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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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065 街の外での野宿二日目

 春人たちが街の広場から野宿の地に戻った。

 すでに先発部隊の半分は出てしまって、残りの大半も片付けでまだ戻ってきていない。少ない兵が女王のテントの周りで警護をしている。


 春人たちは馬と馬車を女王たちのそばまで運ぶ。兵に止められたが本部長が出て来て、彼らは女王の護衛であると兵に説明した。


 セバスたちが女王のテントを守るように春人と使用人のテントを設置していく。


 セバスは執事服、コレットは侍女服に着替えた。イタサンとジーナは料理人の服、テオとテアは冒険者の服だ。


 女王と侍女長もテントから出てくる。


「今日はありがとう。おかげで楽しく過ごせたわ」


「いえ、本部長の頑張りですよ。なかなかああいう広場で披露を行うというのは難しい。別働隊の抵抗があったでしょう。よく説得してもらいました」


「お前、褒められているわよ」


「さすがエカチェリーナ補佐です」


「お前、バレている」

 頭をかく本部長。


「エカちゃん、お腹空いたから夕食」

「そうね。そうしましょう」


 すでにイタサンがテーブルと椅子を出してテーブルクロスをかけて、カトラリーを並べ準備万端である。


 少し暗くなってきたがテーブルの上には秋人製の燭台が並んでいる。

 虫が飛んでくると困るから春人が虫除けバリアを張った。


 兵の目があるからイタサンとジーナがテントから料理をワゴンに乗せて運んできた。

 セバスとコレットが給仕する。


「ああ、やっとこうやって食べられる」

 女王はだいぶ困ったのだろう。


 イタサンは今日は疲れているだろうからと軽いものを出した。


「これは何?」


 女王に問われてイタサンが説明する。

「ロールキャベツです。夏様に教わりました」


「こってりしていなくていいわね」


「はい。野菜も煮てあるし疲れている時にはいいかと思います」


「このパン、柔らかい。どうしたの?」

 夏が気がついてイタサンに聞く。

 秋人が小鼻をうごめかす。


「秋人様が酵母というものを作り出しました。それを使って焼いたパンです」


「へえ、秋人。魔道具だけじゃなかったんだ」


「お母さん、僕が目指したのは警察ではなく科学者だからね。こちらの果物で色々実験をして作り出した。菌の培養だから温度とか湿度とか色々面倒だ。そこは魔道具を作ってしまった。自家製酵母だ」


「秋ニイは天才だ。魔道具学者だ」

 柔らかいパンを食べながら冬が感心する。


「尊敬したまえ」

「うん」


「そのうち店の棚で売っていたようなドライイーストを作ろうと思う。自家製酵母培養機秋一号を作ったから困らないと言えば困らないが、保存性が悪いからな」


「へえ、わかんないけど頑張ってね」

 また秋一号だ、バカの一つ覚えだと思ったのは内緒である。


「柔らかいパンは初めて食べたわ。秋人さんは冬ちゃんの言う通り天才ね」


「スープに浸さなくて食べられる。素晴らしい」


 女王と侍女長に褒められた秋人である。


「これはしかし長持ちしないだろうな。冒険者には向かない」

 本部長の感想だ。


「お前、冒険者は草の葉っぱや根っ子を齧っているのでしょう?」

「偏見だ」


「柔らかいパンは日持ちは硬いパンより悪いけどね。収納しておけばいい」


 収納袋なんて冒険者は誰も持っていないぞと本部長は思った。


「ただ自家製酵母は生きているから収納するわけにはいかないので移動する時はリュック入れて担いで行くようだ」


「時間停止ではなく低機能の収納するだけの収納袋を作ったら」


「冬、お前ただ生き物をかまっている魔法低能児と思っていたが考えることもできたんだ。さすが低能は低機能を思いつく」


「低機能も思いつかない低能にも達していない魔道具バカに言われたくない」


「二人とも高機能すぎて一周回って低機能なのよ」


 夏に言われた二人、

「まあ高機能すぎるということだからいいか」


 さすが女狐詐欺師、簡単に言いくるめてしまった、僕の出番はないと春人。 


 秋人は早速時間停止なしの収納するだけの収納袋を作ってイタサンに渡した。


「せっかくだから時間遅延収納袋も作ったら」

「そうしよう。時間経過が半分だ。一時間経つところ収納すれば30分だ」

 二人は仲直りしたらしい。


「そしたら反対のも作ったら」

「なるほど時間経過が倍だ。一時間経てば中は二時間。冬を収納すればたちまちババア」


「なんだって、このクソジジイ」

 二人はすぐ喧嘩するらしい。


「まあ残酷だから脳があるような所謂生き物は収納できないようにしようね。三つとも制限をかけた」


 春人に言われて

「うん」

「そうだね」

 喧嘩は終わったらしい。


「おいしかったわ。ごちそうさま」

「どういたしまして」


 女王と侍女長はテントに入って行った。春人たちも後をセバスに頼んでテントだ。


 セバスたちは使用人みんなで夕食。春人たちと料理が同じなので兵がびっくりしている。


 食事がおわってもまだ兵が見ている。


「お茶でもいかが」

 コレットが呼びかけるとぞろぞろと木のコップを持って集まってきた。


 ジーナがお茶をコップに注いでやる。今日は紅茶だ。兵はこれはどうもと言ってコップを持って持ち場に帰っていく。


 セバスたちはテーブルなどを片付けてテントに入る。テオとテアは馬の様子を見てからテントに入った。

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