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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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052 奴隷商はおとり捜査に引っかかる

 休憩場所を出てから途中馬に夏の怪しいポーションを飲ませて街まで一気に突っ走った。

 夕方前に着いてしまった。


 案内冒険者と冒険者組合の前で別れた。衛兵詰所に寄る。


 それからぼったくられ男の馬車と馬を売り払う。代金は夏が収納。ほくほくしているから儲かったのだろう。もっとも元手がかかっていないから儲かるわけである。


 次は奴隷商である。詐欺師に案内させる。表の看板は人材斡旋所となっている。


 春人が詐欺師をつれて中に入る。


「こんにちは。ここは人材を斡旋しているそうですね」

「そうだが」

 不審そうな顔をする小太りな商店主である。


「この人達を買い取ってもらえますか」

「買い取りはうちは」

「やっているでしょう。お安くていいですよ」


 奴隷商、安いと言う言葉に思わず反応してしまった。すっかり奴隷商の顔つきになった。


「商品を拝見。なんだ、指がおかしいぞ」

 あ、忘れていたと春人。すぐ治す。


「見間違いでしょう」

「異常はないな」


「そうでしょう。体は頑健、まだまだ働けますよ」

「買おう。三人だな」

「はいそうです」


「三人で金貨二枚でどうだ」

「安い。金貨三枚」


「女でもなし、うまく衛兵の目を潜って売りつけなくてはならない。その間、食わせておかなければならない。痩せれば価値が下がるし病気になれば大損だ」


「なるほど。それでは金貨二枚に大銀貨8枚でどうだ」


「大銀貨は5枚だ」

「売った」


 奴隷商は奥から金貨二枚と大銀貨五枚を持ってきた。


「契約書は?」

「そんなものがあったら足がつくだろうが」

「それもそうか」


 春人がお金を受け取って詐欺師を置いて店を出る。代りに衛兵が踏み込む。


「違法奴隷取引の現場を見た。逮捕だ」

 裏口からも衛兵がなだれ込む。


 違法奴隷商一味は逮捕された。

 いわゆるおとり捜査だ。


 奴隷商は「騙されたー」と叫んだとか。


 春人は詐欺師達を衛兵詰め所に出頭させた。


 今日は別動隊の予約通り問題なく宿に泊まれた。


「面白かったわね」

 女王の感想に侍女長は苦い顔だ。


「姫様、ああいうことはありませんよ。春人さん達はでたらめです」


 つい昔の癖で姫様と出てしまったが気付かない侍女長。女王は若返ったようで悪い気がしない。


 姉上のご機嫌伺いに顔を出していた本部長。姥姫だと思うのであった。


「何よ」

「いえ、テレーゼ侍女長の春人殿達がでたらめと言うのは正しいです。エリクサーなど伝説です。現物があったという事を聞いたことはありません。国の宝物庫にもありません」


「お前、宝物庫のことをよく知っているね」

「こう見えても冒険者組合本部長です。いったん事が起こったときに国内のポーションを把握していないとまずいですから」


「へえ、それがどうして宝物庫に繋がるのかわからないけどまあいいわ」


「ちなみに宝物庫にあるポーションと解毒薬は期限切れです。適切に管理されていません」


 本部長、王弟と公爵と三人で宝物庫を調べた事がある。それこそ期限切れの一級ポーションと一級解毒薬が10本づつあっただけである。


「まずいわね。きちんと管理するように公爵に言っておいて」

「今は旅の空ですから」


「向こうからドラゴンが連絡に来たら公爵に手紙を書いてドラゴンに運んでもらおう」

「それがいい」


 こちらヒカゲ家。預かっているミニドラゴンの元気がない。南の空を眺めているばかりである。


 当主が奥さんに聞く。

「これはあれかな冬姫様が恋しいのか」


「そうでしょうね。可哀想に。篭に入れているわけではないのに飛んで行かないでじっと南を見ている。けなげで可哀想だわ」


「定期連絡ということで使いに出すか」

「そうね。それがいいわ」


 当主が手紙を書いた。何もありませんという定期連絡だ。ドラゴンが寂しそうに南を眺めていたと付け加えた。


 首に巻いた黄色いスカーフの前に垂れている部分に手紙を丸めて、くるくると首の近くまで巻くと元に戻らなくなった。


「さあ、手紙を二頭で冬姫様に届けておくれ」


 いいの?と言うようにドラゴンが二人を見た。


「いいわ。行きなさい」


 ドラゴン二頭が飛び立ち春人邸の上を一周して、上昇して行った。たちまち見えなくなった。

 茜色の空に二本の白い筋が南を目指して伸びて行く。


「すごいわね。あの白い筋の先頭がドラゴンなのでしょうね。すぐ着きそう」

「あっという間だろうな」


「あ、ドラ一とドラ二が来る」

 冬がそう言って窓を開ける。


 少ししたら本当にミニドラゴンが飛び込んできて冬に抱きついた。キュ、キュと鳴いてしっかりしがみついて尻尾を振って頭を冬にこすりつけている。


「良い子、良い子」

 冬が二頭を撫でている。

 しばらくしたら落ち着いた。


「あれ、何か運んで来たね」

 冬が丸まったスカーフを元に戻していくと中から手紙が出て来た。


「お父さん。手紙」


「はいよ。えーと、何もないとの定期連絡だそうだ。ドラ一とドラ二が南を見て寂しそうと書いてある。使いに出してくれたんだね」


「寂しかったの」

 キュ、キュと鳴いて再びしっかり冬にしがみつく。


「そうか、そうか。今日は一緒に寝ようね」

 尻尾を盛大に振って嬉しそうなドラゴンだ。


 さて詐欺師達のその後である。

 詐欺師達は牢に一泊して取り調べを受けた。


 奴隷商捕縛に協力したので罰金とこの街への出入り禁止ですんだ。罰金はひとり金貨一枚である。


 昨日のうちに春人が奴隷商から巻き上げた金貨二枚と大銀貨五枚を詐欺師に渡すように衛兵に預けてあった。詐欺師達は大銀貨五枚を自分たちで足して罰金を支払った。


 詐欺師達は朝の街を馬車で出て行った。今度は悪党から巻き上げようと話しながら。

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