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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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068 時間調整の日 (3)

 昼食の後、少し休憩。

 休憩の後、森から出て再び草原を通り街道に戻った。


「体力をつけるために歩きましょう」

 夏がにこにこして宣言する。

 女王と侍女長、ええーという顔をする。


「エカちゃん、おばさん、大丈夫だよ。荷物は何もないのだから手ぶらで歩くだけだ。荷物らしいのは腰に剣だけだよ」


「そんなことを言ったって」

 女王と侍女長が歩くのは王宮内の移動だけである。長距離を歩いたことはない。


「大丈夫、大丈夫、マロンだって歩けるんだから」

 マロンはみんなの周りを走り回っている。

「あ、ごめん、ごめん。マロンは走っている。エカちゃん、おばさん、走ってみる?」

「いや、歩きでいいです」

 女王と侍女長は異口同音であった。

「そっか。歩きか。いいけど」


ドラ一とドラ二はみんなが見える範囲で飛び回っている。時々少し遠くまで飛んで行って帰ってくる。


 時々マロンは冬に抱っこしてもらう。すぐドラも負けじと冬にたかる。


 都から離れるに従って街道の交通量は減ってきたがもう誰ともすれ違わないようになった。

 でもドラ一、ドラ二が後ろから荷馬車が来ると冬に教えてくれた。


「お父さん、後ろから荷馬車が来るって」

「わかった。後ろから荷馬車が来るそうです。手ぶらではおかしいからリュックを背負ってください」

 春人が女王と侍女長に言ってみなリュックを背負った。男は野宿用具を背負っているように見せかけるために大荷物にした。


 後ろから荷馬車がやってきた。

「歩きかい?」

 荷馬車の男に声をかけられた。春人が返事する。

「そうだよ。行商人さんかい?」

「ああ、この先の脇道を入ってしばらく行ったところに集落がある。そこまで行くんだ」


 女王、集落に行けば休めると思った。

「春人さん、このようなところの集落は初めてです。行商人さんについて行ってもいいでしょうか」


 それも経験だと思った春人。

「行商人さん、ついて行ってもいいかい?」

「いいけど、集落には何も無い。宿も無いし食堂も無いぞ」


「都育ちのご婦人だから何も無いのを経験したことがない。それを経験することも貴重な体験だ。食事と野宿の用意はあるから集落に手数をかけさせることはない。そんなところでお願いできるか」

「そうかい。食事と泊まるところが自前なら構わんさ。あとは集落の人に聞いてくれ」

「ではエカ会長、テリーサ秘書さん、参りましょう」


「おれはベニーだ。エカさんは商会の会長かい」

 行商人に聞かれてエカ会長が返事する。

「はい。都で小さな商会を営んでいます」


「何を扱っているんだい?」

 はて何を扱っているんだとエカ会長。


「地方の物産を扱っている。今回はなにか都で売れるものがないか調査の旅だ」

 本部長がもっともらしく答えた。


「なるほどな。こんな田舎では何もないと思うが」

「国境まで行ってみようと思っている。隣国の珍しい品物でもあるかと」


「もの好きだな。しかしそういう気構えがあればもしかしたら大成するかもしれないな。俺は小さな集落を回って日用品を売っているだけだ」

「そういう人たちがいなければ集落が困ってしまうでしょう。大切な仕事と思います」

 夏が上手だ。

「ありがとうよ」


「その先の脇道を入るんだ。すぐ先だからゆっくり行くのでついてきてくれ。一角ウサギが出るので気をつけてくれ」


 脇道の入り口のところだけ少し街道が広くなっている。


「ここを入るんだ」

 脇道と言われたがただの草原に見える。

 行商人は御者席を降りて剣を手に馬を引いて歩き出した。道は草に覆われている。だがいくらか手入れはしてあるのだろう。草の丈も周りに比べて低い。荷馬車が進んでも動けなくなることはなかった。


 ただ道を知っていなければ馬車は道を外れて草原で動けなくなるだろう。


 道といってもほとんど草原だから一角ウサギがぴょんぴょんしている。行商人は剣で脅かして一角ウサギを排除している。


「おじさん、手伝うよ」

 冬がマロンとドラを連れて前に出る。

「危ないぞ」

「大丈夫だよ。冬は強いから。マロンとドラも強い」


 行商人はちらっと父親らしい春人を見る。春人が頷く。

「それじゃ頼む。先の方の岩山の左の裾のところまでまっすぐだ。

「わかった。まずあの岩山のところまで行けばいいんだね」

「そうだ」


 マロンとドラが先に行ったり戻ったりしていると一角ウサギは寄ってこなくなった。


「これは驚いたな。一角ウサギが寄ってこない。本当に強いみたいだな」

「マロンとドラは強いからね。一角ウサギ程度では話にならない。怖くて逃げてしまう」

「なるほどな」


 話をしながら30分、意外と岩山まで遠かった。

 岩山の裾を回るとすぐ集落があった。岩山を背負って数十軒の家が固まっていた。直接街道から見えないようになっているらしい。

 草原に面しているところには小枝を編んだ簡単な柵が続いている。一角ウサギ防御用だろう。


「着いたぞ。冬ちゃんもありがとうな。おかげで楽ができた」


 門のようなものを行商人が自分で開けて集落の中に入った。ラッパを吹く。家々から人が出て来た。


 行商人は少し門から入った広場に荷馬車を止めた。馬を馬車から外して広場に生えている木につないでおく。


 集落の人が飼い葉を持ってきた。それに広場にある井戸から水をくんで桶にあけて馬に飲ませている。

 集落の人が馬の飼い葉と水の世話をするらしい。

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