#06 ヒーローズ・インサイト2
世界最大級の支援団体にして、
その実、裏でヒーロー社会を構成する巨大な「影のスポンサー」でもある。
誰も声には出さなかったが、
一瞬、会議室の空気がぴたりと止まった。
スクリーンから、派手すぎるSEとともにMCの声が響いた。
「さぁて次は、No.6!!
その瞳で洗脳?!戦う萌えビーム、ラブリータ〜〜!!」
画面いっぱいに広がるキラキラの文字と過剰なエフェクト。
決め台詞とともに、爆音気味のSEが炸裂する。
『らぶたんのお願い、きいてぇ~?』
その瞬間――
ジョシュの顔が「ぱぁ~っ」と明るくなった。
スナックに全集中していたノース以外、
会議室の全員が「あっ、こいつファンなんだな」と一瞬で察した。
画面内のナレーションは止まらない。
「アイコンタクトで洗脳!?“ウルルチワワアイ”で敵を操るラブ戦術ヒーロー!
今月も安定のアイドル枠!!現在契約企業7社以上、SNSフォロワー数は堂々の1位です!」
そしてそのナレーションを真っ二つに裂くように、
低く、そして鋭く響いたのは――
ノースの声だった。
「あー……ぜってぇ腹黒いじゃんこの女。」
場の空気が一瞬、ピシリと冷えた。
かき消されるように、ジョシュがポツリと呟いた。
「……あぁ、かわいいなぁ……」
ド派手なエフェクトと“お願いボイス”がフェードアウトする。
一瞬のブランク。静寂。
そして。
「続いては――No.5!スターヴォイド」
MCの声が先ほどよりもわずかにトーンダウンする。
空気が、画面ごと変わった。
「手のひらサイズのブラックホールを操る、空間制御ヒーロー!
今月も圧倒的な安定感で第5位にランクインです!」
鋭いフォントの決め台詞
「文句は、ブラックホールに言え。返事はないけどね。」
「能力は防御型……だけど、近距離はクラヴ・マガでガチ対応!?
超実践派な“守りの戦士”ってことで、熱い支持が集まってます!」
誰に言うでもなくMCが小声を装って話しかける。
「メディアには不愛想なスターヴォイドで有名ですが
あの、スタイン刑事と一緒に映ってたオフショット……SNSで170万回再生いってるらしいですよ〜〜?」
スターヴォイドの紹介が終わり、画面がふっと暗転。静けさ――からの
「お待たせしましたぁ〜〜〜!!!」
MCのテンションが上がっていく!
「今月も光がまぶしいッ!皆さんの絶対アイドル!
正義の味方が誇る、光の貴公子!!!」
「No.4 グレアスター」
「この輝きは、誰にも消せない。」
テロップは、エコーボイス入り。
画面いっぱいに、眩しいくらいの白と金のエフェクトが炸裂。
番組も彼を推しているのが分かる。
ホワイトスーツに光のマントをまとい、舞台照明のようなスポットライトの中に立つ男――
グレアスター。
「全方向対応の光属性!攻守バランス型の万能ヒーロー!!
そのスマイル、その完璧ボイス、その…髪のセット力!すべてが一流ッッ!!」
画面には、グレアスターがトレーニング後に
汗を拭きながら「カメラ回ってる?……オッケー☆」とウィンクしている映像。
画面には決め台詞が表示される。
「まぶしさだけじゃ、救えない。俺は“見える未来”のために光るんだ。」
スクリーンが“フレア”のように白く輝きながら切り替わる。
「さぁ次はTOP3に突入だッ!!
いよいよ見えてきました、月間ヒーローランキングの頂点ッ!!!
次に登場するのは……あの!仮面のミステリー戦士!!」
【CMブレイク】
ナレーションが静かに響く
「“ヒーローになりたい”って、言ったあの日の夢――
今なら、かないます。」
画面が切り替わり、
スーツを着た若者たちが集まる白く清潔な校舎。
トレーニングルームでは訓練用スーツに身を包んだ新人たちが走る。
映像内テロップが輝かしい。
『株式会社 正義の味方 ヒーロー教習所』
現場経験に基づいた実践教育
バトルシミュレーション/救助訓練/SNS対応マナー講習
優秀者は準社員採用のチャンスあり!
爽やかな声は、グロウスターの声だ。
「“正義”を、仕事にしよう。」
『ヒーロー教習所 募集中!』
画面右下に控えめに表示される注意事項。
『※訓練には個人差があります/能力不問/応募には年齢制限あり』
『実際の出動には別途審査・面接が必要です』
CMの最後に、再びヒーローズ・インサイトのロゴ
そしておなじみの「サルバトーレ財団」




