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#06 ヒーローズ・インサイト3

いよいよ、ナンバースリー:マキナ・オプスへ。

先ほどまでのCMのテンションが嘘のように、空気が静まり返っていく。


「さぁ……TOP3、まずはこの男!

仮面の奥に秘めた静寂の誇り――

沈黙で示す、正義の意思!」



No.3:マキナ・オプス



画面には、無言で前線を駆けるフルマスクの男。

精密な動き、ぶれない視線(のように見えるマスク)、

静かすぎるその行動に、誰もが目を奪われる。


「フルマスクの謎ヒーロー、マキナ・オプス!

その素顔も、本名も未公開!だけど評価は、トップクラス!!」


画面がゆっくりと切り替わる。


無機質なフルマスクに背中に搭載された鋼鉄の四本のタコの足のように滑らかなアーム。


“静かなる鉄仮面。沈黙こそ、最も強い言葉。”


「決め台詞もないほどの沈黙ヒーロー。

素顔がイケメンかそうじゃないかでしばしばSNS上で論争が起きてます。」




MC:「次はッ!いよいよTOP2!!!


“最速の二番手”がこのあと登場!!


ヒーロー界のナンパボーイ、スピージオいきますよ〜〜〜!!!」



No.2:スピージオ




“速さこそ、正義だぜ!”



音速ブレイクの効果音とともに、画面が一気に切り替わり

赤とグレーのスーツに「S」のマーク、レーサーを思わせるスーツが風を切る!




MCのテンションは、最高潮だ。


「ヒーロー界の最速正社員!!!今月もランクインは当然だッ!


止まらない勢い、止まれない脚力!ナンバー2はスピージオ!!!」



「真面目!でもチャラい!でも真面目!!

まだまだ進化する若手ヒーロー」



映像は切り替わり、事件現場を一瞬で駆け抜ける姿、

敵の背後を取って足技で制圧するスロー再生、

そして笑顔で子どもに手を振る“オフの顔”まで一挙公開。


「言うだけ言って走り去るその男!

今月も正義の味方の最前線をかっ飛ばしてます!!」


決め台詞テロップは、


「追いつけるもんなら、追いついてみな?」




そこで

画面が切り替わる。


「さぁ……ここまできたら、もう皆さん分かってますよね……?」


MCの声にきんちょうかんが走る


「この業界に君臨する、絶対王者。

ランキングが存在する限り、1位で居続ける男――」


ドラムロール


「最後を飾るのは……もちろんこの人!!!」




静かに、ただ静かに始まる“鼓動のようなSE”



「絶対的、象徴的、そして――悲劇的。」




No.1:ジャスティクス




“正義とは、力を持ち、それを正しく使う覚悟だ。”




画面に映るのは、ネイビーと金を基調とした重厚なスーツ。

隙のない肉体と、鋼のようにまっすぐな瞳。

彼が歩くだけで、地面に“正義”が宿るような――

そんな雰囲気すらある。


「ヒーローランキング不動のNo.1――それが、ジャスティクス。」



「最愛の妻を“悪”に奪われ、


その復讐を力に変えた男……。


悲しみを越え、社会全体を守るため、彼は“理想のヒーロー”となった。」



ジョカは、わずかに笑みを漏らす。


MCは、興奮を抑えながらも続ける。


「力を持ってなお、慢心せず。

強さを手にしてなお、悲しみを抱えている。

彼の存在は、ヒーローが“人間であること”の証でもあるのかもしれません。」



【No.1:ジャスティクス】


“失った愛が、正義を作る。


誰よりも強く、誰よりも優しい、最強のヒーロー。”




番組は、


その象徴にスポットライトを残したまま、


ゆっくりと次週予告に切り替わっていく――。



会議室の照明が、徐々にゆっくりと明るさを取り戻していく。

番組はフェードアウトし、スクリーンから静かに消えていった。


「……さてと。終わったね。」


ドクター・グレースが椅子から立ち上がり、ゆっくりと歩き出す。

その声は、誰かに告げるというより、自分自身への区切りのようだった。

総務くんもタブレットをタップしながら、淡々と席を離れる。

「分析結果は、あとで送ります。」

それだけ言って、さっさと会議室を出て行った。

何か言いたげな様子のノースが少し口を開きかけたが、

隣の山田が無言で袖を引く。

ノースは「ちっ」と舌打ちだけして、ドアの方へ向かい、ジョシュもそれに続いた。


扉が静かに閉まる音が響いたあと――

広い会議室には、ジョカただひとりが残されていた。


「『最愛の妻を“悪”に奪われ』、ね……。

まったく、いつまでたっても律儀な男だ。」

その声は、誰にも届くことなく、静かに部屋に溶けていった。




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