049 ポーション詐欺師達を調べる
幼児達を見送った夏、
「奴隷がいるって。やあねえ」
「夏さん、我が国に奴隷はいない。犯罪者の懲役奴隷はいるがそれ以外の奴隷はいないはずだ」
「表向きはいないってさ」
「知らなかった。奴隷がいるなんて聞いたことはなかった」
「姉上、それは違法だからわからないようにやっている」
「お前は知っていたの」
「噂は聞いていた」
「何で放っておいた」
「俺は冒険者組合の本部長だからな。違法奴隷の取り締まりには当たれない」
「それはそうだが言ってくれてもいいのに」
「不確かなことは言えない。不確かな情報でトップを動かすことはできない。トップが間違った情報で動いてしまったら思わぬところに被害が出る。それに対してトップは責任を免れることはできない。それにそういうのは裏金になって大抵上納される。不確かな情報では潰される」
「どこに上納されるのか」
「悪党、土地の有力者、領主などだろう」
「領主もか」
「そこからさらに上納されてどっかのトップの遊興費になっていたかもしれない」
「・・・・」
「あの詐欺師達を次の街で売ってみたらいい。そしたら違法奴隷がいるかいないか確実に分かる」
「そうね。それなら良く分かるわね。さすが番頭さん。任せたわよ」
「ああ、健康そうだから大分儲かるだろう」
「儲けなくても良いけどね」
「いやいや、やるなら儲けてから悪党を捕まえた方が良い」
「売るなら指が折れたところを治しておいたほうが良いか」
「そうだわね。値切られても困る」
夏も高値で売る気満々である。
「マロンに治させよう。マロン、行くよ」
冬がマロンと縛られ転がされている詐欺師のもとに行った。
「どの男だっけかな。この男か」
指を曲げて見る。ボキッと音がした。
「ギャー」
男が悲鳴を上げる。
「ごめん、ごめん。違ったみたい。では隣で転がっているこの男」
また男が悲鳴を上げる。
「あれ、外れた。では最後の男」
「俺だ。俺だ。指はこれだ」
折れた指を差し出す。
「これか」
ボキッ。男が悲鳴を上げる。
「隣の指か」
振って見る。また悲鳴が上がる。
「当たった。この指だ」
「姫様、馬車の中に一級と書いてある瓶がありました。使って見てはいかがでしょうか」
「へえ。一級ね。一級ポーションならさぞかし良く効くんでしょう」
セバスが三人に飲ませる。
「姫様、ご確認を」
冬がにこにこと三人の折れた指を次々に振る。
三人の悲鳴が上がる。
「優秀な拷問官のようね」
女王が感心している。
「一級も売りつけたの?」
詐欺師が冬に問われた。
「金持ちは俺達から買わないから売れなかった」
「貧乏人相手に売っていたの?」
「そうだ。三級ならば元々あまり効果がないのでばれない。二級なら一級でなければ治らないと言えば一級は買えない貧乏人だから逃げられた」
「今回はどうしたの?」
「まだお金を持っていそうだったから二級の二本目を売った」
「それで」
「最後には一級をちらつかせて両親を売り払うつもりだった」
「どこに売るつもりだったの」
「女は遊廓に売り、男は奴隷商に売る」
「奴隷商を知っているの?」
「ああ」
冬が春人のところに戻った。
「お父さん、あいつら奴隷商を知っているって」
「よくやった。売り先が見つかった」
さすが冬姫様、やる事が違う。俺達はああうまく拷問できないと使用人は尊敬の眼差しだ。
「それで冬、指は治した?」
「あ、忘れた。マロン行くよ」
再びマロンと詐欺師達の元へ。詐欺師達は脅えている。
「今度は足の指」
冬が言うと一斉に足を隠す詐欺師達。
「なんてね。ちゃんと治すから。マロン」
マロンが治療しやすいように手のひらを地面に付けさせる。マロンが折れた指をふむ。三人の指を次々に踏んだ。
「治った。よくやった」
冬がマロンを抱っこして撫でてやる。尻尾を振ってペロペロ忙しい。
「マロンが治したよ」
春人と夏に報告だ。
「だけど冬が読んだラノベだと神様の眷族の狼さんが治すと手足や首の向きが違ったりするんだよね」
「詐欺師達が情けない顔をしているわね」
「やっぱり」
「向きが・・・横向きだ」
「俺の爪が手のひら側だ」
「指が反対に曲がる」
「でも良いんじゃない。逃げてもすぐわかる」
「それじゃ足首も前後ろ反対につけておこうか。逃げられない」
「そうねえ」
「逃げない。逃げない。絶対に逃げない」
「さて時間をとった。行こう。詐欺師は自分たちの馬車に乗れ。一人は御者だ。先に行け、王都方面と反対方向だ。逃げればお犬様が首を反対向きに付けてくれるぞ。二時間行ったら休憩だ」




