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結婚するとは言っていません【書籍化・コミカライズ化決定】  作者: 白雲八鈴


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101/161

第101話 旦那様に私の声が届くかは不明です

第100話と同時投稿です。

 敵の襲撃はあったものの、戦力過剰によりこちらの損害はなく、招待客にもケガはありませんでした。


 しかし、国王陛下がいらっしゃる場で、ことが起きたのは事実です。

 ですので、招待客一人ひとりに事情聴取を行うために、ファングラン公爵家の別館に足止めされているのです。


 そう、ここまで敵に侵入されたのは手引きをしたものがいるのではと、ファングラン公爵がおっしゃったそうです。


 まぁ、いるでしょうね。

 騎士団の中に術で洗脳された者がいた時点で、貴族の中にいないとはいい切れません。


 なので、私は一晩ファングラン公爵家の別館で過ごすことになったのです。


「エリアーナさん。別の物を用意してほしいです」


 私はエリアーナさんにクレームを入れます。これは嫌です。


「本日は多くのお客様が滞在、または休憩されておりますので、そういう要望は却下いたします」


 却下……確かに私は謹慎処分中なので、わがままは許されない立場かもしれませんが、これは嫌です。


「せめてヒラヒラしていないのがいいです」

「数に限りがありますので、着替えがあるだけマシと思っていただきたいです」

「ぐっ……」


 私が何を言っているのかといえば、寝間着のことなのです。

 ドレスと凶器とジャラジャラとした宝石から解放された私に渡されたのは、綿のネグリジェでした。


 そう、女性物の寝間着なのです。せめてリネンのシャツでいいので、男物が欲しいです。


「それとも換えのドレスにいたしますか?」

「それは遠慮します」


 招待客の数が多いため、私の事情聴取は早くても夜明け頃だと言われました。睡眠は別に鎧をつけていても、地面で寝るにしても私からすれば大した問題ではありません。


 しかし、何かあれば弁償ができない装飾品や、気を抜くとガツンガツンと足音がなるヒールを身に着けたままというのは気が抜けません。


 だから着替えると言いましたのに、まさか渡されたのが、女性物の寝間着。


「はぁ、レクスを絶対に部屋に入れないでくださいね」


 レクスは事後処理のため、騎士団団長として動いているので、ここにはいません。

 私はそのレクスのパートナーなので、事情聴取から除外されてもいいと思うのです。ですが、ファングラン公爵が納得するために行うべきだと言われましたので、一晩過ごすことにしたのです。


「止めはいたしますが、今の旦那様に私の声が届くかは、不明でございます」

「はぁ〜」


 あの後、国王陛下から許可をいただいたのが、シエラメリーナ・マルトレディルとの婚約ということに気がついたレクスでしたが、結論として私とシエラメリーナを幸せにするということに落ち着いたのです。

 両方、私なのですけどね!


 なので、エストの残念な感じのため息が止まらなかったのです。


「事情聴取の一時間前ぐらいには声をかけてください」


 それだけを言って、私は客室の寝室の扉を閉めたのでした。


 寝るためではありません。

 今までの情報をまとめるためです。


 私は寝室のベッドから離れた位置にある二人掛けのテーブルの席につきます。

 恐らく軽食を食べたりするのに使用するためなのでしょう。

 それほど広いテーブルではありません。


 その上に真っ白な紙を置き、書き込んでいきます。


 グレンバーレルから予想はされていたとはいえ、本当に過去の『戦場の死神』が現れたのです。


 これは由々しき事態です。


 私が知る帝国の『戦場の死神』の情報は、ほんの一部です。相対した者の情報や、戦友から聞いた情報はありますが、それ以外のことはわかりません。


 一番情報を持っているのはクソジジイでしょうが、そこから聞き出すのは虫唾が走ります。


 今、生きている英雄から情報を募らなければなりません。そう! ベルラディル閣下とかです!


 ・

 ・

 ・


 ふぅ〜こんなものでしょうか?


 やはり、名前だけ知っているというのが多いですわね。

 そこから、肉体の一部が残っているという状況からいきますと、三十年前ぐらいが限度でしょうか。


 ほとんどが戦場で散っていますので、ここまで多くはないでしょう。


 ん?


 月明かりが差し込む窓がすっと開くのを横目で捉えました。

 そして、トッと音を立てて床に降り立つ者。


 誰です?

 体格からいけば細身の男性で、成人をしていると思われますが、見覚えがありません。


 そして一直線に部屋の中央にあるベッドのほうに向っていきます。


 まままままさか! 夜這い!


 月の光を反射する銀色のものを取り出して、思いっきりベッドの上に突き立てたではありませんか!

 ……それ、レクスが侵入してきたときに騙されないかと、ベッドの中に枕をいれて盛り上げているだけの物体ですわよ。


 あ、中身が枕だと侵入者は気づいたようです。


 そして、枕の中身の羽毛をベッドの上に散らかしながら、辺りを見回しています。


 目が合いましたね。

 そして、足音を殺す気がないのか、普通に走って私との距離を詰めてきました。


 ……あの? 素人の方ですか?

 暗殺者の動きではないですわよね。


「小さい……子供か?」

「あ?」


 誰が小さいですって! ド素人の侵入者が!



読んでいただきありがとうございます、

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素人暗殺者…!!次の展開を早くお願いします…!!
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