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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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058 襲撃

 真夜中、月を雲が隠した。

 送り狼の馬車の回りに盗賊達が集る。


「行くぞ。真ん中のテントを襲う。音を立てるな。真ん中を始末したら回りのテントの連中を片づける。他の馬車の連中は気付いたら皆殺しだ」


 賊は20人程度。忍び足で中央に張られたテントに近づき取り巻く。


 盗賊の頭が手で合図した。


 盗賊が短刀を抜いてテントの中に静かに入る。気付かれる前に始末のつもりだ。

 すぐ出て来た。


「頭、中には誰もいない。何もない」

「馬鹿な」

 テントをのぞき込む。


「どういうわけだ。空っぽだ。他のテントはどうだ」


 盗賊が他のテントを確認する。

「空っぽだ」


 少し音が出てしまったがそれどころではないのだろう。


「どういうわけだ」

 もう一度頭が繰り返した。


 その時、テントが消えた。ターゲットのテントすべてが消えた。


 月を覆っていた雲が切れて行く。


 気がつけば回りを濃紺のような闇のような色の見た事のないデザインの服を着た者達に囲まれていた。


 一人の男が背中に背負った刀を抜いた。

「服部半蔵春人参上」

「夏参上」

「秋人参上」

「冬参上」

 一人一人刀を抜いて名告りがあった後、

「ワン」

「キュ」

「キュ」

 マロンとドラ一、ドラ二も名告りを上げたかったらしい。


「ハットリニンジャ カゲ参上」

 残りの6人のうちの一人が名告って一斉に刀を抜いた。


 馬車の中に転移させられ観戦中の女王、侍女長、本部長。

 冒険者は馬の背後を希望したので馬車には乗っていない。


 女王と侍女長。

 「ハットリハンゾウ ハルト参上」を聞き、月光の中に野太刀を掲げすっくと立つ姿を見て

「「かっこいいーー」」

 ハンゾウ様ー、ハルト様ーとか言いそうである。


 本部長はため息だ。


「な、なんだ」と盗賊達。


 マロンがワオーンと吠える。開戦の合図らしい。

 白刃一閃、盗賊の首が飛ぶ。


 マロンが銀色のビーム、ドラ一とドラ二が青いビームを口から放った。マロンの銀色ビームの正体は不明、ドラ一とドラ二は高温の炎と思われる。

 細く絞ったビームを放ちながら首を振ったのでこちらも盗賊の首が飛んだ。


 一瞬の間に立っている賊は一人だけになった。周りに首と胴体が離れた死体がころがっている。


 月光が冴え返る中に血刀を下げた春人が立つ。その前に引き据えられた盗賊の頭。回りを忍者が囲む。一幅の絵である。


「「春人様ー、つおーい」」

 もはや小娘のようになってしまった熟姫主従である。


 本部長が咳払いをする。


 正気に戻った主従。

「後始末を手伝ってきなさい」


「へいへい」


 本部長が馬車を降りて春人の方に向かう。春人達は刀にクリーンをかけ納刀したところだ。


「消してしまっていいか」

「その前に金目の物を回収しよう」


 本部長が冒険者を連れてきた。顔色が悪い。

 冒険者が本部長に言い含められて首の無い胴体から金目のものを集める。馬車の中からも回収してきた。大きな袋一杯である。


「消していいぞ」

 夏が死体を消し、地面にクリーンをかけた。元の通りにテントを出す。ハットリ忍者はテントの中で着替えてきた。


「お前は次の街で衛兵に引き渡しだ」

 本部長が盗賊の頭を手早く縛って盗賊の馬車に押し込んでおく。


 次に他の馬車の連中のテントに顔を出し、盗賊の討伐は終わった、今晩の見張りはやるからゆっくり休んでくれと言って回った。

 彼らには事前に盗賊の討伐があるからテントから出ないようにと頼んであった。


 冬が馬車に女王達を迎えに行く。

「終わったよ。テントに戻っていいよ」


 馬車から下りながら女王、

「凄かったわね」


「マロンはビームが放てた。成長した。でも大きさは変わらないけど」


 マロンを抱っこして、2頭のドラゴンをたけた冬だ。マロンは尻尾を振っている。ドラゴンが声をかけてもらえるか冬を見ている。


「ドラもビームが放てた。良い子だよ」

 ドラも尻尾を振り始めた。顔を冬にこすりつける。


 そっちもそうだが、凄いのはあんた達だと女王は思った。


「春人さん、みなさん。凄かったわね。こんな連中をのさばらしておいてすみません」


 おお、姉上様が殊勝だと本部長。


「いえ、盗賊は何処にでもいるものです。あと数時間で夜明けになってしまいますが、しばらくの間ですがテントで横になってください」


「ありがとうございます。では失礼します」


 本部長を睨んでからテントに入った。


「勘が良いなあ」


 ジーナが温かい飲み物を配った。

 飲み終わって、

「僕らもしばらく休みましょう」


 各自のテントに入った。


「秋人のランタンは便利ね」

 コントローラーをいじりながら夏が秋人に話しかける。


「寝ていても点けたり消したりできるからね」


「ものぐさは生活を便利にするわね」


「炎が揺らめいて芸が細かい」

 春人が褒めてやる。


「燭台のロウソクもただ光っているのじゃつまらないから工夫した。それと同じだ」


「立派な魔道具師だな」


「次は何を作らせよう」

 夏が余計な事を言う。


「ふん。冬何か言ってよ」

 冬からの返事はない。

 冬はすでにマロンとドラと夢の中だ。


「俺達も寝るか」


 見張りをつける事をみんな忘れていた。

 魔物が回りにいたが恐ろしい虐殺現場を見てしまったので逃げてしまった。

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