#06 ヒーローズ・インサイト 4
【株式会社 悪の組織の施設に隣接されたバー】
社員証をタップすれば自動で半額になる、福利厚生の聖地。
薄暗い照明の中、ノースはすでにカウンターに乗り上がっていた。
「つーかよ!あのラブリータ!なんなんだよ!?
あれもうヒーローっていうか、アイドルだろ!タレントだろ!!」
隣でグラスを傾ける山田は、一切顔を上げずに言う。
「あなたの声が一番攻撃的です。静かにしてください。」
「マジであの番組、月イチで見てんだけどよぉ……
あの女のとこだけ飛ばせねぇの?
俺様マジ苦手なんだけど。」
「えぇ?!ラブリータちゃん、かわいくないっすか!?」
カクテル片手に目を輝かせたジョシュに、
ノースは珍しくじっとりとしたにらみを向ける。
「お前、単純すぎんだよ。
あんなん、上っ面に決まってんだろが。
なにが“永遠の18歳”だ。実際10歳ぐらいサバ読んでんじゃねぇの?」
「そんなわけないじゃないですか?!……えっ、えっ……だとしたらショック……
いやでも、何歳でもかわいい!!」
そのテンションに、山田は無言で椅子を少し遠ざけて座りなおした。
「……それはさておき、今回9位10位が追い上げてきましたね。」
「あ~、あの紙ひこうきねーちゃんと肉団子のおっさんな。のし上がったよなぁ。
まぁ、前回の9位が逝っちまったってのもあるけどよ。
ターゲット層、狙い撃ちって感じ。あいつら。」
ノースは二杯目のビールをぐいっと煽りながら言い、
ちらりと山田のショットグラスを見やって、
さりげなく瓶ビールをスッ……と横にすべりこませた。
山田は、無言で瓶ビールにシフトチェンジしたものの、
テキーラのショットグラスを名残惜しそうに見つめていた。
ノースはごくりとビールを煽りながら、ぼやくように言う。
「トップ5より上の変動は、なかなかねぇよなぁ……」
「ノースさん、トップ5ズとは戦ったことあるんすか?」
ジョシュが興味津々で身を乗り出す。
ノースはつまらなさそうに肩をすくめた。
「んや。まだねぇんだわ。
早く殺しあいてぇけどよ……なかなかなぁ。」
ビールの泡が、グラスの縁をすべり落ちる。
「ま、戦うのは――まだ先かもな。」




