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クールで冷徹な『氷の令嬢』、なぜか俺の心の声(ダダ漏れ)だけは聞こえるらしい。  作者: わわわ


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第12話:氷の令嬢は夏服を見せたい

 体育祭の熱狂が過ぎ去り、カレンダーは六月中旬を示していた。

 今日から、制服の完全衣替えだ。

 教室に入った俺、春トの視界に、衝撃的な光景が飛び込んできた。


 窓際の席に座る、冬月さん。

 彼女が、夏服(半袖)を着ているのだ。


(夏服……! 生腕……! 白い! 眩しい! ありがとうございます!)


 俺は心の中で全力の感謝を捧げた。

 冬月さんの肌は、陶器のように白く透き通っている。

 細くしなやかな腕が、半袖のシャツから伸びている。

 ポニーテールに結われた髪と相まって、清潔感と清楚感がカンストしていた。


(何その透明感! 汗とかかかないの? 妖精なの? 同じ人間とは思えない美しさなんだけど!)


 俺が席に着きながら内心で拝んでいると、冬月さんがビクリと肩を震わせた。

 そして、恥ずかしそうに自分の二の腕を反対の手で隠した。


「……見すぎ」


「あ、ごめん!」


 心の声がダダ漏れだったせいで、彼女を羞恥プレイに巻き込んでしまった。

 だが、冬月さんはカーディガンを羽織ろうとはしなかった。

 耳を赤くしながらも、夏服のまま、ちらりとこちらを見てくる。


(……見てもらいたいから、着てきたのに。……恥ずかしい)


 !?

 今、とんでもない心の声が聞こえたような!?


 俺は深呼吸をして、勇気を出した。

 心の声だけじゃなく、ちゃんと言葉で伝えよう。


「あのさ、冬月さん」


「……なに?」


「夏服、すごく似合ってるよ。……いつもより涼しげで、綺麗だなって」


 言い終わった瞬間、俺の顔も熱くなった。

 キザなセリフだったかもしれない。

 冬月さんは目を見開き、そしてゆっくりと頬を染めた。


「……ありがと。……春トくんも」


「え?」


「……春トくんも、涼しそうで、いい」


 彼女はボソッと言って、教科書で顔を隠してしまった。

 教科書からはみ出した耳は、相変わらず真っ赤だった。


 ◇


 休み時間。

 教室の話題は、もうすぐやってくる夏休みのことでもちきりだ。


(夏休みかぁ……。一ヶ月以上学校ないのか)

(ってことは、冬月さんに会える機会も減るってことだよな……。寂しいな)

(夏祭りとか、花火大会とか……誘えたら最高なんだけどなぁ。さすがにハードル高いか)


 俺が机に突っ伏して悩んでいると、隣の冬月さんが手帳のカレンダーをジッと見つめているのに気づいた。


(……八月、夏祭り)

(……浴衣。……新しいの、買わなきゃ)


 彼女の瞳には、決意の光が宿っていた。

 俺はまだ知らない。

 この夏が、二人の関係を劇的に変えることになるとは。

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