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服部家一家 異世界に召喚される  作者: SUGISHITA Shinya


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028 大猿を倒しフェンリルの子犬を救う

 春人達は森と草原の接点に揃った。

「では行くか。冒険者タグは出したね」

「うん」


 森の中は鬱蒼としている。昼間だが薄暗い。

 10分くらい歩いた。


 キーキーと鳴き声が聞こえた。

「来るぞ」


 森の中なので長いものは振り回せない。みんな刀を出した。冬は忍者刀がいいらしい。


 猿が来た。牙をむき出している。回りを囲まれる。木の上にもいる。


「これは沢山だねえ」

「でもまずそうだわ」

「魔石だけか。よし。やるぞ」


 全員走り始める。当たるを幸い首を切り落とす。


 冬が木に飛び上がり、木から木へと次々に飛び移る。上から猿の首と胴体がぼとぼと落ちてくる。


「冬は忍者だねえ」


 奥から一階の高さぐらいのでかい猿が出て来た。

 怒っているらしい。牙をむき出しドラミングしている。


「こいつゴリラのような事をするな」

「ドラミングは争いを避けるためにもするみたいだけど」


 大猿が木をへし折った。振り回して向かってくる。

「戦意高揚だったみたい」


「いくらか知恵があるのかも知れない。秋人行ってこい」

「何で俺?」

「冬が頑張っているからな。秋人はお兄さんだし」

「ちえ」


 秋人が大猿が振り回している大木を切った。春人の方に飛んできた。


「危ねえなあ」


 木をキャッチして大猿に投げた。木は切り飛ばされたので先が尖っていた。腹に刺さって大猿は倒れてしまった。


「お父さん。俺がやるんじゃなかった」

「あ、ごめん。ごめん。つい投げてしまった。でもまだ生きているから首を落とす役は進呈する」


 秋人がぶつぶつ言いながら大猿の首を落とした。

「魔石、魔石」

 夏が言いながら胸を裂いて中に入り込んだ。


「夏は毎回入り込むのか」

「さすがお母さん。お金の匂いには敏感だ」

「生臭さには鈍感だ」


「何よー」

 大猿の腹の中から夏が出て来た。慣れたので春人がすぐクリーン。


 夏はピンポン玉くらいの魔石を握っている。

「金貨よ、金貨、金貨50枚。王都だからもう一声、55枚」

 夏にはすでに魔石が金貨に見えるらしい。


「猿の魔石はどうする?」

「どのくらいの大きさか一頭から取り出してみよう」


 夏が大猿の魔石を収納し、倒れている首なし猿の胸の辺りを短刀で切り裂き、手を突っ込んで魔石を探している。

「あった」


 取り出した魔石は小さい。小指の爪くらい、直径1cm程度の魔石であった。


「小さいわね」

「でもピンポン玉くらいの魔石でもめったに出ないと言っていたからこれでも十分なのではないか」


「あなたの玉より小さいわね」

「そうだろう。そうだろう。これでは性能不足だろう。満足な力は引き出せない」


「長持は大事だよね。これは長持しそうにない」


 途端に下ネタになってしまった。

 勝手にやってろと思った秋人と冬である。


「魔石をとるよ」

 秋人がうんざりして両親の方を向いて言った。

「あ、そうね」


 4人で魔石を取り出した。45個あった。


「銀貨でしょうね。大、中、小のどれかな」

「大銀貨か中銀貨だろう」

「楽しみ楽しみ」


「では売りに行こうか」

「お母さん、少し先にまだ猿の魔物がいるよ」


「魔石を取りに行こう」

 夏を先頭に奥に向かう一家であった。


 5分くらい進むと広場が見えた。

 そこに掘っ建て小屋のようなものが建っていた。粗末であるが大きさだけはでかい。多分あの大猿の家だろう。


 家の前では猿が何かを囲んでいたぶっている。

 キャンキャン聞こえた。


「あ、子犬だ。助けてって言っている」


 冬が忍者刀を抜いて走って行き、子犬らしい生き物をいたぶっていた猿をあっという間に切ってしまった。


「大丈夫だよ」

 子犬を抱き上げて回りを睨んでいる。


「冬が子犬を拾ったみたいだよ」

「そうみたいだけど、こんなところに子犬がいるのかな」


「何でも良いんじゃない。冬の友達になりそうだ」

 小屋からもう一頭大猿が出て来た。


「金貨、金貨が出て来た」

 夏がすっ飛んで行く。飛び上がって首を落とした。

 回りに猿がいるのもかまわず胸を切り開いて中に入り込んで行く。


「しょうがない。残りを片づけるか」

 春人と秋人が残りを片づけにかかる。瞬く間に全部の猿の首を落とした。


 今度は夏がすぐ出て来た。大猿は二度目なので魔石の場所がわかったらしい。


 もちろん春人がクリーン。夏が魔石を持ってにこにこしている。


「お母さん、子犬」

「そうだったわね。子犬のように見えるけど何だろうね。鑑定」


「へえ。フェンリルの子犬だって」

「ほんとだ。フェンリルの子犬だ」

 みんな一応鑑定してみた。


「飼っていい?」

「いいんじゃない。冬はお子様になっちゃって、回りに子供がいないから友達になりそうだし」


 フェンリルの子犬は冬の顔をぺろぺろしている。まるっきり子犬だ。


「フェンリルの子供も子犬で良いのか」

「いいんじゃない。見るからに子犬だわ。それで冬、名前はどうするの?」

「茶色だからね。マロン」

 マロンがワンと鳴いた。いいらしい。


「魔石を取って帰るか。マロンは怪我をしているみたいだよ。冬、治してやりな」

「ごめんごめん、気がつかなかった。治療とクリーン」


 マロンが白くなってしまった。銀色っぽい輝く白だ。


「あれれれ、マロンがマロンでなくなった。いいか。マロンだ」

 尻尾を振っている。全く気にしないらしい。


 冬がマロンの世話係になってしまったので三人で猿から魔石を取り出した。12個あった。猿の魔石合計57個。


「では帰ろう」

「お父さん、猿はどうする?」

「食べられそうにないから消してしまえ」

 秋人が全部消した。


「家はどうする?」

「何か棲むといけないな。倒しておこう」


「ふゆふゆはあー」

 冬が掘っ立て小屋の柱と壁を吹き飛ばした。屋根がすとんと落ちた。


「わんわんわあーん」

 マロンがまねして吠えた。屋根に葺いてあった葉っぱが飛び散り枝が吹き飛んで屋根の原形を留めなくなった。


「へえ、マロンは凄いな」

 一生懸命尻尾を振っている。春人に褒められて嬉しそうだ。


「群れのボスだって言っているよ」

「へえ、冬はマロンの考えている事がわかるのか」

「うん。良く分かる。ボスはお父さんだけど、真のボスはお母さんだってよ」

「ふふん」


「それはわかっていたからいいけど。ラノベでは魔物と仲が良くなる人はなんて言うんだ」

「テイマーだよ」


「魔法少女にしてテイマーか。たいしたものだ」


「魔石を売りに行こう」

「お母さんはぶれないね」

「冬の忍者好きみたいなものよ」


 みんなで歩き出す。

 途中で始めに倒した猿の死体を消した。

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