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剣豪の復讐物語  作者: 大土 土人
23/25

22話 大軍

『能力《念話》《仲間強化》を取得しました』


 頭の中で無機質な声が響く。


「うーん、念話と仲間強化か、これは使わねぇな」


 零は取得した能力を確認して、特に感情が籠っていない声で呟いた。


「やっぱ、身流を解くとダルくなるなぁ」


 試しに念話で狐盂に話しかけてみたが、1度ぴくっと耳が動いただけで特に反応はしなかった。


「!?」

「!?」


 鬼犬の肉を食べ終わり、移動しようとした瞬間、気配探知に大量の気配が引っかかった。

 数はざっと50。


 その事に狐盂も気づいたのか、いつもは見守るだけだたった狐盂も臨戦態勢をとる。


 零もかなりの疲労感を覚えつつも臨戦態勢をとる。


「来る! 」


 気配では分かっていたが、改めて見ると凄い数だ。

 種類は鬼犬が大半だが、中には鬼熊や鬼蛇、更には見たことの無い鬼もいる。


「ッーーー! 」


 狐盂は紅い目を見開くと、鬼の群れに突っ込んで行く。


 そして、2秒後には10匹の鬼が真っ二つになって宙を舞っていた。


 零はそれに思わず見惚れてしまった。


 だって1つ1つの技がとてつもなく綺麗で、それに、前足で引っ掻くだけで目の前の敵だけでなく、その後ろの敵も真っ二つにするのだ。

 見惚れてもしょうがないだろう。


 そういう零も狐盂程ではないが鬼を蹂躙している。


「ベェ〜〜 」


 鬼を半分程倒した頃、山羊の様な鳴き声が聞こえてきた。


「!? 」


 その鳴き声を聞いた瞬間、目の前が真っ暗になった。


(盲目か? しかも聴覚まで奪われたか)


 だが、幸いにも気配探知と魔力探知は機能する様だ。


 その2つを同時に発動する。

 相変わらず情報量がとてつもないが、視覚と聴覚を奪われた今は、これ位の情報量がちょうどいい。


 気配探知と魔力探知で見る限り、1匹の鬼と狐盂を除いてここら一帯の鬼は動いていない。


 おそらく零と同様に視覚と聴覚を奪われたのだろう。


(これは好都合だ)


 零は動かなくなった鬼を次々と斬っていく。


 そして、残る1匹の鬼を倒すと急に視覚と聴覚が戻る。


 一瞬情報量が多すぎて吐きそうになるが、すぐに魔力探知を切ったので吐きはしなかった。


 改めて周りを見ると、鬼の死体やら灰やらが転がっている。そして目の前には山羊の死体。

 おそらくコイツが視覚と聴覚を奪った張本人だろう。


『能力《闇無効》を取得しました』


 零は山羊鬼に食らいつく。


「闇無効って事は、コイツが使ったのは闇魔法か。ん? 闇魔法なんてあったか? 魔法の種類は5つだったような気がするが」


 零が思っている通り、通常ステータスに表示されるのは5つの魔法のみだが、稀にその5つ以外の魔法を使える者が生まれてくる事がある。

 今確認されている限り、闇魔法の他に光魔法、毒魔法、土魔法などがある。


 そんな事を知る由もない零は、何故急に50体もの鬼が襲いかかってきたのか思考をめぐらす。


 そして1つ考えがまとまった。

 それは、鬼犬の長が念話を使って辺りの鬼に呼びかけた。というものだ。


 零は頭が良い方ではないので、こんな事しか思いつかなかったが、頭の良い人ならもっとましな考えが浮かんだだろう。


「うっ? 」


 ひと休みしようとすると、突然頭がふらつき、目の前が暗くなる。また敵か?と気配探知と魔力探知を使うが、何も探知されない。

 やがて、まともに立てない程になり、零は意識を失った。




『おい、起きろ。いつまで寝ている』


 頭の中で男の声が響き、零は飛び起きた。


 辺りを警戒するが、周りには狐盂しかいない。


『おい、ここだ』


 ここだと言われてもどこにいるんだよと困ってしまうのだが、と零が疑問符を浮かべていると。


『ここだ』


 また頭の中で男の声が響く。


(だからここってどこなんだよ)


『ああもう! お前の目の前に居るだろう! 』


 零の目の前には狐盂しかいないのだが。


『そうだ。その狐だ』

「へぇー 」

『む、思っていたより反応が薄い』


 なんと、頭の中で響く男の声の持ち主は狐盂だった。

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