになりたい!)

(連れてきてよかった……。こんな顔を見れるなら、毎日でも奢るわ)


 俺が心の中で悶絶していると、冬月さんがパクッと大きなイチゴを頬張った拍子に、口の端に白いクリームがついた。


(あ、クリームついてる。……取ってあげたい)


 一瞬、俺の脳裏に少女漫画のような展開がよぎる。

 指で拭ってあげるとか。

 なんなら、そのまま舐めるとか。


(いやいやいや! 何考えてんだ俺! 変態か! そんなことしたら通報されて人生終了だわ!)


 俺は慌ててポケットからポケットティッシュを取り出した。


「冬月さん、クリームついてるよ。これ使って」


「……あ。……ありがとう」


 冬月さんはティッシュを受け取り、口元を拭く。

 その時、彼女はチラリと俺を見て、心の中で呟いた。


(……ヘタレ。……そこは、拭いてほしかった、かも。……なんてね)


 !?

 今、何か幻聴が聞こえたような?

 俺が固まっていると、冬月さんは「ごちそうさま」と空になった包み紙を丁寧に折りたたんだ。

 その耳は、夕焼けのせいだけじゃなく、ほんのり赤く染まっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。