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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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040 新女王即位祝賀パーティー

 祝賀パーティーは立食であるから貴族が女王を取り囲む。


 女王のそばにうまく陣取った貴族が女王に聞く。

「陛下、今日は見た事も聞いた事もない立派な魔石を見る事が出来、思わぬ眼福にあずかりました。あの魔石を持った魔物はどこで発見されたのでしょうか」


「本部長、説明してさしあげなさい」

「本部長・・そうでしたな。冒険者の仕事とか」


「王都から一番近い街から二時間ほど歩いたところに村がある。その村より蛇の討伐依頼がその街の冒険者組合にあった」


「ほうほう、依頼があったのですか」


「そうだ。その時の依頼内容は蛇の巣の討伐であった」


「それではすぐ討伐となったのでしょうか」


「いや、蛇だからな。だれも討伐に行きたくはない。にょろにょろくねくねだ」


「なるほど、それはそうですね。良く分かります」


「魔物が強い弱いの話ではない。気持ちが悪い、気分が乗らないのは冒険者も同じだ。さらに討伐の証拠部位は頭だ。蛇を持って頭を切り落とさなければならない。誰でも嫌だと思う。それに蛇の魔石など小さくて屑石だ。値段もつかない。だから討伐希望者がいなかった。被害の報告もなかったから組合も強制依頼をかける事をしなかった」


「確かに蛇の討伐には行きたくはないですな」


「たまたま組合に遅い時間にやってきた四人が依頼がそれしか残っていなかったので引き受けてくれた」

「それが今日発表があった冒険者ですか」

「そうだ」


「それで討伐に行ったらジャイアントキングスネークを見つけたという次第でしょうか」

「うむ。それまでは蛇の巣としかわかっていなかった。ジャイアントキングスネークがいるとわかっていたら王都の冒険者組合本部に連絡が来て大騒動になっていた」


「退治の様子はどうだったのでしょうか」

「それは冒険者の手の内に関する事なので聞く事は出来ない」

「ああーなるほど」


「冒険者タグによれば、ジャイアントキングスネーク一頭、ジャイアントキングスネーク幼生220匹、ジャイアントキングスネークの卵95を討伐したとあった」


「それは随分と」


「そうだ。稀に見る大きな巣だ。危なく幼生220匹が巣からあふれ出てくるところだった。卵が孵れば300匹以上の蛇の大行進になってしまうところだった。成体は一頭だったが、ジャイアントと名がつく魔物にも苦労するのにその上キングだ。とてもではないが冒険者でも軍でも討伐できない。俺の現役の時でも一人では無理だ」


「王都に近いところにそんな大きな巣があったなんて」

「王都近くだから冒険者が多い。魔物は普段は避けているがまもなく結界が消えると魔物が感じとって餌のある近くに巣を作ったのだろうよ」


「餌?」

「我々の事だ。結界が消えればここは魔物にとっては良好な餌場だ」

「・・・・」


「結界を担っていた魔石は動かしたら砕けてしまったというし、魔石を更新しなければ今日、明日にでも結界が消えても不思議ではなかった。蛇が退治されていなければ結界が消えた王都に蛇が押し寄せてきただろう。蛇の幼生も豊富な餌に満腹して脱皮して強くなったろう。他の魔物も来たろう。手がつけられなくなったろうな」


「危ないところでした」


「結界を張り直せなければ、王都は、街や村は壊滅的な被害を被ったろう」


「冒険者四人は大恩人ですね」

「そうだ。この国の滅亡を救ってくれた」


「四人が国からS級冒険者に推挙され、冒険者組合がS級冒険者に認定した事が納得できました。ところで今はどちらにいらっしゃるのでしょうか」

「我が国にいるが国にとって重要人物だから居場所は公表していない」


「お会いしたいものですね」


「S級にもいろいろあって、俺のように無頼S級もあるが彼らは特S級、いや神級とでも言ったほうがいいくらいの実力の持ち主だ。うっかりして逆鱗に触れると・・・この国が消されるかも知れない」


「まさか」


 聞いていた女王も王弟も公爵も笑わない。真顔だ。貴族は背筋が寒くなった。


 これはまずい、話題を変えようと連れ立っていた友達の貴族。


「そういえば、この頃子犬を見かけたという話を聞きました。子犬は珍しいので冒険者組合で何か知りませんか?」


 苦い顔をした本部長。


 あれ、話題を問題のない方向に持って行ったのになにかまずかったのだろうかと貴族。黙ってしまった。


 近くにいた情報通に思われたい、女王の弟にゴマをすりたい貴族が横から口を出す。


「なんでも少女と子犬が十数人の賊に誘拐されそうになって、本部長が大立ち回りして救出したと噂になっています」


「俺が救出か」

 低い本部長の声である。


 貴族はおかしいなと思いながらも武勇伝だし少女と子犬だから問題はない筈だと続けた。


「その子犬は黄色いスカーフを首に巻いていてたいそう可愛い少女に抱っこされていたとか」


「俺は無頼で有名だった。改心した今になっても大立ち回りなどと言われたくはない」


 そうだった。大立ち回りでは今も無頼現役と言っているようなものだ。本部長が気が乗らないのはそういう理由かと貴族は腑に落ちた。


「下僕が仕入れてきた埒もない噂です。失礼しました」


 さて外国大使達。

 冒険者四人を自国に引き入れられれば重畳と思って聞いていたが、劇薬かも知れないと考え直し、情報収集は無理ない範囲でするが積極的に関わるのはやめよう、他の国が動くなら別だがと思った。

 それにもしかすると召喚勇者かもしれない。召喚魔法陣を使ったのか。召喚勇者なら下手に手出しをすると国が滅ぼされる。本国には新S級冒険者4人は召喚勇者かもしれないと報告するが調査は難しい。

 女王陛下たちに型通りの挨拶をして、子犬と少女の話は面白そうだ。こっちは噂話を仕入れよう。お腹が空いた。何か食べようとテーブルに群がる貴族達の間に入って行くのであった。


 無事にパーティーは終了した。

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