↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クールで冷徹な『氷の令嬢』、なぜか俺の心の声(ダダ漏れ)だけは聞こえるらしい。  作者: わわわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
7/37

第7話:氷の令嬢は勉強を教えたい

 中間テスト一週間前。

 俺、春トは教室の机で頭を抱えていた。

 返却された数学の小テスト。そこには無慈悲な『赤点』の文字が刻まれている。


(終わった……。このままだと中間テストも爆死確定だ。そしたら補習地獄で、放課後冬月さんと一緒に帰るチャンスも潰れる……)


 絶望に打ちひしがれていると、隣から視線を感じた。

 冬月さんが、ジッと俺(のテスト用紙)を見ている。


(うわ、見ないで! こんな無様な点数、好きな人に見られたくない! 幻滅されたくない!)


 俺が慌ててテストを隠そうとすると、冬月さんはふと目を伏せ、ボソッと言った。


「……教えて、あげる」


「え?」


「……だから、私が、勉強。……教えてあげる」


(ええええ!? マジで!? 学年トップの『氷の令嬢』が直々に!?)

(てか、俺のために時間を割いてくれるの? 優しすぎない? 惚れ直すわ!)


 俺は即座に頷いた。

 断る理由なんて、天地がひっくり返っても見つからない。


 ◇


 放課後の図書室。

 静寂に包まれた空間で、俺と冬月さんは並んで座っていた。

 周囲に人はまばらで、ほぼ二人きりのような状況だ。


「……ここ、間違ってる」


 冬月さんがシャーペンで俺のノートを指差す。

 その時、彼女はカバンから眼鏡ケースを取り出した。

 カチャリ、と銀縁の眼鏡をかける。


(――ッッ!!)


 俺の心臓が止まった。

 普段のクールな美貌に、知的なアクセントが加わった『眼鏡冬月さん』。

 その破壊力は凄まじかった。


(め、眼鏡っっっ! 何それ似合いすぎ! 知的! クール! 最高かよ! 先生、ここが天国ですか!?)

(普段は見せないレアな姿を見れるとか、赤点とって本当によかった……!)


 俺が心の中で拝んでいると、冬月さんがビクッと肩を震わせた。

 眼鏡の奥の瞳が潤み、頬が林檎のように赤く染まる。


「……っ、見ないで。……ノート、見て」


(うわ、照れてる! 眼鏡かけて照れてるとか反則級に可愛いんですけど! もう勉強とか頭に入ってこない……!)


「す、すみません! 見ます! ノート見ます!」


 俺は必死に邪念を追い払い、数式と睨めっこする。

 しかし、教えるために冬月さんが覗き込んでくるたび、甘い香りが漂い、肩が触れそうになる。


「……ここは、こう展開して……」


 耳元で囁かれる美声。

 俺の理性は限界寸前だったが、「ここで赤点をとったら冬月さんの努力が無駄になる」という一点で踏みとどまった。


 一時間後。

 なんとか一通りの範囲を終え、俺たちは休憩していた。


「……ありがとう、冬月さん。マジで助かった。これでなんとかなりそう」


「……ん」


 冬月さんは眼鏡を外し、ケースにしまいながら、ふと顔を背けて呟いた。


「……他の人には、教えないから」


「え?」


「……春トくん、だけだから」


 その声は小さかったけれど、確かに聞こえた。

 独占欲? 特別扱い?

 俺の脳内はお花畑になり、思わず机に突っ伏した。


(好きだ……。もう一生ついていきます……!)


 冬月さんはまた頬を染めて、俺の足を踏んづけてきた。

 少し痛かったけれど、やっぱりご褒美にしか思えなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。