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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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066 時間調整の日 (1)

 翌日、別働隊の残りは日の出と共に先行する部隊を追って出発した。


 僕らは別働隊が仕事をする時間確保のため、次の宿場に着くのは二日後ということで別働隊と打ち合わせをしてある。

 次の宿場の場所もよく聞いたので案内の冒険者はいらないと言っておいた。本音はたまには自由にしたいのである。

 先にこっそりドラ一とドラ二に宿場を確認してもらったので迷子になる心配はない。


 今日も野宿である。街の近くにいては街の人が気を使うだろうから、別働隊の少し後に出発した。


 一回休憩して街道からそれる。馬車は収納した。

 冬がテオと馬を連れて服部屋敷に転移した。馬をテオに頼んで冬はすぐ戻ってきた。


 草原の中をゆっくり歩く。一角ウサギはたくさんいるが面倒だからバリアを張って進む。

 時々一角ウサギが突進して飛び上がってきて頭をバリアにぶつけて気絶して落ちる。


 少し先に森が見える。

 マロンとドラは狩がしたいみたいだ。そわそわしている。


「行ってきな」

 冬に言われて楽しそうに森に向かって行く。


 僕らはゆっくり歩いて森の手前に到着した。


 女王に聞いてみる。

「魔物の討伐をしてみますか?」

「はい、やってみたいです」


「では剣と短剣、胸当てを装備してください」

 女王と侍女長は冒険者の基本の格好になった。


「では森に入ります。バリアは張ってありませんので魔物に不意を突かれないように周り中気をつけてください」

 おどかしておく春人。


 緊張して森に入る女王と侍女長である。ガサっと音がするとビクッとする。


「エカちゃん、大丈夫だよ。まだ逃げていくような小物しかいないよ。でかいのがいたら教えてやるよ」


「冬ちゃん、ありがとう」

 いくらか気が楽になった女王たちである。


 遠くで音がする。マロンたちが狩をしているのだろう。音のする方から遠ざかるように進む。


「あ、ゴブリンが来るよ。周りを囲み始めた」

 冬に言われて慌てて剣を抜く女王と侍女長。


「ゴブリンの討伐証拠部位は右耳だよ。買取にもならない。クズ魔物だよ」


 ゴブリンは数の優位があるから簡単に勝てると思ったのだろう。周り中からゴブリンが姿を現す。


「エカちゃん、おばさん、頑張ってね。目の前のゴブリンだけでいいよ」


 ゴブリンがつかみかかってくる。

 秋人と冬で大半をちゃっちゃっと片付けた。あとは女王と侍女長が奮戦している。


「頑張れー」

 冬は観戦である。

「そこだ。切れ」

「残念、避けられた」


 ふうふう肩で息をして二人とゴブリン二頭が頑張っている。双方ともだいぶ足がもつれてきた。


「今だ、腰だめにして突っ込めー」


 二人が剣を腰だめにして突っ込んだ。躱す体力もなくなったゴブリン、渾身の突きにあえなくご臨終である。


 荒い息をして座り込んだ二人。

「よくやったね」

 冬に褒められた。

「筋はいいから慣れれば簡単だよ」


 自分ではかなりの手練れだと思っていた二人、思わぬ苦戦であった。


「生きているものに対戦したことがなかったでしょうから大変だったでしょう。命を断つということに躊躇いがあります。躊躇いを捨てれば楽勝でした。魔物相手ですから躊躇いは不要です。人相手に見境もなく剣を振るってはそれは凶剣ですが」

 夏の解説だ。


 ジーナが飲み物を配ってくれる。


「姉上、冒険者はこんな美味しい果汁は飲めませんからね」

「わかっているわよ。お前は働かなかったくせに飲んでいる」


「俺は補佐だからな。二番手だ。それにゴブリン如きに手を出したら若手冒険者に悪いと思ってね」

 若手と言われていくらか気分が向上した主従である。


 少し休んだ。

「討伐証拠部位は右耳なのですが切り取ってみますか」

 夏に言われて嫌だとは言えず、自分の倒したゴブリンの右耳を短刀で切り取る。


「エカちゃん、おばさん。冒険者以外は用がないから捨てていいよ」

 がっくりする主従である。


「では先に行きますか」

 春人が腰を上げる。


「今度は手応えがあるのがいいな。魔物狩りは久しぶりだな」

 本部長は機嫌がいい。


「さっきの続きがあるよ。ゴブリンがこの先にだいぶいる」


 冬に本部長が反応する。

「村を作ったか」


「そうみたいだよ」


「討伐しなければならないな。ジャイアントキングゴブリンでも生まれると大変だ」


「行ってみよう。楽しそうだ」

 冬はお気楽である。


「魔石はあるかな」

「ゴブリンは基本屑石だ。価値がない。ジャイアント以上になれば売れる」


「お金になる」

 夏は乗り気だ。


「魔道具に使う」

 秋人も乗り気だ。


「早い者勝ちだな。二人とも頑張れ」

 春人はどうでもいいのであった。


「ところが元がクズだからジャイアントになり切れずクズジャイアンゴブとあだ名がつくくらいで魔石は安い」


 本部長のありがたいお言葉に途端にやる気が失せた夏と秋人である。


「おじさん、これどうする?」


 冬に言われた本部長。

「ゴブリンの死体はいらない。耳もいらないな」


「じゃあ消してしまおう」

 冬が消してしまった。ついでにクリーンをかけておく。綺麗な地面になった。


「まあ綺麗な方がいいか」

 呆れ気味の本部長である。


 少し歩くと前方が開けている。葉っぱで葺いた粗末な掘建小屋が立っている。

 ゴブリンがウロウロしている。


「村になったな。5、60頭くらいか。でかい家がクズジャイアンゴブだろうな」

「一人5頭、残りは初心者でどうだ。クズジャイアンゴブは別途で」

 本部長の提案だ。


「それで行こう」

 春人が賛成した。


 初心者の意見はだれも聞かなかった。顔を見合わせる女王と侍女長。


「行くぞ」

 本部長が言って突っ込む。春人たちももちろん突っ込む。


「いち、に、さん」

 あちこちで数を数える声がする。

「五」

 50頭が討伐された。


 残り三頭に対して女王と侍女長が奮戦する。先ほどより格段に良くなった。覚悟が決まったのだろう。程なく討伐できた。


 一番大きい家から騒ぎを聞きつけたゴブリンが出てきた。

 普通のゴブリンより少し大きいくらいだ。


「つまらない。クズだ」

 秋人が首を刎ねた。

 女王たちも討伐が終わったようだ。


「汚い奴らね。耳も魔石もいらない」

 冬がみんな消してしまった。

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