↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クールで冷徹な『氷の令嬢』、なぜか俺の心の声(ダダ漏れ)だけは聞こえるらしい。  作者: わわわ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/38

第17話:氷の令嬢はお家デートがしたい

 八月に入り、日本列島は殺人的な猛暑に襲われていた。

 外に出るだけで体力が削られるような暑さだ。

 そんな中、俺と美月(冬月さん)は避暑地を求めていた。


「……暑い」


「だね……。この暑さじゃ外デートは危険すぎる」


 公園のベンチでぐったりしている美月さんを見ると、涼しげな彼女ですらダメージを受けているのが分かる。

 ここは涼しい屋内に避難するべきだ。

 カフェやモールもいいが、もっとゆっくりしたい気分でもある。


「……涼しいところで、春トくんといたい」


 彼女が上目遣いで訴えてくる。

 俺は少しドキドキしながら提案した。


「じゃあ……俺の家、来る?」


「……行く」


 即答だった。

 迷いなど微塵もなかった。


 ◇


 というわけで、現在。

 俺の部屋に、美月さんがいる。

 ベッドに腰掛け、興味深そうに部屋を見渡している。


(信じられない……! 俺の部屋に美月さんが! しかも彼女として! 何この非日常感!)

(掃除しておいて本当によかった! 昨日の俺、ナイス判断!)


 俺が心の中でガッツポーズをしていると、美月さんはふと俺の本棚に視線を止めた。


「……漫画、たくさんある」


「あ、うん。まあ、オタクだからね」


「……これ、貸して」


 彼女が手に取ったのは、俺が好きなラブコメ漫画だった。

 趣味が合うのは嬉しい。


 その後、俺たちはテレビゲームをすることになった。

 対戦型の格闘ゲームだ。


「……負けない」


 美月さんはコントローラーを握りしめ、真剣な眼差しで画面を見つめる。

 意外と負けず嫌いな一面があるようだ。

 試合が白熱するにつれ、二人の距離は自然と近づいていく。

 肩が触れ合い、熱気が伝わってくる。


「あ、そこ! 卑怯!」

「……戦術」


 彼女が身を乗り出して操作した拍子に、バランスを崩して俺の方に倒れ込んできた。


「わっ」


 俺と美月さんの体が重なる。

 至近距離で目が合った。

 ゲームの音が遠のき、お互いの心臓の音だけが大きく聞こえる。


(近っ……! 睫毛長い……唇、柔らかそう……)

(やばい、これキスする流れじゃね? しちゃう? しちゃっていいの!?)


 俺の心の声が盛大に漏れているのに、美月さんは逃げようとしなかった。

 むしろ、少し目を細めて、顔を近づけてくる。


「……キス、してみる?」


 甘い囁き。

 俺の理性は消し飛んだ。

 ゆっくりと、二人の顔が近づいていく。

 あと数センチ。唇が触れ合う――その瞬間。


「春トーター! スイカ切ったわよー!」


 バン!

 勢いよくドアが開け放たれた。

 そこには、お盆にスイカを乗せた満面の笑みの母さんが立っていた。


「わあああああ!?」


 俺たちは弾かれたように飛びのいた。

 顔は二人とも真っ赤だ。


「あら、ごめんなさいねー。ノック忘れてたわー」


 母さんはニヤニヤしながらスイカを置いて去っていった。

 部屋に残されたのは、気まずさと、少しの名残惜しさ。


 美月さんはスイカをかじりながら、ボソッと呟いた。


「……続きは、また今度」


 その一言で、俺の体温は再び沸騰した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。