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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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074 城壁の街 ロカーレ (1)

 ロカーレの街に近づく春人達。街の城壁はしっかりしている。高さがある。幅もあるだろう。


 城壁近くの野営地で別働隊が女王一行を待っていた。

 女王達を認め隊長が迎えてくれる。


「会長様、皆様、無事にお着きで良かったです」

 無事ではなかったと思った女王だがそこは言わないで別働隊を労った。


「ご苦労。みんなも無事か」

「はい。ミニドラゴンでお知らせいただいた件は片付けておきました」


「時間がなくて大変だったろう。すまなかった」

「いえ、みなさん素直に自供しましたので楽でした」

「素直にねえ」


 ちらっと冬を見た隊長。

「なかなか冬様の容疑者へのおもてなしが良かったようでおもてなしを受けたくないと思ったらしく容疑者全員が罪を認めました」

「おもてなしねえ」


「はい。前代未聞の拷・・、いやおもてなしでした」

「そうだよ。冬のおもてなしだよ。喜んでもらえたようだ」

「えぐいわね」


 咳払いをして続ける隊長。

「宿はこの前のような事がないように軍の施設にしました」


「野宿でも良いぞ」

 その方が食事もおいしく快適だと思っている女王である。


「ぜひ安全な軍の施設へお願いします」

「そうか(残念)」

「ご案内します」


 隊長の案内で城門を通過。


「大分厚い城壁ですね」

 春人が隊長に聞いた。

「その昔、この先は国境が安定していず、やや我が国に入ったここに砦を造ったのがこの街の始まりです。いまは国境が確定して国境の街リーメスが出来、この街は国境の砦ではなくなりました。当時の名残で城壁は高く、厚さも厚くなっています。ここには今も多少の兵舎が使える状態で残っています」


「維持も大変でしょうに」

「リーメスに駐留する兵の交代時などに使っています」


「隣国との関係は安定しているのでしょうか」

「はい。リーメスの街は国境となっている川沿いにあります。以前は川が荒れて流れが変わり川を国境とするのが難しく、なかなか国境が確定しませんでした。そのため魔物も賊も跋扈していました。ここに砦ができたのも魔物と賊対策でした。その後両国で話し合い合同で流路を改修し堤防を築き川が安定しましたので、今は川が国境になっています。魔物も賊も自然に減りました」


「共同作業ができるほどの良好な関係なんですね」

「はい。国境も争って決まらなかったのではなく川が荒れて決まらなかっただけです」


「南の国の魔物はどうなんですか?」

「我が国と同じ分布ですよ。深い森には強い魔物がいて森が浅くなるに従って弱くなり、草原には一角ウサギがいます。ただ結界がなくても暮らしていけますので全体的に我が国の魔物より弱いです。気をつければ大丈夫です」


 春人一家を召喚した国王たちは南の隣国は魔物に攻められていると言っていた。嘘つきであった。


「隣国と行き来はあるのですか」

「リーメスは南の国と交易のためにできたような街です。川向こうにも同じような街があり往来は頻繁です」


 隊長と話していたら軍の施設に着いたようだ。


 中央から来る軍の幹部用に建てられたと思われる建物に案内された。こぢんまりした石造りの3階建てであった。

 周りに兵舎がある。


「傷んでいる兵舎はリーメスが出来る前まで使っていました。今は大部隊を収容できる程の兵舎は残っていないので城壁外にテントを張りました。こちらの利用できる兵舎には兵を配置します。私はこの建物の一階にいます」


 女王と侍女長は隊長に3階の部屋に案内される。

「今日は夕食は一階の食堂になります。すぐ夕食になさいますか」

「一時間ほどしたら夕食にしてもらおう」


 隊長が女王の部屋から出てきて春人達は隣の部屋に案内された。本部長は女王の部屋を挟んだ部屋。女王の部屋の両脇が春人達と本部長である。それで3階はいっぱいになり、セバスたちは2階の部屋だ。


 女王の部屋。

「これは質実剛健と言うか、装飾は何もないわね」

「兵舎と考えれば一番良い部屋なんでしょう」


「軍の幹部が贅沢をしてはいけないからこれでいいのだろう。良くできている部類だな。部屋は広いし天井が高いからあれが出せるな」

 察しのいい侍女長、早速トイレテントを収納から出す。


「お茶にしますか?」

「そうだな」

 テレーゼ侍女長、いまはテリーサ秘書が収納袋からお茶のセットを出して二人で飲む。


「美味しいわね。今日の夕食は何だろう。春人安全食でいいのに」

「今日は兵舎ですから軍の料理人が作ったものではないでしょうか」


「軍食か」

「まさか携帯食ではないでしょう。料理人が作るのでは」

「軍の料理人は炊事兵ではなかったか」

「腹持ちの良いこってりしたものを作るのが得意かもしれません」


「野宿で春人さんたちと食べるのがいいな」

「それは贅沢というものです」

「野宿の方が贅沢とはなあ」


 春人達の部屋。

 コレットがやってきた。

「御用はありますか?」

「お茶にするか」

 コレットがお茶を淹れてくれる。もちろん収納袋から出した。


「一階、二階、三階も不審なところはありませんでした」

「さすが軍の施設か。厨房はあるのかい?」

「はい、ありました。調理器具等は一通り揃っていました。今日の食事は炊事兵が作っていますのでこの間のようなことはないと思います」


「炊事兵か。まさか行軍中の軍食ではないだろうな」

「それはないと思います。食材は持ち込んだものにこちらで購入した新鮮な野菜などをあわせて使っているようです」

「期待していよう」


 一時間ほどして兵が夕食の迎えにきた。

 春人たちは女王と本部長たちと一階に降りて行く。


 一階の食堂に案内された。セバスたちは後らしい。

 隊長と副隊長と一緒だ。料理は普通であった。


 隊長は心配そうに女王に伺った。

「いかがでしょうか」

「丁寧に心を込めて作られている。軍の料理としては最高の部類だろう」

「ありがとうございます」

 遠くから見ていた炊事兵もほっとしている。


「明日の披露会は夕方から、宿のホールで行います。二時間を予定しています」

「わかった。それまでは街をぶらぶらしていよう」


「護衛をつけましょうか」

「いらない。大丈夫だ。春人殿たちもいるし」

「わかりました」


 食事が終わって部屋に戻った女王。

「まあ可もなく不可もなしの食事だったわね」

「炊事兵としては一世一代の仕事だったと思います」

「そうだね。少し磨けばよい料理人になれるだろう」

「はい」


 春人たち。

 セバスとコレットとジーナがやってくる。

「デザートがありませんでしたので」

「そうだね。冬、女王さんたちと本部長を呼んできて」

「うん、行ってくるね」

 冬が三人を呼びに行く。


 ジーナがテーブルを出し、デザートを並べる。

 冬が三人を連れてきた。

 夏が「デザートを一緒にいかが」

 女王「デザートはなかったわね」

 本部長「まあ、軍隊だからな。普通の食事が用意できれば上等だ」


 セバスが席に案内してコレットがお茶を淹れる。

 しばし歓談して解散となった。

ゴールデンウィーク中は休みます。

次回更新は5月7日予定です。

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