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財閥御曹司の俺が恋したのは、コミケで壁サーを張る“えっちなお絵描き女子”でした  作者: 常陸之介寛浩✪書籍・本能寺から始める信長との天下統一


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第4章 第6話 防衛線を作るなら、味方も必要です

 翌日の昼休み、白瀬もえは九条かれんに通話をかけた。


『なになに、昼から恋バナ?』

「違う」

『違うって言う時ほどだいたい恋バナなんだよね』

「違うってば。もっと現実的な話」


 白瀬は人気の少ない階段の踊り場で、声を落とした。


「……天城くんの家の方、たぶん本格的に見てる」

『あー』


 かれんの声色が変わった。


『やっぱり?』

「うん。学校の前に車がいて」

『それ、けっこうまずくない?』

「まずい。だから、かれんにも相談したくて」

『なるほどね』


 軽い声の奥に、ちゃんと真面目な響きがある。


『つまり、二人だけで隠れるのは限界だから、自然な第三者が必要ってこと?』

「……たぶん、そう」

『いいよ。私、そういうの得意』

「ほんとに?」

『コスプレイヤー、撮影場所と動線と人目には敏感だからね』


 かれんはそう言って、少し笑った。


『ただし条件』

「なに」

『もえが、天城くんのことをちゃんと好きって認めること』

「切るね」

『待って待って冗談! 半分!』

「半分なんだ……」


 白瀬は額を押さえた。


『でも真面目に言うとさ。守りたいなら、味方はいた方がいいよ。二人だけだと、距離感が近すぎて逆に不自然になる』

「……うん」

『私がたまに混ざれば、“幼馴染に会ってた”“知人グループだった”って形にできる。もちろん毎回は無理だけど』

「助かる」

『いいよ。もえが変な顔で恋してるの見るの面白いし』

「かれん」

『はいはい。大事な幼馴染だから、ちゃんと手伝う』


 その一言で、白瀬の胸が少し軽くなった。


「ありがとう」

『どういたしまして。で、天城くんには言った?』

「まだ」

『じゃあ言いな。こういうの、片方だけで決めると後で面倒だから』

「……うん」


 通話を切ったあと、白瀬は小さく息を吐いた。


 味方がいる。


 それだけで、世界は少しだけ怖くなくなる。


 そして放課後、白瀬は玲司へ短くメッセージを送った。


 かれんに相談した

 味方になってくれるって


 返事はすぐだった。


 ありがたい

 彼女は信用できる


 白瀬はその文面を見て、少しだけ笑った。


 かれんが聞いたら調子に乗る

 なら直接は言わない

 そうして


 そのやり取りだけで、少し安心する。


 でも同時に、白瀬は思う。


 これはもう、ただの秘密の恋ではない。


 守るために、周りを巻き込み始めている。


 それでもやめたいとは思わなかった。


 夜、玲司から届いたメッセージは短かった。


 防衛線が一つ増えたな


 白瀬は画面を見つめ、返した。


 うん

 でも、守るだけじゃなくて

 ちゃんと楽しいこともしたい


 しばらくして返事が来る。


 同感だ

 次は、守るためだけではなく、楽しむために会おう


 白瀬はスマホを胸に当てた。


「……ずるいなあ」


 小さく呟いた声は、部屋の中にだけ溶けた。

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