14話 鬼豹
(というか、なんでこの狐は俺が倒れるまで助けなかったんだ? )
鬼梟との戦闘も終わり、また山を目指してトボトボと歩いてる途中にふと、そんな事を思い、隣を歩いている狐を見る。
この狐は何故か零に懐いており、何故かついて来る。そしてめちゃくちゃ強い。零が手も足も出なかった鬼梟を空中を跳んで一撃で倒してしまう程に強い。
まぁ、レベル30程度の10歳児と比べてもしょうがないのだが。
(それにしても、この狐がやったみたいに空を跳ぶのってどうやるんだろうか? やっぱり、この狐の能力とかなのだろうか? まぁ、考えてもわかんないし、どうでもいいか)
そう割り切ってまたトボトボと歩き、そして夜が来た。
夜になるまでかなりの時間を歩いたが、鬼には1度も遭遇せず、鬼って結構数が少ないのか? と思ったりした。
ちなみに食料は鬼梟の余った肉を食べている。とは言ってもかなり不味いので、そんなに食べてはいない。
(おぉ、ホントに夜でも明るく見えるんだな。暗視ってすげーな)
暗視の効果を確認したら、早速片目を開けながら寝ようとする。
だが、これが結構難しい。気付いたら目をつぶっており、何度も鬼に奇襲された。だが、襲ってくる鬼はほとんどが鬼蛇だったので、毒無効の能力もあり、倒すのは苦労しなかった。
そして、一ヶ月程経った頃、零はほとんど片目を開けながら寝る事ができる様になった。
とは言っても、片目を開けているので、普通の睡眠と比べると疲れが取れにくい。その為、少々長めに睡眠を取る必要がある。
(あれこれ1ヶ月歩き続けたのにあの山にはまだまだ遠いな。一体どれ位距離があるんだよ)
零はこの一ヶ月ぶっ続けで山を目指して歩いていた。だが、山には近づいた気がするが一向にたどり着く気配がない。
そしてまた、夜が来た。零は木に寄り掛かり片目を開けながら眠りにつく。
すると、森の奥から2つの黄色い光が見えた。零はそれにいち早く気づき、臨戦体勢を取る。
(目が黄色いという事は……また鬼蛇かな? )
と、油断していると急に腹部に激痛が走った。見てみると脇腹がごっそりえぐられている。それに、あの黄色い光が無くなっている。
(!? 目が無い? 後ろか! )
零はとっさに後ろを振り向くと、豹の様な黄色い目の鬼が居た。
その鬼豹は、また姿を消したと思うと、脇腹をえぐってくる。
零は何も出来ずに脇腹をえぐられる事しかできない。
(くッ、速すぎんだろ)
これが本当の目にも止まらぬ速技か、と一瞬現実逃避をするが、今はそんなばわいではない。その間にも鬼豹の攻撃は続いている。
(これじゃあ、らちが開かないな)
鬼豹もそう思ったのか、目つきが一瞬で変わる。
その瞬間、零は宙を舞っていた。
(?)
零は何が起きたか理解できていないが、十中八九鬼豹によって打ち上げられたのだろう。
零はすぐにその事に気づくが何も出来ず、足をバタつかせる事しかできない。
鬼豹は零に狙いを定めて、今にも飛び掛からんとしている。
だが、そこで変化が起きた。バタつかせていた足が空中を蹴って地面に猛スピードで突っ込んでいったのだ。
そう、どう言うわけか、あの狐の様に空中を蹴ったのだ。
しかし、地面に猛スピードで突っ込んだので、グラグラして気持ちが悪いし、全身が痛い。
一方、鬼豹は零が急に居なくなった様に見えたのか、混乱している。
(今だッ! )
そう思い、零は左手に持っている木で出来た小太刀を投げ捨て、鬼豹に向かって走り出し、その勢いを使って右手に持っている木で出来た大太刀で鬼豹の首に強力な一撃を入れる。
すると、ボキッ、と言う嫌な音を立てて鬼豹の首ーーーーでは無く木で出来た大太刀が真っ二つに折れた。だが、鬼豹の首は血が滲んでいるだけで大した傷は負ってない様だ。
「えッ……? 」
零は一生懸命に作った木刀が一瞬で折れた事にショックを受け、呆然としてしまう。
「う゛ッ…… 」
鬼豹は自分の体に傷をつけられた事に怒ったのか、零をめった撃ちにしていく。
しかし、零は心が折れてしまったのか、大した抵抗はしない。
そして、再生の速度が遅くなり、魔力が尽きlかけたその時、鬼豹の首が無くなった。
首と離れ離れになった鬼豹の胴は、力無くその場に倒れる。
急に鬼豹の首が無くなった事に驚き、零は何故か固まってしまう。
(何? なんで首が無くなるの? )
そんな事しか考えられず、零は鬼豹の首を探そうとはしない。
だが、その答えはすぐ側にあった。その無くなった首はというと、
赤い眼の狐が咥えていた。




