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剣豪の復讐物語  作者: 大土 土人
14/25

13話 行き先

「さて、どこに行けばいいんだろうか? 」


 零はもう一度星空を見上げながらそんな疑問を口にする。


 そう、零は今、行く当てがない。


 それもその筈だろう。ここは最強種族の鬼が蔓延(はびこ)るチェワンドの森だ。逆に行く当てがある方がおかしい。


 すると、ツンツンと背中を突かれた。


「ん? 」


 振り向くと、零が食べきれなかった分の鬼蛇の肉を食べている狐がいた。


 ちなみに鬼の肉はすごい不味い。


 その狐はとある方向をジッと見ている。まるで、そこへ行けと言わんばかりに。


 狐の見ている方を見てみると、今まで気づかなかったが、どでかい山がある。多分、エベレストと同じ位かそれ以上の大きさはあるのではないかと思う。


 だが、エベレストの様に岩肌が剥き出しなっておらず、木が生えている。


「まぁ、とりあえずあの山に行くか。他に行く当てもないし…… 」


 という訳で、行く当てができた。これからはあの山にたどり着く事を目的にしよう。


 そして零は山に向かって歩き出した。何故か狐もついて来る。


(つうか、夜にも鬼が出てくるのかよ。これじゃあ寝れねぇだろ…… どうすっかなぁ)


 そう考えているとふと、こんな事を思い出した。


(たしか、イルカとか草食動物って片目を開けたまま寝るんだよな。それって俺にも出来るのか? 今度やってみるか)


 そんな事を考えながらとぼとぼと歩いて2時間程経っただろうか、突然、音も無く複数の黒い羽根が弓矢の様に飛んできた。


 本当に突然だったのと、森で視界が悪かったのが合わさり、零はほとんど反応できず、黒い羽根に頭、胸、腹、脚を穿たれた。


「ぐあぁッーーーー!? 」


 零は何が起きたか理解できず地面に倒れ込む。


 そして、すぐに敵だという事が分かり、痛みに耐えて立ち上がり、戦闘体制を取り、敵を探す。


 居た。上空10メートル程の所に全長1メートル程の黒い(ふくろう)の様な鬼が羽根を撒き散らしている。


 鬼梟はその撒き散らした黒い羽根を零目掛けて飛ばしてきた。


 零はその黒い羽根を間一髪で躱し、跳んで攻撃しようとした瞬間、背後から躱した筈の黒い羽根が零の体を貫いた。


(くッ! ホーミングしてくるのかよ!)


 零は内心で悪態を吐きながら血反吐を吐く。


(どうする? 攻撃しようにもあの羽根が邪魔で出来ないし、たとえあの羽根を全て避け攻撃しようとしても相手は鳥だ。簡単に避けられる事は目に見えている。このまま鬼梟の羽根が無くなるのを待つか? )


 対抗策を考えていると、また黒い羽根が飛んで来た。


 零はさっきよりも余裕のある動きで羽根を避けると、直径1メートル程の大木の陰に隠れる。


 だが、羽根はそんな事は無意味だと言う様に大木に突っ込み、また零の体を貫く。


(!? この大木を貫くのかよ。威力高過ぎだろ! )


 そんな事を思っていると、また黒い羽根を飛ばして来た。零はまた羽根を躱していく。



 そして、躱し続けて1時間が経った。その間に太陽が昇り始めて、朝日が見えて来た。


「はぁ……はぁ…… 」


 一方、零は体力の限界を迎えていた。だが、鬼梟は疲れた様子もなく、黒い羽根を飛ばし続けている。


「ぐッ……! 」


 零は何十回、何百回も体を貫かれ、ついに力無く倒れ込んだ。


 すると、今まで少しも動いていなかった狐が急に動き出し、鬼梟に向かって走り出した。


 当然、鬼梟は狐に向かって黒い羽根を飛ばす。


 狐はその羽根を簡単に避けて鬼梟に向かって跳ぶ。


 これで狐は死んでしまうだろう。空中では勿論の事身動きが取れない。そこへ黒い羽根が集中攻撃してくる。


 そう思っていたのも(つか)の間、狐は空中を跳んで急加速し、鬼梟の首を噛み砕いた。


 そう。空中を跳んだのだ。まるでそこに地面があるかの様に軽々と跳んだ。


 零は驚きのあまり口を開けて呆然としている。


 その狐は零の事を見る気もせず、ブチブチと口を使って羽根をちぎっている。


 そして、あまり時間が経たない内に全部の羽根をちぎり終わると、零の下へ鬼梟を置いた。


 それを零はためらい無く怠惰の雷で焼いていき、20分程経って焼き終わると、蒼いナイフで肉を少し取ると、そのまま飲み込む。


『能力《貫通耐性・大》 《暗視》を取得しました』


 何故そのまま飲み込むのかと言うと、めちゃくちゃ硬くてとてもでは無いが噛みきれないからだ。


(貫通耐性・大と暗視か…… 貫通耐性と言う事はあの黒羽根に貫かれにくくなるのか? もうあの梟には会いたく無いが、確かめるには梟の攻撃を受けるのが手っ取り早いか。そして暗視か、今は朝だから確かめようが無いな。夜になったら確かめてみるか)


 そう思いながら零はまた歩き出した。

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